[資料A]から[資料H]まで提供。それぞれの単語をそれぞれの資料で確認。
資料によって微妙に用語や意味合いが違っていることが分かる。
[提供資料]
[資料A]『新入社員のためのテキスト3 出版社の日常用語集 第4版』(日本書籍出版協会 2008年)
[資料B]レイアウトデザイン研究会編『出版・印刷・DTP用語事典』(ピアソン・エデュケーション 2001年)
[資料C] ファ-・インク編・帆風協力『改訂版 DTP最新用語事典 2002-2003』( IDGジャパン 2002年)
※「重版」「増刷(ぞうさつ)」という言葉では掲載なし。[資料C]
[資料D]帆風出版プロジェクト編『印刷用語ハンドブック 基本編』印刷学会出版部 2007年
※この本は語が見出しになっているのではなく、p.67 奥付の表記方法の説明の文章内で用語が解説されている。
[資料E]日本印刷学会編『印刷事典 第5版』印刷朝陽会 2002年
※「改訂」「復刻」という見出し語・索引は無し
[資料F]『現場で役立つ印刷用語集』(日本印刷産業連合会 2002年)
※「改訂」「増刷」「復刻」は無し、「ファクシミリ」は電送のFAXの意味のみ
[資料G]関善造『増補 編集印刷デザイン用語辞典』(誠文堂新光社 1980年)
※「改訂」「改版」は無し
[資料H] 出版事典編集委員会編『出版事典』出版ニュース社 1971年
以下、各単語について
【改訂】(改版)
・「改訂版」
既刊書の内容に変更を加えて新たに発行される版をさす。 初版に対しては第2版になる。 →<刷> [資料A]
・「改訂版」
既刊本の内容の誤記を正したり、新たな事実や項目を追加するなどして、版を新しくしたものをいう。
書籍のタイトルは初版のときと同様で、改訂版や改訂新版等の付記がなされる。
内容が追加されたものを増補版、ページ数が増えたものを増訂版という。[資料B]
・「改訂版」
すでに発行した書籍の内容の一部を変えて新たに発行すること。誤記誤植の訂正は含まない。
改訂によりページ数が増えた場合は「増訂版」、内容を追加した場合は「増補版」という。[資料C]
・「改訂版」
既刊の本に対して内容の一部を改定、訂正し、または追加分を加えて再発行した版 [資料D]
・「改版」
⑵出版物の内容に手を入れたり、変更があったときに、版を新たに作り直すこと、またその出版物。[資料F]
・「改訂」revision
すでに発表した文字・文章の誤りや不備を直すことをいい、この場合には加筆により修正・増減が行われる。→修正 [資料H]
・「改訂版」revised edition
既刊書の内容に改訂をほどこして新たに発行される版のこと。
誤字・誤植の訂正にとどまらず実質的な変更が加えられていなければならない。
改訂とともに加筆によってページ数が増加する場合には増訂版といわれることがあり、
また既刊の内容はそのままで新たに追加が行われるときには増補版であって改訂版ではない。
改訂は版を改めることになるのであるから、その発行に際しては、
部分的な新組み、鉛版象眼、複写紙型の用意などをしなければならない。
なお、改訂された版は初版に対しては第2版となる。→版、刷 [資料H]
【増刷】
・「増刷」(ぞうさつ、ましずり)
当初発行した部数で足りなくなった場合、同じ版で再度発行すること。→<刷> [資料A]
・「増刷」
最初の版で印刷・発行した部数が足りなくなった時に、同じ版で、
さらに必要な部数を印刷すること。「ましずり」ともいう。[資料B]
・「増刷り」(ましずり)
印刷した予定販売部数が終了した後で更に必要になった時、再び印刷すること。[資料C]
・「増刷」
ほぼ同じ内容で追加の印刷をする [資料D]
・「増刷」
<ましずり>ともいう。最初の版で印刷、発行した部数が足りなくなったときに、
同一の紙型または原版により必要な部数を印刷、発行すること。(後略) [資料H]
【復刻】
・「復刻版(覆刻版)」
長らく絶版になっていた書籍などを、そのままの形で新たに版を作って発行したもの。
最近では、写真製版技術を使用したものが多い。 [資料A]
・「復刻版」
絶版になっている書籍や雑誌を、装幀・内容・紙質などまで原本と同様に再現した出版物のこと。
同:再刊、リプリント [資料B]
・「復刻版」
すでに刊行された書籍を、原本を模して新たに版を起こして再発行したもの。
特に絶版になった書籍を原本に忠実に印刷・製本した場合は「ファクシミリ版」という。リプリント版。[資料C]
・「復(覆)刻」
1:版本を再刊する場合、原本どおり作製すること。この場合、原版本を板木にはりつけ、
版下代りとして彫って刊行したものは、とくに<かぶせぼり>といい、たとえば慶長版を復刻したものを<覆慶長版>と呼ぶ。[資料H]
