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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000224235
提供館
(Library)
紙の博物館図書室 (4210001)管理番号
(Control number)
20171109001
事例作成日
(Creation date)
2017年06月11日登録日時
(Registration date)
2017年11月05日 00時30分更新日時
(Last update)
2017年11月26日 11時01分
質問
(Question)
重陽の節句(9月9日)にちなむ料理の盛り付けの小道具として使う「油障子」について菊の栽培と関係あると聞いたが、油障子ができたのはいつごろか。菊の栽培に油障子が使われるようになったのはいつごろか。
回答
(Answer)
・油障子ができたのはいつごろか。

①障子が一般家屋に普及し、その素材である和紙が大量生産され、農業や園芸の分野でも使われるようになるのは江戸時代以降と考えられる。油障子には市松模様のものと、無地のものがあるが、明和2年(1765)の歌舞伎の大道具「嵐雛治の皆鶴姫」(あらしひなじのみなつるひめ)に描かれている雨除障子は市松模様ではない。『伝統の古典菊』

②明和7年(1770)に描かれた鈴木晴信の浮世絵「十二ヶ月」という続き物の「九月」にある菊花壇に白と紺色の市松模様の覆いが描かれていることから、このころより市松模様の油障子が出始めたのかもしれない。

鈴木春信「十二ヶ月」のうち「九月」
http://www.mfa.org/collections/object/the-ninth-month-kugatsu-from-an-untitled-series-of-twelve-months-212383 (2017/11/25確認)

・菊の栽培に油障子が使われるようになったのはいつごろか。

明確な年月は不明だが、江戸時代以降の菊栽培書に油障子(雨除障子)の記載が見えるようになることから江戸時代以降の事と推定される。
比較的古い版本として『花壇菊花大全』享保2(1717)に油障子が使われた記述があるとされる。


(参考)
油障子
「市松障子」「雨除障子」(あめよけしょうじ)とも呼ぶ。重陽の節句に合わせて客を招く場として菊花壇が武家の庭などに作られるようになり、雨除け障子として市松模様の障子が不可欠なものとして発展した。花が日や雨に当たり傷まぬように、青い部分は藍染で、桐油や明礬で礬砂引き(どうさびき)した丈夫な紙を障子に用いた。莟(つぼみ)の時期に仕立てる菊花壇に不可欠の装置で、板葺では花色が不明瞭なので、手間がかかっても雨除け障子は必須でいつしか市松模様の障子だけで菊花壇とわかるほど、一般に普及した。『伝統の古典菊』

菊花壇
現在の西洋風花壇ではなく、新宿御苑等で毎年開催される菊花展のように、簡易な小屋形式に飾り立てるもの。菊花壇を内にしつらえ、天部を藍色と白の市松の障子で覆った小屋。『温室』
回答プロセス
(Answering process)
① 所蔵図書より「障子」について調査するが 「油障子」についての記述なし。

② 当館OPACにて「菊」で検索すると 『伝統の古典菊』がヒットする。油障子と菊栽培の関係の記述あり。

③ 国会図書館デジタル化資料送信を通して「油障子」で検索するが、「油障子」と菊栽培の歴史について触れられているものはみつからず。

④ 以上の調査結果を質問者に回答したところ、質問者より鈴木晴信「十二ヶ月」の事を知らされる。

⑤ 野菜の促成栽培の歴史については当館蔵書・デジタル化資料送信資料を調査しても的確なものは見つからず。

⑥ その後「レファレンス協同データベース事業担当者研修会」を受け追加調査を始める。

⑦ 国立歴史民俗学博物館・くらしの植物苑で開催中の「伝統の古典菊」展を訪問し『人と植物の文化史』を入手する。

⑧ 『人と植物の文化史』の参考文献より『温室』を知り入手する。
事前調査事項
(Preliminary research)
質問者より「油障子」は紺と白の市松模様のもので、農業や園芸の道具として用いられてきたと聞いた。野菜の促成栽培用としては1600代後半に既に使われたとされるがその記述は出典によりブレがある。更に質問者が大阪府立図書館より享保元年(1716)の『花壇菊花大全』に油障子が菊の栽培に使われていたという情報をいただく。
NDC
園芸史.事情  (622)
参考資料
(Reference materials)
人間文化研究機構国立歴史民俗博物館/編 , 国立歴史民俗博物館. 伝統の古典菊 : くらしの植物苑特別企画. 国立歴史民俗博物館, 2015.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I068927899-00
障子の本. 同和製紙, 1982.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I027626091-00
国立歴史民俗博物館, 青木隆浩 編 , 青木, 隆浩, 1970- , 国立歴史民俗博物館. 人と植物の文化史 : くらしの植物苑がみせるもの. 古今書院, 2017.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028032633-00 , ISBN 9784772271431
平野恵 著 , 平野, 恵, 1965-. 温室. 法政大学出版局, 2010. (ものと人間の文化史 ; 152)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011030362-00 , ISBN 9784588215216
養寿軒, 雲峰 , 養寿軒雲峰. 花壇菊花大全 3巻. 上村四郎兵衛[ほか1名], 1717.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I000188131-00
キーワード
(Keywords)
菊花壇
油障子
雨除障子
重陽の節句
菊栽培
唐むろ
雨障子
市松障子
園芸史
照会先
(Institution or person inquired for advice)
大阪府立図書館
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
言葉
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000224235解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決