レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2004/04/13
- 登録日時
- 2004/04/22 02:10
- 更新日時
- 2004/04/22 02:10
- 管理番号
- 調査-00045
- 質問
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解決
トーマス・ホッブズ(Thomas Hobbes)の哲学三部作のうち、『人間論』の翻訳を読 みたい。原書の出版年は1658年。
- 回答
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『ブリタニカ国際大百科事典』(TBSブリタニカ)によると、ホッブズ(1588~1679)は次のような人物です。“イギリスの哲学者、またおそらくは世界最大の政治家の一人。父は牧師で、激しやすく、教会の前での論争がもとで姿を消し、ホッブズ(12歳の頃)は富裕な手袋製造業者の伯父にひきとられた。15歳でオックスフォードに入学。そこで支配的な地位を占めていたスコラ哲学には興味を持たず、旅行記と地図の研究に大部分の時間を費やした。卒業後は貴族の家庭教師となり、ヨーロッパ大陸を旅行。ヨーロッパではオックスフォードで教えられた哲学が軽蔑の的になっていることを知って帰国後は、古典の研究に専念した。ベーコン(Francis Bacon:1561-1626)と親交をもち、その『随筆集』のラテン語訳を手伝ったこともあった。1629-30に大陸に渡った時、偶然にユークリッドの著作を読み、はじめはその正しさを信じなっかたが、証明を読んでいくうちに、ついに、幾何学と恋に陥る、ほどになったのだという。その後の思考活動に、このことが大きく影響する。ホッブズのラテン語の自伝によれば、ある知識人たちの集会で、感覚とは何か?という質問が出され、それが彼を次のような思考過程で幾何学に導いたとされる。すなわち、諸物体とそのすべての部分が、常に静止しているか、あるいは一様に運動していれば、その中から何も区別することもできないし、したがって知覚もありえない。だから、あらゆる事物の原因は、運動の多様性に求められるべきであり、この運動の諸原理を把握するために幾何学が必要になったのである。彼は、ガリレオ(Galileo Galilei 1564-1642)などとの討論によって、自分の学説について確信を強め、それを哲学三部作としてまとめようと決意した。“ 哲学三部作は、『Elementarum philosophiae(哲学大系)』といい、第1部『De corpore(物体論)』1655年刊、第2部『De homier(人間論)』1658年刊、第3部『De cive(市民論)』1642年刊で構成されています。しかし、これらは邦訳されていません。ホッブズの邦訳は一作のみで、『Leviathan,or the Matter,Form,and Power of a Commonwealth ,Ecclesiastical and Civil』1651年刊で、邦題は『リヴァイアサン』です。リヴァイアサンは国家論で、『新版世界人名辞典』(東京堂出版)によると、ホッブズは、絶対主権の君主制国家を、旧約聖書の神話的怪獣「リヴァイアサン」になぞらえ、自分の国家論の書名にしたと出ています。また、『世界の名著ホッブズ』(中央公論社)によると、1883年(明治16年)文部省編輯局が『英国学士払波士著 主権論完』と題して『リヴァイアサン』の第二部を翻訳出版したとでています。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 政治学.政治思想 (311)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000004137