レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年03月14日
- 登録日時
- 2016/01/21 16:49
- 更新日時
- 2016/03/11 13:46
- 管理番号
- 埼熊-2015-089
- 質問
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解決
『元禄及び享保時代における経済思想の研究』(中村孝也著 小学館 1932)に引用されている、荻原重秀の言葉の出典元の資料が見たい。
「世情に見合った貨幣を流通させれば(諸人くつろぎ)」といった趣旨の言葉である。
- 回答
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『新・國史大年表 5 1』(日置英剛編 国書刊行会 2010)の
p760-761「1695-元禄8年 8・11」の項に、若干の異同はあるが、 元禄の改鋳の建策(目上の人に申し上げること)の文言として以下の記述があり、これを紹介した。
「幕府、勘定吟味役絵荻原重秀の「御勝手御手詰りとは畢竟、金銀不足仕り候事にて、金銀を沢山に成され候へば、御用途は申上ぐるに及ばず、自然世間にも世渡り、下々も相甘(くつろ)ぎ申すべく、御仁政此上もなく有難き御事に存じ奉り候」との建策により、金銀貨改鋳(元字金銀)を命ずる。」
その典拠は「常憲院殿御実紀」「貨幣通考」「貨幣秘録」「御触書寛保集成」であると記述があり、三点の典拠を確認したが、質問に該当する言葉の出典は見つからなかった。
- 回答プロセス
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1 『新・國史大年表 5 1』(前掲資料)にあった典拠資料を確認する。
(1) 「常憲院殿御実紀」を確認する。
『国史大系 〔43〕 徳川実紀』(黒板勝美、国史大系編修会編輯 吉川弘文館 1991)
p238上段・「十一日」の項に「勘定吟味荻原彦次郎重秀これをつかさどり。」とあり。
出典は「日記、年録」とあり。
(2) 上記の出典「年録」を確認するが、該当する記述はなし。
《国会図デジタルコレクション》「年録 [113]」※45-46コマ目が8月11日の項。
(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2561793?tocOpened=1 国会図 2015/03/01最終確認)
(3) 「貨幣通考」を確認する。
『勝海舟全集 7 吹塵録 2』(勝海舟、勝部真長〔ほか〕編 勁草書房 1974)
p433-516「貨幣通考」あるが質問に該当する記述はなし。
(4) 「貨幣秘録」を確認する
《国会図デジタルコレクション》「日本経済叢書 巻32」(滝本誠一編 日本経済叢書刊行会 1915-1917)※「貨幣秘録」所収
(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950415/182?viewMode= 国会図 2015/03/01最終確認)質問に該当する記述なし。
(5) 「御触書寛保集成」を確認する。
『御触書寛保集成』(高柳真三編 岩波書店 1976)
元禄8年前後p892-893の1757-1763を確認するが、該当する記述なし。
2 その他の調査資料
(1) 『元禄及び享保時代における経済思想の研究 中』(中村孝也著 改訂 小学館 1932)を確認する。
「第5章 交換経済論 (四)元禄・寛永の金銀貨改鋳と新井白石の貨幣論 (A)金銀貨の改鋳」p446に「その意見は、荻原茂秀の主張に基づくとせらる。曰く「御勝手元御手詰とは、畢竟、金銀の不足仕事にて、金銀を澤山に成され候へば、自然御用途も豊かに、諸人くつろぎ可申(後略)」とあり。出典などはなし。
(2) 参考図書を調べる。
『近世史ハンドブック』(児玉幸多〔ほか〕編 近藤出版社 1984)
p171-172「5 貨幣制度 イ、貨幣流通」の項に、江戸時代貨幣流通の基本文献として「古事類苑」があげられている。
(3) 「古事類苑」を確認する。
『古事類苑 泉貨部・称量部』(吉川弘文館 1984)
p208-212「元禄金銀」の項に、「享保集成絲綸録」「常憲院殿御実紀」「貨幣通考」「貨幣秘録」「金銀図録」の引用があるが、該当の記述なし。
(4) 自館目録を〈近世 & 銀座〉で検索する。
『近世銀座の研究』(田谷博吉著 吉川弘文館 1963)
《国会図デジタルコレクション》で確認する。(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3042606 国会図 2015/03/06最終確認)93コマ 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開
「銀座年寄提出の改鋳建議」の項あり。その典拠は「三貨図彙」とあり。
(5) 「三貨図彙」を確認する。
《国会図デジタルコレクション》「日本経済叢書 巻28」(滝本誠一編 日本経済叢書刊行会 1915-1917)目次、解題から箇所を特定できず。
(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950411/8?viewMode= 国会図 2015/03/06最終確認)
(6) 自館目録を〈元禄時代〉で検索し、以下の関連のありそうな資料を確認するが、いずれも質問に該当する記述は見当たらず。
『近世日本国民史 第17 元禄時代』(徳富猪一郎著 民友社 1936)
『江戸時代の古文書を読む 元禄時代』(竹内誠〔ほか〕著 徳川林政史研究所監修 東京堂出版 2002)
『元禄時代がわかる。 Aera mook』(朝日新聞社 1998)
『近世日本国民史 18 元禄時代』(徳富猪一郎著 民友社 1936)義士篇
『近世日本国民史 19 元禄時代』(徳富猪一郎著 民友社 1936)世相篇
- 事前調査事項
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『近世銀座の研究』(田谷博吉 吉川弘文館 1963)に質問資料が引用されていた。
- NDC
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- 個人伝記 (289 9版)
- 日本史 (210 9版)
- 参考資料
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- 『新・國史大年表 5 1』(日置英剛編 国書刊行会 2010) , ISBN 978-4-336-04830-1
- キーワード
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- 荻原 重秀(オギハラ シゲヒデ)
- 日本-歴史-江戸時代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000187311