レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/05/23
- 登録日時
- 2013/06/02 00:30
- 更新日時
- 2013/07/06 13:30
- 管理番号
- 6000011502
- 質問
-
解決
儀助煮という食べものの由来を知りたい。
- 回答
-
『福岡県百科事典』上巻によると、明治時代に、福岡県博多の宮野儀助という方が考案した食品で、1890年に商品化するにあたり「儀助煮」と名付けて販売した。材料はそれまで肥料とされていた幼魚を用い、戦前は海外にまで販路をひろげて珍重されたが、戦後は幼魚が採れなくなり廃業したとのこと。
なお儀助煮の製法は愛媛県にも伝わり、その様子はデータベース「えひめの記憶」(http://ilove.manabi-ehime.jp/system/regional/search.asp)で紹介されている。
- 回答プロセス
-
まずは語源を調べてみようと『日本料理語源集』(光琳社出版)をあたると「ぎすけに」の項に「博多の宮崎(ママ)儀助という人が作り始めたのでこの名があります。小鯛、小鰈、(後略)」との記述が見つかった。また『日本国語大辞典』第二版(小学館)には「ぎすけに」の項のさいごに「宮野儀助の創製によるのでこの名がある。福岡県の名物」と紹介されていた。
両書では姓の一字が異なるがいずれも福岡県に発祥が求められる旨の内容だったので、『福岡県百科事典』(西日本新聞社)を引くと「儀助煮」の項目があり、それを示して回答した。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 食品.料理 (596 9版)
- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 語源.意味[語義] (812 9版)
- 参考資料
-
- 『福岡県百科事典 上』西日本新聞社福岡県百科事典刊行本部/編(西日本新聞社) (p476)
- 『日本料理語源集』中村 幸平/著(光琳社出版) (p182)
- 『日本国語大辞典 第4巻』小学館国語辞典編集部/編集(小学館) (p123)
- 『コツと科学の調理事典』河野 友美/著(医歯薬出版) (p113)
- 『味のふるさと 13』(角川書店) (p91)
- キーワード
-
- 儀助煮(ギスケニ)
- 料理
- 郷土料理
- 食品
- 福岡県
- 愛媛県
- 宮野儀助(ミヤノギスケ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
『日本国語大辞典』第二版(小学館)第四巻 p123
ゆでて干した小だいや小えびなどを甘辛く煮、とうがらし粉、青のり、けしの実などをかけ、焙炉(ほいろ)であぶりかわした料理。
『日本料理語源集』(光琳社出版)p182
小鯛、小鰈、小海老、小鰺、その他小魚を素干しにしたのち炒って味を付け、更にこれを乾燥させ、白胡麻、けしの実、唐がらしを少し混ぜたもの。
『福岡県百科事典』上巻(西日本新聞社)p476 波多江五兵衛
肥料にするよりほか使い道のなかったカレイ,エビ,タイ,キビナゴなどの幼魚を(中略)水煮したのち独自の乾燥方法で処理し,淡い塩味と軽い胡椒の辛みを加える工夫
『コツと科学の調理事典』(医歯薬出版)p113
干した小魚を調味液で煮含め,青のり,とうがらし粉などを振ってあぶり乾かしたもの.小だい,小がれい,小えび,小あじなどが使われる.
『福岡の味』味のふるさと13 p91
「たべもの語源」の項に同様の解説と「戦後は博多煮の名で復活した」とある。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000131929