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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000226147
提供館
(Library)
千葉県立中央図書館 (2120001)管理番号
(Control number)
千県中参考-2017-11
事例作成日
(Creation date)
2015/10/06登録日時
(Registration date)
2017年12月10日 00時30分更新日時
(Last update)
2017年12月10日 12時40分
質問
(Question)
裁判では通常、敗訴者が訴訟費用を負担するが、弁護士費用は訴訟費用に含まれない。しかし、ある一定の場合は弁護士費用が敗訴者の負担になるらしく、それがどのような場合か知りたい。
回答
(Answer)
【資料1】から【資料5】によると、以下のような場合は、勝訴者が敗訴者に対して、弁護士費用のうち裁判所が相当と認める額を請求できることがあるようです。

(民事訴訟において)
・不法行為による損害賠償請求事件で、原告(不法行為の被害者)が勝訴した場合
(最高裁判例昭和44年2月27日『最高裁判所民事判例集』23巻2号441頁)
・不当な提訴を受けて、その応訴のために弁護士費用を費やした場合
(最高裁判例昭和63年1月26日『最高裁民事判例集』42巻1号1頁)
(大審院判決昭和18年11月2日『大審院民事判例集』22巻1179頁)
・債務不履行の中で、使用者の安全配慮義務違反による損害賠償請求事件の場合
(最高裁判例平成24年2月24日『判例時報』2144号89頁)
・金銭を目的としない債務の不履行による損害賠償請求事件で、その債務不履行が不法行為も構成する場合
(名古屋高等裁判所金沢支部判決昭和53年1月30日『判例タイムズ』362号320頁)
(東京地裁判決平成17年7月29日『判例タイムズ』1228号262頁)

(行政訴訟において)
・住民訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む)した場合
(地方自治法242条の2第12項)
・課税処分の違法を主張する国家賠償訴訟係属中に、処分庁が当該課税処分を取り消した場合
(最高裁判例平成16年12月17日『判例時報』1892号14頁)
回答プロセス
(Answering process)
まず、千葉県立中央図書館でNDC327.14(弁護士)付近の書架を確認しました。
『弁護士の上手な探し方・頼み方』(自由国民社 2012)
p. 69「弁護士費用と訴訟費用」から、質問内容のとおりの仕組みであることを確認しました。
「民事訴訟法では「訴訟費用は敗訴の当事者の負担とす」と定めています(61条)。しかし、(中略)民事訴訟費用法という法律があって、弁護士にかかった費用は含まれていません。」

インターネット検索の結果から、損害賠償請求事件や国家賠償請求訴訟において弁護士費用の負担をめぐって争われることがわかったので、千葉県立中央図書館でNDC323.96(行政訴訟)、324.55(不法行為)、327.2(民事訴訟法)、681.3(交通事故)付近の書架を確認しました。

【資料1】『新法学講義民事訴訟法』(小林秀之編 悠々社 2012)
p. 111「弁護士費用」
「不法行為に基づく損害賠償請求の場合には、不法行為と相当因果関係に立つ損害として、判例は弁護士費用の賠償を認めている(最高裁判例昭和44年2月27日『最高裁判所民事判例集』23巻2号441頁)。原告(不法行為の被害者)が勝訴した場合にのみ請求が認められ、被告が勝訴した場合には認められない。(中略)不当提訴の場合には、訴え自体が不法行為となり弁護士費用の損害賠償が認められる(最高裁判例昭和63年1月26日『最高裁民事判例集』42巻1号1頁)。」

【資料2】『不法行為法』(吉村良一著 有斐閣 2017)
p. 177「弁護士費用」
「不当な訴訟を強いられた場合のように相手方の訴訟提起そのものが不法行為にあたる場合は、弁護士費用は賠償されるべきとの判断を示した(大審院判決昭和18年11月2日『大審院民事判例集』22巻1179頁)。(中略)損害として賠償できる弁護士費用、必ずしも実際に支払われた額ではなく、当該事件の処理に対する報酬および手数料として相当な額であり、実務では、請求額(認容賠償額)の1割とされるのが一般的である。なお、安全配慮義務違反による損害賠償は債務不履行と理解されているが、(中略)同様に弁護士費用も損害として認められる(最高裁判例平成24年2月24日『判例時報』2144号89頁)。」

【資料3】『身近な損害賠償関係訴訟 理論と裁判例』(園部厚著 青林書院 2014)
p. 9「債務不履行に伴う損害賠償としての弁護士費用」
「債権者は、金銭債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求することはできない(中略)(最高裁判決昭和48年10月11日『判例時報』723号44頁)。ただ、金銭を目的としない債務の不履行による損害賠償請求について、その債務不履行が不法行為も構成するような場合においては、相当と認められる額の範囲内の弁護士費用は債務不履行により通常生ずべき損害に含まれる(中略)(名古屋高等裁判所金沢支部判決昭和53年1月30日『判例タイムズ』362号320頁)(東京地裁判決平成17年7月29日『判例タイムズ』1228号262頁)。」

