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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000211479
提供館
(Library)
福井県文書館 (9000002)管理番号
(Control number)
2017-001
事例作成日
(Creation date)
登録日時
(Registration date)
2017年03月11日 12時10分更新日時
(Last update)
2017年05月20日 11時43分
質問
(Question)
幕末の福井藩士 橋本左内の藩校明道館での役職(1857年(安政4))を「学監同様心得」としている刊行物が多いが、「同様心得」とは?
回答
(Answer)
 橋本左内(1834~1859)の明道館での役職として、1857年(安政4)に「明道館学監同様心得」に任ぜられたとしている刊行物やWeb上の記述が少なくない(回答プロセス参照)。しかし、一般には、職務に関連する「心得」には、「下級の者が、仮に一時上級の者の職務をつかさどる時の名称」(『日本国語大辞典』)という意味があり、左内の学監就任は一時的なものであったということだろうか。典拠となった資料にたち返ってみてみよう。 

(1)左内自身の記録
・左内自筆の記録とされる「明道館諸役輩名簿」(福井市春嶽公記念文庫蔵、『橋本景岳全集』上 1939年)
 ここでは、学監として、長谷部甚平ほか7名が列記され、その最後に橋本左内の名がある。その上に小さな文字で「幹事局御用取扱/御調御用掛り/並洋学所掛り」と記されている。
・同じ福井市春嶽公記念文庫には、村田氏寿によると推測される「明道館役輩並生徒名簿」(安政4年11月ごろ左内に送付)がある。ここでは、学監は長谷部甚平ほか8名(井上弥一郎が加わっている)で、左内は同様に末尾に記されている(うち大井弥十郎が傍線で抹消。福井市春嶽公記念文庫蔵、『橋本景岳全集』上 1939年)。
 この2つの資料からは、安政4年、橋本左内は明道館において「学監」のひとりとして位置し、「幹事局御用取扱」などいくつかの職務をもっていたことがわかる。
 
(2)一方、藩政資料である松平文庫(福井県立図書館保管)には、以下の3点の関連資料がある。このうち、藩士の元当主の履歴を収録した「剥札」では、
「同(安政:引用者注)四巳年正月十五日明道館御用掛り被仰付、学監同様相心得、依之役中御充行拾七人扶持ニ御直シ」(翻刻は、福井県文書館資料叢書『福井藩士履歴』5 p.108)とある。
 当館デジタルアーカイブの画像は、 http://www.archives.pref.fukui.jp/archive/image_pu.do?iCnt=-3&id=320812&smode=1&mno=145
・また、藩医の履歴である「諸役人并町在御扶持人姓名 (三)御医師御鍼医御目医師御外科」(翻刻は『福井県医師会史』2 p.71)でも、同日付で
「明道館御用掛り被仰付、学監同様相心得」とある。
 当館デジタルアーカイブの画像は、 http://www.archives.pref.fukui.jp/archive/image_pu.do?iCnt=-137&id=321342&smode=1&mno=130
・「明道館御用留抜書」でも、同日付「明道館/御用掛り/被仰付、学監同様/可相心得候」 (/は改行、翻刻は『福井市史』資料編9 p.113 )
とある。この資料では、「あいこころうべくそうろう」と「心得」は、名詞ではなく明らかに動詞として用いられていることがわかる。これと同様に前述2点の履歴資料でも「あいこころえ」と動詞として用いられている。

・任用の際の他の福井藩士の事例をみても、「同様心得」とする用例は見あたらない(福井県文書館資料叢書『福井藩士履歴』1~5[既刊])。

 以上の理由から、資料的に裏付けられる役職名は、「学監」あるいは「学監同様」とするのが適当と考えられる。
回答プロセス
(Answering process)
(1)明道館の「学監同様心得」と記述しているしている資料は、以下の通り。 
・山田秋甫『橋本左内言行録』1932年
・「略年譜」山口宗之著『橋本左内』1962年
 ただし、p.63では「明道館学監同様心得うべき命を受けた」とされている(新装版)。
・「館務私記」解説 福井市立郷土歴史博物館『春嶽公記念文庫解説目録―文書編―』1972年
・三上一夫『公武合体論の研究』1979年
・解説『明治日本体験記』東洋文庫 1984年
・山口宗之「橋本左内」『国史大辞典』1990年
・印牧邦雄「福井藩 藩校」『国史大辞典』1991年
・『福井県史』通史編4 1996年 p.716
 ただし、p.629では「学監同様」としている。
・高木不二『横井小楠と松平春嶽』2005年
・『福井市史』通史編2 2008年 p.858
 ただし、p.721では「御用掛として学監同様となり」としている。
・「近代日本人の肖像」国立国会図書館
  http://www.ndl.go.jp/portrait/datas/313.html (参照 2017-03-24)
・「藩校 明道館(明新館)」福井市立郷土歴史博物館
  http://www.history.museum.city.fukui.fukui.jp/gakko/for_students/bakumatsu/meidokan.html  (参照 2017-03-24)
・「橋本左内(景岳)」福井県立藤島高校
  http://www.fujishima-h.ed.jp/forjunior/greatperson.htm  (参照 2017-03-24)

(2)その他の記述は、以下の通り。
・「学監の職に就き、更に侍読となり」  「編輯者の言葉」『橋本左内全集』上 1939年
・「明道館学監心得」   「年譜」『橋本左内全集』上 1939年
・「学監同様の御用掛りに昇格し」    解題『福井市史』資料編9 1994年
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC 
参考資料
(Reference materials)
国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第11巻 (にたーひ). 吉川弘文館, 1990.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002077223-00 , ISBN 4642005110
国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第12巻 (ふーほ). 吉川弘文館, 1991.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002138902-00 , ISBN 4642005129
山口宗之 著 , 山口, 宗之, 1928- , 日本歴史学会. 橋本左内. 吉川弘文館, 1962. (人物叢書)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001030245-00
福井市立郷土歴史博物館. 春岳公記念文庫解説目録 文書編. 福井市立郷土歴史博物館, 1972.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001223496-00
キーワード
(Keywords)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
登録番号
(Registration number)
1000211479解決/未解決
(Resolved / Unresolved)