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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000197813
提供館
(Library)
北海道立図書館 (2110028)管理番号
(Control number)
北方 16-0008
事例作成日
(Creation date)
2016/07/09登録日時
(Registration date)
2016年10月06日 00時30分更新日時
(Last update)
2016年10月06日 00時30分
質問
(Question)
北海道の方言の歴史について調べている。いつ頃から使われ始めたのか(一番主流な方言でよい。)またどのようにして生まれたのか。分かる範囲で教えてほしい。
回答
(Answer)
各回答資料の記述によれば、北海道方言は「海岸部」と「内陸部」に二分され、海岸部の方言は、比較的早く、近世の松前藩のころ、渡島、桧山地方に定住し始めた青森、秋田地方の人々の話す東北方言に由来し、漁民によって海岸部一帯に伝わり、海岸(部)方言を形作った。
 一方、内陸(部)方言は明治維新以後、開拓使の拓殖政策によって、全国各地から開拓のために内陸部に移住入植した人々が混住する中で各地の方言が入り混じり、世代が進む中、共通語化が進み、形成された。以下、各回答資料を参照。

・回答資料1
  ;p35「北海道方言はいうまでもなく明治以後の移住民の言語の上に成立したものであり、その移住民は東北地方特に北奥の出身者が圧倒的に多く、それに次ぐものは北陸地方出身者である。(江戸末期までの北海道の住民は僅か十万前後で、やはり北奥を主とし、外に北国方面の移民が加わつていた)。」
  ;p36「北海道方言が東北方言を基盤としながら、その標準語化が東北より進んでいるのは、新開拓地だけにこれを拘束する条件の少いためであろう。」

・回答資料2
 ;p12「明治以前には、日本人(和人)のほとんどいなかった北海道内陸部の広大な土地に、日本全国から移住者がはいり込み、それぞれ出身地のお国ことばが移された。開拓の当初は文字どおり北海道は全国各地の方言のルツボといった様相を呈していたが、百余年、四代の間に、それぞれのお国のことばは次第に姿を消し、新しく北海道の共通語が生まれてきた。」
 ;p18「明治以前からかなりの数の和人が定着していた渡島、桧山の道南半島のことばと、内陸の都市や農村のことばは、かなり違いがあるし、同じ地域内でも世代間の差が認められる。しかし、明治、大正期には、道外の各方言圏のことばが雑然とまじり合っていた段階から、北海道方言と名づけてよい、共通の要素をもったことばが姿を現してきた。」
 ;p50-51「渡島、桧山の沿岸地方は、江戸時代以前から多くの和人が住みつき、明治維新より前に一つの文化圏が成立していた。そこに住んでいた人々は、東北地方出身者が多かったが、北陸などその他の地方からの渡来者もあった。(中略)ところが、明治以後、北海道全域への和人の進出、定着が急激に行われたため、“浜ことば”も(中略)一方言になってしまった。だが、局地的とはいえ、この北海道島に成立していた共通語だっただけに、消え去ることなく今日まで残り、北海道全域の共通語が生まれる過程にさまざまな寄与をしている。」

・回答資料3
 ;p268「明治以前には青森、秋田を中心とする北奥方言がまず海を渡り、道南方言の基盤となった。函館、松前、江差などは政治、経済の中心地であったので、その言葉は共通語的な役割を果たしてその周辺に広がっていった。明治以後、大正、昭和三代にわたり、移住してきた本州人はそれぞれ出身地の方言を持ち込んで生活したので、自然の間に異種の方言の接触が行われた。あるものは他を制して栄え、あるものは死滅し、あるものは他と合流し、またあるものは意味、用法に変化を受けなどしながら現代に至った」

・回答資料4
 ;p195「道南地方には比較的早くから青森・秋田方面の人たちが移住したようであるが、北海道の大部分の地域は、明治以後の拓殖政策によって、入植開拓がすすめられた。こうした移住者たちは、あるいは出身地を同じくする人々が集団をなし、あるいはさまざまの地方出身者が混住するなかで、今日の北海道ことばを形成してきた。」

・回答資料5
 ;p5~6「元禄一四年(一七〇一)年、福山の住民は5千人という。松前藩から上級役人が知行としてもらった漁場交易地は、東海岸三八カ所、西海岸四〇カ所というのであるから、任務代行の請負人は部下をつれて定着し、その数は合わせて福山の三倍、一万五千という。これだけの人口がすでに海岸を東北奥地に入って、和語を伝播していたのである。(中略)明治の始めには十万を越していたという。」「明治政府ができるや、明治二年、開拓使が置かれ、エゾの地名が北海道となった。新しい天地に来た者とはどのような人々か、これは北海道の言葉の成立を規制する重要な因子となる。」
 ;p9「これらの屯田入植は、北海道農業開発の先兵であった。これら内陸入植者こそ、北海道共通語の先祖である。」
 ;p10「北海道の内陸地の場合は本州の語を三世においてはかなり忘れ、既に道南に生まれた浜ことばを基盤語として影響をうけながら、内陸共通語を作り出して来ている。」
 ;p59「一 全国各地からの方言の集まり  二 親子三代百年の経過  三 文字教育による共通語をもつこと   四 基盤語-移民が影響を受けた入植前からあることば  という条件が、北海道共通語を作り出すのに必要な要素として働く。」

