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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000197784
提供館
(Library)
静岡県立中央図書館 (2110034)管理番号
(Control number)
静岡郷土-18
事例作成日
(Creation date)
登録日時
(Registration date)
2016年10月05日 00時30分更新日時
(Last update)
2016年10月25日 16時59分
質問
(Question)
宇津ノ谷峠 十団子について。(麻)糸でつないでいると聞いたが本当か
回答
(Answer)
十団子に関する記録を時代順に追って調べたところ、十団子について、室町時代の『宗長手記』に、「茶店の女の子が10個の小さな団子を一回ですくい旅人に売っていた」という記述を確認できました。
また、江戸時代に書かれた『東海道名所記1』には、「家ごとに十団子をうる。其大きさ、赤小豆バかりにして。麻の緒につなぎ。いにしへハ十粒を一連にしける故に。十団子といふならし」記載されています。
他に『ふるさと百話 第5巻』には、宇津の谷の十団子について、「曹洞宗慶竜寺の地蔵盆の際に参詣者に授与され、米の粉をついて大豆ほどの大きさに丸め、白糸に10個刺し通して数珠の形の輪に結び、これを9束にまとめて、長い草で1絡げに吊るすようにしたもの」と記載されており、『東海道宇津ノ谷峠 道に咲いた文化』には団子を麻糸に通し作る写真が出ています。
以上のことから、十団子は、室町時代以前には、糸でつないでおらず、杓ですくっていたが、その後、江戸時代の間に麻の糸でつないだ形状に変わり、今に至るものと思われます。
回答プロセス
(Answering process)
静岡県の郷土に関係することから、(1)『静岡県史資料編24』から宇津ノ谷峠と十団子に関係する箇所を探しました。資料によると、十団子が名物として登場する初見は、連歌師宗長の『宗長手記』に記録されています。「折節夕立して宇津の山に雨やどり。此茶屋むかしよりの名物十だんごといふ、一杓子に十づゝ。かならずめらうなどにすくはせ興じて。夜に入て着府」これは、大永4年(1524)6月16日京都からの帰り、宇津ノ谷峠で雨にあった時、茶店で村の女の子が杓子で10個の小さな団子を一回ですくい旅人に売っていた様子であることが分かります。

また、茶道遠州流の祖小堀遠州の『辛酉紀行』元和七年(1621)には「扨はもろこしより渡りたる餅にやあむなるといふ。さにあらず。十宛杓によりてとを団子とかたる。さらばすくはせよといへば、あるじの女房手づからいひかひとりて、心のままにすくふ」とあり、やはり杓で10個の団子を一すくいしていることが分かります。以上から十団子は室町時代頃は糸につないでいなかったことが確認できます。(p684)

糸でつないだ十団子の由来を調べていくと(2)『東海道と伝説』Romankaido Tokaido 8 (鈴木 暹 著 静岡新聞社 1994年)の中に、江戸時代に書かれた『東海道名所記1』(浅井了意の 著 1979年)に「家ごとに十団子をうる。其大きさ、赤小豆バかりにして。麻の緒につなぎ。いにしへハ十粒を一連にしける故に。十団子といふならし」(p133)と記述があり、江戸時代には十団子は10粒の団子を麻のひもにつないだ形状であることが分かりました。

(3)『ふるさと百話 第5巻』(静岡新聞社 1972年)によると、「曹洞宗慶竜寺の地蔵盆が毎年8月24日、25日の両日に催され、参詣者に授与されるものが「十団子」である。米の粉をついて大豆ほどの大きさに丸め、白糸に10個刺し通して数珠の形の輪に結ぶ。これを9束にまとめて、長い草で1カラゲに吊るすようにしたもので、10個が9本、10×9で九十苦難除けということである。」と記され、糸につないだ団子の写真が載っていました。(p116-117)

(4)『東海道宇津ノ谷峠 道に咲いた文化』 (東海道弥次喜多研究会 1993年)には糸に通した十団子を作る様子の写真(p166)を確認できました。

この他にも(5)『東海道とその周辺1 遠州路の史跡探訪第4巻』には小豆粒ほどの団子10個が麻糸に通され9連1組となっている「十団子」の写真(p277)、(6)『蔦の細道物語』には十団子1粒5ミリ位10個ずつ糸に貫いたものが9連になった十団子の写真(p229)がありました。また、資料(9)、(10)にも十団子が描かれた作品がありました。

また、平安時代には十団子にまつわる伝説があり、(4)の資料(前掲)(p118-119)に記載されており、概略をまとめると次の通りです。
宇津の谷の梅林院(現在の藤枝市岡部町)の寺の小僧が、峠を通る旅人を食べる鬼と化したため旅人が途絶えてしまった。その難を救おうと、在原業平が下野(しもつけ)宇津宮素麺谷の地蔵菩薩に祈願したところ、地蔵菩薩は旅僧に姿を変え鬼と対決した。旅僧は法力により鬼を小さな団子ほどにし、それを杖で砕くと十粒の小玉になり、それを一口で呑みこみ、以後鬼の災いもなくなった。後に地蔵尊は道中安全の守護神となり、過去の難事を忘れないため、十団子を作って庶民に分けるようになった。また、地蔵の前に十団子を供え深く信じてこれを食べ、かつ所持して入れば道中安全・諸願成就の利益がある。

この鬼退治の伝説については、資料(1)p685、(2)p134-135、(3)p117-118、(5)p274-276、(6)p233-236、(7)p231-234、(8)p10-13にも記載されています。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
伝説.民話[昔話]  (388)
参考資料
(Reference materials)
(1)静岡県. 静岡県史 資料編 24 (民俗 2). 静岡県, 1993.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002261378-00
(2)鈴木暹, 大嶋善孝 著 , 鈴木, 暹, 1943- , 大嶋, 善孝, 1954-. 東海道と伝説. 静岡新聞社, 1994. (RomanKaido Tôkaidô. ; 8)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002320910-00 , ISBN 4783810478
(3)ふるさと百話 5巻. 静岡新聞社, 1998.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002736923-00 , ISBN 4783804303
(4)東海道宇津ノ谷峠 : 道に咲いた文化. 東海道弥次喜多研究会, 1993.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I015419547-00
(5)本田 猪三郎/著 , 本田‖猪三郎. 東海道とその周辺 1. 谷島屋, 1992. (遠州路の史蹟探訪 ; 第4巻)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I015440647-00
(6)春田鉄雄 著 , 春田, 鉄雄, 1911-. 蔦の細道物語. 郷土「鞠子」を愛する会, 1975.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001228271-00
(7)内藤 亀文/著 , 内藤‖亀文. 駿遠峠の古道. 明文堂, 1971.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I015369553-00
(8)平野ますみ/著,池田仙三郎/さし絵. 静岡県の民話. 文京図書.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000004-I000664931-00
(9)歌川貞秀 画 , 橋本, 貞秀, 1807-1873. 東海道五十三駅勝景 : 伊豆・駿河・遠江の部 復刻. 羽衣出版, 1992.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002201258-00 , ISBN 4938138026
(10)「東海道名所之内 宇津谷峠」(収載資料名:東海道名所風景)貞秀 山本 文久3(1863) 
国立国会図書館デジタルコレクション
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1309511
キーワード
(Keywords)
十団子
宇津ノ谷峠
東海道
慶竜寺
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介 書誌的事項調査
内容種別
(Type of subject)
郷土
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000197784解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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