【資料4】『判例にみる損害賠償額算定の実務』(升田純著 民事法研究会 2011)
巻末の「損害類型別索引」で「弁護士費用」を引くと、該当の判例が約30件あります。

【資料5】『行政裁判法 行政法講義』(大浜啓吉著 岩波書店 2011)
p. 324「弁護士費用」
「住民訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む)した場合において、弁護士または弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる(地方自治法242条の2第12項)。(中略)原告住民は、地方自治法242条の2第12項により、自治体が任意に支払わない場合には、訴訟を提起できる。」

p. 445「損害と因果関係:損害」
「課税処分の違法を主張する国家賠償訴訟係属中に、処分庁が当該課税処分を取り消した場合、当該訴訟の提起・追行に係る弁護士費用が、当該処分と因果関係があるかが争点となった事案において、最高裁は「本件訴訟の提起及び追行に係る弁護士費用のうち相当と認められる額の範囲内のものは、本件課税処分と相当因果関係にある損害と解すべきである」と判示した(最高裁判例平成16年12月17日『判例時報』1892号14頁)。

その他、以下の資料にも関連する記述があります。
『民事訴訟法』(伊藤眞著 有斐閣 2016)
p. 599(注釈310)
『クロスレファレンス民事実務講義』(京野哲也著 ぎょうせい 2015)
p. 280「パラグラフ570」
『民事訴訟法 新・コンメンタール』(笠井正俊編 日本評論社 2013)
p. 261「弁護士費用」
『ケースでわかる損害賠償・慰謝料の法律相談Q&A』(上田智司著 法学書院 2012)
p. 176「裁判の弁護士費用を請求できるか」
『新民事訴訟法』(新堂幸司著 弘文堂 2011)
p. 984「弁護士費用の弁償」
『民事訴訟法講義』(三谷忠之著 成文堂 2011)
p. 259「訴訟費用」
『民事手続法事典 下』(宮脇幸彦[ほか]編集 ぎょうせい 1995)
p. 1448「弁護士費用の損害賠償」
『交通事故の法律知識』(自由国民社 2015)
p. 277「弁護士費用を相手に請求」
『実務家のための交通事故の責任と損害賠償』(水津正臣編著 三協法規出版 2011)
p. 155「弁護士費用」
『大阪地裁における交通損害賠償の算定基準』(大阪地裁民事交通訴訟研究会編著 判例タイムズ社 2009)
p. 71「弁護士費用」
『国家賠償法コンメンタール』(西埜章著 勁草書房 2012)
第1章 公権力の行使に基づく損害の賠償責任等>第9節 損害>第3款 損害額の算定
p. 592「弁護士費用」

また、「D1-Law.com第一法規法情報総合データベース」( https://www.d1-law.com/ )「判例体系」で上の各判例の頁を確認したところ、関連体系(体系目次)から類似の判例が多数見つかりました。同じく「判例体系」で、事項「弁護士費用」かつ参照法令「地方自治法242条の2」で検索したところ、該当判例が19件ありました。
ただし、弁護士費用が損害として認められたか否か等、個々の判例の詳細は確認できていません。

なお、「D1-Law.com」「法律判例文献情報」で事項「弁護士費用 負担」と検索したり、その検索結果を参考に千葉県立図書館OPAC(蔵書検索システム)で全項目「弁護士報酬 負担」と検索したりして、以下の専門書が見つかりました。参考までに紹介します。
『弁護士報酬敗訴者負担制度の比較研究 ドイツの敗訴者負担原則と日本の裁判実務』(半田吉信著 法律文化社 2006)
p. 211-229「第8章 日本の裁判実務と弁護士報酬」
誰が弁護士報酬を負担するかをめぐる議論の経緯や、弁護士報酬の敗訴者負担が認められた判例の類型について書かれています。
『民事手続法学の新たな地平 青山善充先生古稀祝賀論文集』(伊藤眞[ほか]編 有斐閣 2009)「弁護士報酬の敗訴者負担に関する議論の近況」(北村賢哲著)(p. 1073-1112)
弁護士報酬の敗訴者負担に関するこれまでの議論を整理し、最近の議論の様子を考察するものです。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
憲法  (323 9版)
民法.民事法  (324 9版)
司法.訴訟手続法  (327 9版)
参考資料
(Reference materials)
【資料1】『新法学講義民事訴訟法』(小林秀之編 悠々社 2012)(0106335432)
【資料2】『不法行為法』(吉村良一著 有斐閣 2017)(0106575475)
【資料3】『身近な損害賠償関係訴訟 理論と裁判例』(園部厚著 青林書院 2014)(0106460074)
【資料4】『判例にみる損害賠償額算定の実務』(升田純著 民事法研究会 2011)(0106317612)
【資料5】『行政裁判法 行政法講義』(大浜啓吉著 岩波書店 2011)(0106302333)
キーワード
(Keywords)
弁護士(ベンゴシ)
訴訟費用(ソショウヒヨウ)
不法行為(フホウコウイ)
損害賠償(ソンガイバイショウ)
国家賠償(コッカバイショウ)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
法情報
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000226147解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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