レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/09/24
- 登録日時
- 2014/12/05 00:30
- 更新日時
- 2014/12/05 00:30
- 管理番号
- 6001005480
- 質問
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解決
地方公務員は、地方公務員法第38条により営利企業等の従事制限がありますが、地方公務員が不動産賃貸により収入を得ることの可否、可能な場合は条件等についてお調べいただきたいと思います。
- 回答
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お問い合わせの「可否」、および「その条件」は自治体によって異なるようです。
これは「行政行為は、法律に基づき、法律に従って行われるが、法律による行政行為の拘束の程度・態様は一律ではない。法律が行政行為の要件や内容について一義的に拘束している場合と、行政庁の裁量の余地を広く認めている場合とがある。」に基づく「裁量行為」にあたるからのようです。(『新自治用語辞典(改訂版)』(新自治用語辞典編纂会/編 ぎょうせい 2012.6 p.366 当館請求記号【318/374N】貸出不可)
「3.公務員制度、組織人員体制調査」 (2014/9/15現在)
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/9519/00046693/soukatsuhyou-3(koumuin).pdf
これは「大阪府の財政構造等に関する調査分析報告書(参考資料)平成22年4月」の中の「■他府県調査の結果(総括表)」の1つです。「調査項目1 6.営利企業等の従事制限特例許可が必要な範囲 不動産・駐車場賃貸(3/7)」に、大阪府「賃貸を行う場合(全て)」とともに、秋田県・静岡県・愛知県・京都府・兵庫県・島根県・徳島県・福岡県の状況がわかります。この調査では、「国基準と同じ」県が多いようです。
次に、国基準となる人事院の場合をご紹介します。
人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について (昭和31年8月23日職職-599)(人事院事務総長発) 最終改正:平成20年12月25日職審-509 (2014/9/15現在)
http://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/14_fukumu/1403000_S31shokushoku599.htm
第1項関係
4 ..... 不動産又は駐車場の賃貸にあつては次のいずれかに該当するときは、自営に当たるものとして取り扱うものとする。
(1) 不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
(2) 駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
ロ 駐車台数が10台以上であること。
(3) 不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
(4) (1)又は(2)に掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる場合
5 「人事院が定める場合」は、次に掲げる場合とする。
一 不動産又は駐車場の賃貸に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
(1) 職員の官職と承認に係る不動産又は駐車場の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
二 不動産又は駐車場の賃貸以外の事業に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
(1) 職員の官職と当該事業との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2) 職員以外の者を当該事業の業務の遂行のための責任者としていること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3) 当該事業が相続、遺贈等により家業を継承したものであること。
(4) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
そのほか、インターネットでは、次の2例を見つけることができました。
三重県「職員の副業について」(お答えします「県民の声を受けて」)(2014/9/15現在)
http://www.pref.mie.lg.jp/KOHO/voice/view.asp?NO=200300192&CTR=SEC&YY=2003&MM=&AREA=0&SECTION=1&WORD=&POLICY=&MEASURE=&ENTERPRISE=&PNO=4
佐賀市「職員の不動産経営について」(電子提言箱)(2014/9/15現在)
http://www.city.saga.lg.jp/contents.jsp?id=38561
したがいまして、詳しい条件はお知りになりたい自治体へ直接問い合わせていただくほうが確実です。
参考までに、次の3点の資料を調べましたが、お尋ねの「不動産賃貸による収入を得ることの可否」については記載されていませんでした。
1)『地方公務員法(法務研修・学習テキスト)』(兼子仁著 北樹出版 2006.5)当館請求記号【318.3/179N】 p.90
2)『地方公務員法の解説(三訂版)』(竹之内一幸、橋本基弘著 一橋出版 2006.9)【318.3/183N】 p.72
3)『逐条地方公務員法(新版 第3次改定版)』(橋本勇著 学陽書房 2014.1)【318.3/20N】 p.743-749
さらに、次の3点のデータベースでも調査しました。
4)当館が契約しているデータベース「D1-Law」で次のキーワードを使って検索しましたが、該当する判例は収録されていませんでした。(2014/9/12現在)
「地方公務員 AND 不動産」「地方公務員 AND 家賃」「地方公務員 AND 賃貸」「地方公務員法第38条」「地方公務員法38条」
※「D1-Law」とは、「第一法規が提供する法情報総合データベースです」(HPより)
5)念のため、同じく当館が契約している「Lexis AS ONE」でも、同じ5通りのキーワードを使って検索しましたが、該当する判例は収録されていませんでした。(2014/9/13現在)
※「Lexis ASONE」とは、「レクシスネクシス・ジャパン社が提供する日本法総合データベースです。日本の判例、法令、書誌・文献情報などが収録されています。」(HPより)
6)念のため、「裁判所COURTS INJAPAN」の「裁判例情報」を、同じ5通りのキーワードを使って検索しましたが、該当する判例は収録されていませんでした。(2014/9/14現在)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1
なお、これらの判例については訴訟に及んだ場合のみで、それ以外の方法で解決した場合は収録されていないことをご了承ください。
[事例作成日: 2014年9月24現在]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 地方自治.地方行政 (318 8版)
- 参考資料
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- 新自治用語辞典 新自治用語辞典編纂会∥編集 ぎょうせい (366)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 法律
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000164022