レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/7/27
- 登録日時
- 2017/08/17 00:30
- 更新日時
- 2017/08/24 09:02
- 管理番号
- B2017口頭0803
- 質問
-
解決
粉はなぜ物にくっつくのですか。例えば、粒の細かな粉薬は容器にくっついて多少ゆすったくらいでは離れないのですが、それはなぜですか。
- 回答
-
粉のことを専門用語で「粉体」といいます。国立国会図書館所蔵資料およびインターネット資料を調査したところ、粉体の付着力について説明している資料1・2およびインターネット情報1が見つかりましたのでご紹介します。【 】内は当館請求記号です。インターネットの最終アクセス日は2017年7月27日です。
資料1 内藤牧男, 野田直希, 牧野尚夫 著. 粉体の科学. 日刊工業新聞社, 2014.11 【PA151-L38】
粉体全般についてわかりやすく解説した資料です。「6 粉体と粒体の違いは?」(pp.14-15)では、粉体の付着力の種類として、ファン・デル・ワールス力(物体間に必ず作用する力)、静電気力、液架橋力(粒子間に凝縮した水分により生じる力)の3種類を紹介しています。パチンコ玉やビー玉のようにある程度大きな物体であれば、これらの力よりも重力が作用する力のほうが大きいので物にくっつかないのですが、物体の大きさが一定以上小さくなると、重力よりもこれらの力が強く働くようになるので、壁面にくっついたり、粒子同士がくっついたりします。具体的には、重力は粒子径の3乗に比例する一方、上記3つの力は粒子径や粒子径の2乗に比例するからであるといったことを図を用いて説明しています。
資料2 小波盛佳, 松本幹治 監修. 粉体・ナノ粒子の創製と製造・処理技術 = Process design and trouble shooting in powder & nanoparticle processing : 基礎物性からプロセス設計の実務・トラブル処理まで. テクノシステム, 2014.11 【PA151-L37】
第3章の「第10節 粉体の諸操作に係る付着性・流動性の測定と評価」(pp.137-147)では、付着力の最も基本的な要因であるとして前述のファンデルワールス力、静電気力、液架橋力の3種類の力について、資料1よりも詳しく紹介しています。また、付着力の主な測定方法も紹介しています。本書には、こうした粉体の物性についての記載のほか、例えば「第6章 粉体の取り扱いにおけるトラブルとその対策」、「第9章 諸分野の粉体製造・取り扱いプロセス」などの実務的な記載もあります。
インターネット情報1 粉体技術用語 一般社団法人日本粉体工業技術協会 (http://appie.or.jp/shirumanabu/glossary/)
日本粉体工業技術協会のホームページにある粉体技術用語の解説ページです。「付着力」の項で、主な要因として、ファンデアワールス力、静電気力、液架橋力があるとしています。他に、粉体技術に関する用語を多数紹介しています。
なお、国立国会図書館提供調べ方ページ「リサーチ・ナビ」内の調べ方案内でも、化学や物理について調べるための資料・インターネット情報源を紹介しています。
・調べ方案内「化学一般について調べる(辞典・便覧類)」(https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-472.php)
・調べ方案内「物理学一般について調べる」(https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-502.php)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 化学工学.化学機器 (571)
- 参考資料
- キーワード
-
- 粉体
- 粒子
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000220673