2:写本の原本をそのまま活字版に作成することをいい、翻刻と同義に用いることがある。→再刊 [資料H]
《その他 類義語等》
【再版・再刊】
・「再版」
既刊の出版物を再び刊行すること。
狭義には、内容に修正等を加えて製版し直した“第2版”に当たるものをいうが、
一般には重版を含めていうこともある。[資料A]
・「再版
出版物の初版の版に修正・加筆をして出版すること。[第2版]と同義。
初版と同じ版(誤植など若干修正する場合も含む)で増刷する「重版」という意味でも用いられる。参:重版 [資料B]
・「再刊」
以前に出版されていて、現在は絶版あるいは廃刊になっている書籍や雑誌などの出版物を再び刊行すること。
同:復刻版、リプリント [資料B]
・「再版」
出版済の刊行物などを、保存してある原版(フィルム・データなど)によって、増刷すること。[資料C]
・「再版」republish
かつて出版した刊行物を再び出版すること。正しくは、再び製版し直して印刷出版する場合を指すが、
一般には初版と同一の保存しておいた原版、保存紙型、フィルムなどに訂正を加えて印刷出版する場合も指す。 (参考:重版) [資料E]
・「再版」republish ; reprint
一度出版した書籍などの刊行物を再び出版すること。
まったく同じ内容を出版する場合でも奥付などの訂正をおこなう。=重版 second edition [資料F]
・「再版」
書籍の出版で初版以後に、注文や販売の見込みによって刊行する版をいう。
法律上出版権は初版発行後 3ヵ年で消滅するので、出版契約では再版に備えて有効期間を定めている。
通常再版の見込みがある書籍に対してはすべて複製版を保存している。重版と同じ。[資料G]
・「再刊」reprint
かつて出版された書籍が再び出版されることで、再版も増刷もすべて含むことになるが、厳密にいえば
⑴すでに出版されているものが版を新たにして刊行されることをさす。
再刊の形態は文庫版、新書版、全集版、またはブック・クラブ版の形で、廉価版とされることが多い。また、
⑵久しく絶版になっていたものをそのまま再び刊行するという意味で、復刻版の出版をさす場合がある。→リプリント [資料H]
【刷】
・「刷」(さつ、すり)
同一の紙型または原版から印刷・発行すること。
またはその回数。売れ行きによっては、初版第1刷、第2刷のように何度も刷を重ねることがある。→<重版> [資料A]
【重版・重刷】
・「重版(重刷)」
同一の版で2刷り、3刷というように増刷りを行うこと。→<刷> [資料A]
・「重版」
書籍が品切れになった時に増刷して出版すること。
2刷だけでなく、その後の3刷以降の増刷も「重版」という。 参:再版 [資料B]
・「重刷」reprint
日本では“版”と“刷”の区別が明確でない。
本来は同一の版からそのまま訂正せずに再び印刷することを第2刷、第3刷という。(同:増刷 参考:重版) [資料E]
・「重版」reissue, second edition, another edition
初版本の一部または全部を組み替えて印刷発行する場合をいう。 (同:重刊 参考:再版、重刷) [資料E]
・「重版」
出版物を初版の発行後同一版で再度刊行すること。再版に同じ [資料G]
【復刊】
・「復刊」
⑵絶版にしていた書籍を、内容上の訂正を加えず、再び刊行すること。 [資料A]
【増訂】
・「増訂版」
改訂時にページ数が増えたもの。 参:改訂版 [資料B]
【増補】
・「増補版」
改訂時に内容が追加されたもの。 参:改訂版 [資料B]
【ファクシミリ】
・「ファクシミリ」facsimile, facsim
⑴原印刷物または原本と全く似せて作った複製印刷物。
例えば、原本と全く同一書体の活字を用い、同一体裁に組版し、同質同色の紙に印刷した書籍。[資料E]
・「ファクシミリ」facsimile
⑵ 印刷物の複製を、原本とまったく同じ活字・組体裁・用紙を用いて作った複製印刷物を称する。[資料G]
【リプリント】
・「リプリント」
同:再刊 [資料B]
・「リプリント」 reprint
⑴すでに印刷して公表されているものを再び印刷すること。
⑵原版に使用された活字や図版を用いて再刊すること、または再刊されたもの。
復刻とも言う。同一の版による印刷は再版であって再刊(リプリント)とはいわない。
この場合、中身の本文には誤字・誤植の小訂正以外手を加えない。
⑶原版と同じ組み体裁で再刊される廉価版。多くは、原版の出版者とは異なる別の出版者が手がける。
わが国で教科用その他の用途にあてるために出版されている英語
その他外国語の図書の複製版がこれに該当する。(後略) [資料H⑶