レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/08/20
- 登録日時
- 2018/09/05 00:30
- 更新日時
- 2018/10/05 14:53
- 管理番号
- 6000042101
- 質問
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解決
日本に薔薇がどのように輸入されてきたか。平安から室町時代に、薔薇がどのように文化的に位置づけられていたか。当時の絵画もあれば、見たい。
- 回答
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『バラの誕生』(中央公論社)
『日本のバラ』(淡交社)
『源氏物語と白楽天』(岩波書店)
『和漢古典植物名精解』(和泉書院)
平安時代には、中国からコウシンバラ(長春花)が渡来していたと考えられている。「古今和歌集」、「枕草子」、「伊勢物語」、「源氏物語」、「明月記」などから、薔薇が観賞されていたことがわかる。
絵画では、「春日権現験記絵」にコウシンバラが描かれているのが、最初である。
- 回答プロセス
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『源氏物語図典』p204 薔薇(そうび)・・・「この時代はコウシンバラか。中国渡来の植物で、当時は字音に即してソウビと読んだ」とある。
『バラの誕生』(中央公論社)p188
「「万葉集」に登場する「宇万良」の主体はノイバラであったと想像される。また、延長五(927)年に編纂された『延喜式』に、「典薬寮 如金桜子核 八月採之根采無時」という記述がある。この金桜子はノイバラと考えられるので、当時はノイバラの根を薬にしたことがわかる。」「中国との交易が始まると、コウシンバラなど中国原産のバラが導入され、ノイバラなど日本の野生のバラは古典文学に登場しなくなった」「有名な紀貫之の「我はけさうひにぞみつる花の色をあだなる物といふべかりけり」の「薔薇(そうび)」(けさの「さ」とさうびの「さ」が重なっている)も野生のバラではなく、中国から渡来した園芸バラと解するのが自然である」等と記載あり。
『古事類苑』植物部六に、「金櫻子」「ラウザイバラ」の記述あり。「コウシンバラ」見当たらず。
『日本のバラ』p69 室町時代の浜松図屏風 コウシンバラの絵あり。
p70 「日本には室町時代以前に渡来」とある
p100 「古今和歌集」、「枕草子」、「伊勢物語」、「源氏物語」、「明月記」の薔薇について考察あり。
p103 「春日権現験記絵」に描かれた赤い花について、「これはコウシンバラの日本における最初の画像記録である」とある。
『平安の苑』p148
ノイバラ(野薔薇)の項目に、平安時代にはまだ西洋薔薇が日本に渡来していないから、この平安時代の薔薇は、ノイバラである、とある。
『源氏物語と白楽天』p129~
「源氏物語」に引用された白楽天の詩や、古典文学の中の薔薇について考察あり。
『和漢古典植物名精解』p468~
萬葉集の「うまら」について考察あり。
また、藤原定家の「明月記」について、「定家のいう長春花はコウシンバラとしてまちがいない」という記述あり。
その他確認した資料
『図説草木辞苑』
『植物の漢字語源辞典』
『日本帰化植物写真図鑑』
『La rose ばら・花図譜』p351 ロサ キネンシスの項目に、和名コウシン(庚申)バラ。とあり。
『花と木の文化史』
『薔薇のイコノロジー』
『日本美術作品レファレンス事典 絵画篇 近世以前』・・・薔薇小禽図(若冲)薔薇図(長沢芦雪)が載っている。
『画題辞典』・・・・薔薇なし
『日本花鳥画集成』・・明治以降の作品
『東洋画題綜覧』・・・画題の説明
- 事前調査事項
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コウシンバラ(長春花)と言われていたと思うとのこと。
- NDC
- 参考資料
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- 『バラの誕生』 大場 秀章/著 中央公論社
- 『日本のバラ』 松本 路子/写真 淡交社
- 『源氏物語と白楽天』 中西 進/著 岩波書店
- 『和漢古典植物名精解』 木下 武司/著 和泉書院
- キーワード
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- 植物(ショクブツ)
- 園芸(エンゲイ)
- 文学(ブンガク)
- 歴史(レキシ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000241912