・回答資料6
 ;p9「『北海道方言』は、『海岸方言』と『内陸方言』とに二分される。北海道南部地方には、古くから海産物を求めて来住する青森・秋田方面の人々がいた。しだいに北海道の地に定住するようになって、江戸時代初期には『松前藩』が置かれ、ここに『道南方言』あるいは『松前方言』が形成されはじめた。その後、魚類を追って漁民たちは海岸づたいに移動・定住し、『北海道海岸方言』をかたちづくった。『北海道海岸方言』は青森・秋田方言を中核とする東北方言的な色彩の濃いものである。これが『北海道方言』の土台となった。一方、北海道内陸地方は、明治以後に全国各地からの移住入植者たちによって開拓がおこなわれた。そのには全国の諸方言が持ち込まれ、混淆し、言わば“方言のるつぼ”の中からしだいに“共通語”が生み出されてきた。こうして成立したのが『北海道内陸方言』である。」

・回答資料7
 ;p5「北海道では奥羽方言的特色がその基盤になっていたであろうが、全国からの移住者集団社会では、方言の伝統が維持されるよりもむしろお互いに通じ合えることばへの要求が強く、その結果共通語にきわめて近い現在の北海道方言が形成されるに至った。とはいえ、移住定着の早かった道南および海岸部一帯は奥羽方言的色彩が濃く、明治以後の開拓にかかわる内陸地方は共通語的色彩が濃い状況にある。前者を『海岸部方言』、後者を『内陸部方言』と呼ぶゆえんである。」

・回答資料8
 ;p235「①北海道南部には、近世に和人たちが住んでいた。それは主として東北方言(特に北奥羽方言)に由来する。そこに“海岸部方言”ができ上がった。 ② 内陸部には、明治以後に、全国各地から和人が移住入植した。各地の方言が生活の中に持ち込まれたわけである。学校制度も整っていなくて、標準語教育・学習は不十分であった。ラジオ・テレビもなかった。そうしたなかで“内陸部方言”ができ上がった。  ③ 内陸部では全国諸方言の接触・混交が起こった。移住者の出身地は日本全国に及ぶ。移住入植の形態はさまざまであった。入植先での人的構成も種々であった。ことばが通じないということは日常的であった。そこでは地域社会における地域共通語化が促進された。 ④ 北海道への移住入植後、世代の推移にともなって、ことばの変化が起こった。移住による世代と言語変容のさまが観察される。 ⑤ アイヌ語と接触・交流があった。日本語が他の言語と直接に接触した、数少ないアイヌ語へは日本語からの影響が大きかった。アイヌ語から日本語への影響は多くなかった。」
回答プロセス
(Answering process)
以下の資料も参考資料として紹介する。

1『国立国語研究所報告 27 共通語化の過程』(国立国語研究所∥編 秀英出版
1965 請求記号:810.5/KO/27)
2『全国方言集覧 第1期-[1] 北海道/東北編』(太平洋資源開発研究所∥編 白井 祥平∥監修
太平洋資源開発研究所 2000.4 請求記号:818/Z/1-1)
3『北海道方言の歴史的研究』(夏井 邦男∥著 おうふう 2004.11 請求記号:818/HO)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
方言.訛語  (818 7版)
参考資料
(Reference materials)
1 日本方言学 東条操∥編 吉川弘文館 1954 818/TO p35-36

2 ほっかいどう語 北海道新聞社 1970 818/HO p12、18、50-51

3 日本語と北海道方言 石垣福雄∥著 北海道新聞社 1976 818/I p268

4 北海道方言研究会叢書 第3巻 北海道のことば 北海道方言研究会∥編 北海道方言研究会 1981 818/HO/3-イ p195

5 講座方言学 4 北海道・東北地方の方言 飯豊 毅一∥[ほか]編集委員 国書刊行会 1982 818/HO p5~10

6 北海道方言の研究 小野米一∥著 学芸図書 1993.2 818/HO p9

7 北海道のことば 平山 輝男∥[ほか]編 明治書院 1997.2 818/HO p4~5

8 移住と言語変容 小野 米一∥著 渓水社 2001.9 818/I p235

1 国立国語研究所報告 27 共通語化の過程 国立国語研究所∥編 秀英出版 1965 810.5/KO/27

2 全国方言集覧 第1期-[1] 北海道/東北編 太平洋資源開発研究所∥編 白井 祥平∥監修 太平洋資源開発研究所 2000.4 818/Z/1-1

3 北海道方言の歴史的研究 夏井 邦男∥著 おうふう 2004.11 818/HO
キーワード
(Keywords)
北海道
方言
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事項調査
内容種別
(Type of subject)
郷土
質問者区分
(Category of questioner)
学生
登録番号
(Registration number)
1000197813解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決