レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年05月30日
- 登録日時
- 2017/10/31 18:35
- 更新日時
- 2018/05/31 11:27
- 管理番号
- 埼久-2017-074
- 質問
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解決
ドイツ民謡で加部巌男が訳した「霞か雲か」という曲があるが、ドイツ語の歌詞で原文及び解説をみたい。
- 回答
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下記の資料を提供した。
1 ドイツ語の歌詞(原文)及び解説について
『世界民謡全集 5 ドイツ篇』(門馬直衛編 音楽之友社 1960)
p34-36 「小鳥は来たよ」の邦題を付け、原歌詞と著者による日本語訳歌詞を掲載している。解説に加部巌夫作詞の歌詞を併記し、「この歌詞は、原歌詞からかなり離れているので、ここには、原歌詞に一そう近い訳歌詞を試みた。」とあり。原曲、作詞者等の解説あり。
2 加部巌夫作詞の歌詞の解説
(図書)
『童謡と唱歌 歌唱の歴史 1 春夏のうた』(池田小百合著 夢工房 2002)
p26-29 加部巌夫作詞の「霞か雲か」の歌詞について「『とばかり匂う』は『ほどなく匂って』の意味」「メロディーを無視した歌詞」などとあり。また、明治14年-17年国定教科書『小学唱歌集』の作詞の背景について記述あり。
『日本のうた 第1集 明治・大正』(野ばら社 1998)
p27 加部巌夫作詞「霞か雲か」の歌詞と楽譜あり。出典は上記同様「小学唱歌集(二)」。「原曲はドイツ民謡『春の訪れ』です。流麗な作詞で初期歌唱の傑作の一つといわれ、ひろく愛唱されました」とある。
『世界と日本の愛唱歌・抒情歌事典』(長田暁二著 ヤマハミュージックメディア 2015)
p56-57 勝承夫作詞(昭和22年『四年生の音楽』で歌詞を改作)の「霞か雲か Der Fruhling ist Kommen 小鳥がみんなやってきた」の歌詞と楽譜あり。解説に加部巌夫の歌詞について、古風な言葉が使われていたが流麗な歌詞で高く評価されたとのこと。また原曲は17世紀に作曲され、1847年にホフマンが歌詞を嵌めたとあり、「単に春の情景を詠っているだけでなく、人々の幸福が詠い込まれているところが、いかにもドイツ民謡らしい」とあり。
『日本唱歌集 ワイド版岩波文庫 54』(堀内敬三編 井上武士編 岩波書店 1991)
p19に加部巌夫の歌詞あり。そのほか、p242に加部巌夫らを指し「この作者たちはみな国文学者で和歌をよくした人々と思われるが、これらの外国曲には七五調や和歌体と全く異なる字くばりのものが多く(例。「蝶々」は六・七・八・七.「あおげば尊し」は八・六。「才女」は六・六・七・五)非常に作りにくかったことであったろうにもかかわらず、明治初年によくこれだけ意味のとおったものが作れたと感心する。」等記述あり。
(CD)
『唱歌大全集:1:日本のふるさとのうた:あおげば尊し[ほか]』(ダーク・ダックス,ほか キングレコード 1994)
別冊総合解説p23に「作詞の加部巌夫は、文部省音楽取調掛の一員でした。初期の小学唱歌の傑作のひとつといわれ、桜の花の美しさ、咲きほこる花の見事さをうたって、当時の子どもたちに広く愛唱されました。」とあり。
『明治の唱歌とエッケルトの仕事』(フランツ・エッケルト(編曲) 藍川由美(S)(1-19,23,24) カメラータトウキョウ 2006)
解説書p5-6 加部巌夫作詞の歌詞あり。「4分の4拍子のドイツ民謡に春の季語「霞」「鶯」を主題とする歌詞がついた。『小学唱歌集』初編所収の《蝶々》ともども『幼稚園唱歌集』(明治20年)にも収録。」等記述あり。
- 回答プロセス
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1 自館資料を調べる。
2 以下のウェブサイト・データベースを〈霞か雲か〉〈加部巌夫〉〈ホフマン・フォン・ファラースレーベン〉〈アウグスト・ハインリヒ・ホフマン〉で検索する。
(1) 《WHOPLUS》(日外アソシエーツ)
Hoffmann von Fallersleben,August Heinrich 〈18・19世紀〉
集英社世界文学大事典より「ホフマン・フォン・ファラースレーベン,アウグスト・ハインリヒ 1798.4.2-1874.1.19」とあり。
〈加部巌夫〉該当なし。
(2)《コトバンク》(https://kotobank.jp/ 朝日新聞)
「デジタル大辞泉プラスの解説 霞か雲か 日本の唱歌の題名。作詞:加部巌夫、曲はドイツ民謡「春の訪れ」に基づく。発表年は1883年」とあり。
