レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年5月8日
- 登録日時
- 2017/02/08 17:59
- 更新日時
- 2017/03/10 12:36
- 管理番号
- 千葉市中央091
- 質問
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解決
東京大学の展示で「夏目漱石の脳は人より大きい」という解説を見たことがある。その解説をもう一度みたいので書かれている資料はないか知りたい。
- 回答
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夏目漱石の脳が人と比べて特別大きいと記載されている資料はみつからなかった。しかし、「当時の平均よりやや重い程度だが、前頭葉が著しく発達している」と書かれている資料がみつかった。
・『漱石の脳』
東京大学医学部標本室には、夏目漱石を始めとした35人の脳がガラスの陳列棚の中に納まっている。この本の中には「漱石の脳には艶がない(中略)特に大きいわけではない。漱石の脳といわれなければ、誰の脳か全くわからない(中略)他の脳に比べて色の抜けた感じで、青みがかった灰白色が際立っている」とある。
・『漱石の病跡』
「前頭葉の物凄く発達している脳は誰のかと聞いたら、『それは夏目漱石のだろう』と直ぐ教えてくれた」とある。また、「大正5年12月10日に東京帝国大学医科大学で長与又郎執刀のもとに解剖」とある。
・『漱石の思い出』
379ページに夏目漱石の遺体が献体された経緯が書かれている。また、381ページに解剖を行った長与又郎博士の講演録「夏目漱石氏剖検(標本供覧)」が掲載されている。これによると「夏目先生の脳は普通の人の平均よりは少し重かったのであります。日本人の男子の脳の平均重量は(中略)およそ大脳小脳と共に1,350グラムばかりある、それが、夏目さんは1,425グラムありました。平均よりやや重い。(中略)夏目さんの脳はその重量においてはさほど著しく平均数を超過してはおりませんが回転はどうも非常によく発達している。ことに左右の前頭葉と顱頂部が発達している。なかんずく右の側が複雑している」とある。
・『ヒトはなぜ眠くなるのか』
夏目漱石の脳は1,425グラムあると書かれている。その他に、ナポレオン3世が1,500グラム、ビスマルクが1,807グラム、内村鑑三が1,470グラムとある。一番重いのがツルゲーネフで2,012グラムである。
- 回答プロセス
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「夏目漱石」と「脳」で検索したところ『漱石の脳』という本が見つかる。しかし、内容を確認すると、「特に脳が大きいわけではない」と書かれている。本文中にあった資料をもとに調べ直したところ、脳自体が大きいのではなく前頭葉が人より発達していたことがわかった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (91 9版)
- 医学.薬学 (49 9版)
- 参考資料
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斎藤磐根 著 , 斎藤, 磐根, 1946-. 漱石の脳. 弘文堂, 1995. (叢書死の文化 ; 20)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002399760-00 , ISBN 4335750102 -
夏目‖漱石. 現代日本文學大系 17. 筑摩書房, 1968.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000176885-00 , ISBN 4480100172 -
夏目 鏡子/[著] , 松岡 譲/筆録 , 夏目‖鏡子 , 松岡‖譲. 漱石の思い出. 角川書店, 1986. (角川文庫)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I011026275-00 -
土肥一郎 著 , 土肥, 一郎, 1922-1988. ヒトはなぜ眠くなるのか : 人間ふしぎ不思議. PHP研究所, 1987.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001838766-00 , ISBN 4569219020
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斎藤磐根 著 , 斎藤, 磐根, 1946-. 漱石の脳. 弘文堂, 1995. (叢書死の文化 ; 20)
- キーワード
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- 夏目 漱石
- 脳
- 東京大学
- 長与 又郎
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000209500