(3)《国会図書館デジタルコレクション》(http://dl.ndl.go.jp/ 国会図書館)
林淑姫著「楽譜の風景 -音楽の明治・大正・昭和-」(『国立国会図書館月報 2013年7/8月 628/629』p4-14 国立国会図書館 2013.7)
p6 「写真6~7は明治8年交付本のうちのひとつThe Young Singer(Cincinnati, 1860)3で、その第1編に収められた“Spring Song”の旋律形は『小学唱歌集第二編』の「霞か雲か」に転用されている(写真5)」とあり。(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8235961 国会図書館)写真5は「小学唱歌集. 第2編」(文部省音楽取調掛編 文部省 1881-1884)(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992052 国会図書館)5コマ
(4)《CiNii Articles》(http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)
阪井葉子著「ホフマン=フォン=ファラースレーベンと民謡」(「待兼山論叢. 文学篇 39」p1-16 大阪大学 2005.12)
p9 「日本でも「かすみか雲か」の歌詞でおなじみの『すべての鳥たちが帰ってきた Alle Vogel sind schon daや(中略)ドイツ語圏を代表する童謡のかなりの部分が、じつはホフマンの作詞による歌だったことがわかるのである」とあるのみ。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2017年5月30日。
- 事前調査事項
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『日本唱歌集』(堀内 敬三・ 井上 武士編 岩波書店 1982)
加部巌夫訳の歌詞と楽譜が掲載されていたため、提供
CD『日本SP名盤復刻選集:外国人音楽国内録音(1)』及びその解説書
曲そのものについての解説は数行あったが、歌詞の記載及び解説はなかった。
グーグル検索にて『霞か雲か』『加部巌夫』で検索
ウェブサイト 「世界の民謡・童謡」(29.05.24 最終閲覧)
http://www.worldfolksong.com/songbook/germany/alle-vogel-sind.html
上記サイトに原文及び複数の訳者の訳が掲載されているのを確認したが、歌詞の解説はなかった。
また、出典についても記述が乏しい。
調査済み資料:
堀内 敬三・ 井上 武士∥編『日本唱歌集』(岩波書店、1982)
『日本SP名盤復刻選集:外国人音楽国内録音(1)』及びその解説書
ウェブサイト 「世界の民謡・童謡」(29.05.24 最終閲覧)
http://www.worldfolksong.com/songbook/germany/alle-vogel-sind.html
- NDC
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- 声楽 (767)
- 参考資料
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- 『世界民謡全集 5 ドイツ篇』(門馬直衛編 音楽之友社 1960)
- 『童謡と唱歌 歌唱の歴史 1 春夏のうた』(池田小百合著 夢工房 2002) , ISBN 4-946513-75-2
- 『日本のうた 第1集 明治・大正』(野ばら社 1998) , ISBN 4-88986-346-X
- 『世界と日本の愛唱歌・抒情歌事典』(長田暁二著 ヤマハミュージックメディア 2015) , ISBN 978-4-636-91852-6
- 『日本唱歌集 ワイド版岩波文庫 54』(堀内敬三編 井上武士編 岩波書店 1991) , ISBN 4-00-007054-1
- 『唱歌大全集:1:日本のふるさとのうた:あおげば尊し[ほか]』(CD ダーク・ダックス,ほか キングレコード 1994)
- 『明治の唱歌とエッケルトの仕事』(フランツ・エッケルト(編曲) 藍川由美(S)(CD 1-19,23,24) カメラータトウキョウ 2006)
- キーワード
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- 民謡-歌曲-歌詞-ドイツ
- 加部 巌男(カベ イワオ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000224123