レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年05月16日
- 登録日時
- 2016/05/16 14:53
- 更新日時
- 2016/08/25 08:26
- 管理番号
- 宮城県白石高-2016-05
- 質問
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解決
ビー玉はなぜビー玉というのか。
- 回答
-
大きく分けて二つの説があります。
説1 ビー玉のビーはポルトガル語のビードロ(vidro)のビーである。ビードロで作った玉なのでビー玉という。
説2 ビー玉のビーはアルファベットのBである。ガラス玉の規格として,A玉にならなかったものをビー玉という。
- 回答プロセス
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まず,辞書や百科事典の記述を確認する。
調査資料1のp518に「ビーだま ビー玉」の項があり以下の記載があります。
「指でつまめる程度のガラス玉,またはそれを用いた遊び.ビーはポルトガル語の
〈ビードロ vidro〉の略.ガラスが普及するのは明治期になってからで,ラムネのびんに
入っているガラス玉がまず利用され,〈ラムネ玉〉と呼ばれたが,やがて玩具として
つくられるようになり,ビー玉の名が起こった.(後略)」
調査資料2のp2332に「ビー・だま」の項があり以下の記載があります。
「(「ビー」はビードロの略)ガラス玉。」
調査資料3のp582に「ビー・だま」の項があり以下の記載があります。
「(ビーは「ビードロ」の略)ガラス玉。ふつう,子どもが遊びに使うものをいう。
また,それを用いてする遊び。(後略)」
その後,他館レファレンス事例をブラウジング。「雑学」の分野に何かないか,と考え
書庫内資料を適当にブラウジング。調査資料4を参照する。
調査資料4のp50に以下の記載があります。
「ラムネのビンの中には栓用のガラス玉が入っているが、その玉の規格品はA、
不良品はBと分類され、不良品は子供のオモチャに下取りされた。これがビー玉の
語源となった。」
- 事前調査事項
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「ガラスをビードロと呼ぶことからきている」という説ではないものが
あれば知りたい。
- NDC
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- 雑著 (049)
- 参考資料
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- 調査資料1 世界大百科事典23 ハマーヒニ 平凡社 1988
- 調査資料2 広辞苑 第六版 新村出 2008
- 調査資料3 日本国語大辞典 16 のき-ひたん 小学館 1975
- 調査資料4 トンデモ一行知識の世界 唐沢俊一 ちくま文庫 2002
- 調査資料5 学校と毎日の遊び たかいひろこ ポプラ社 2015
- 調査資料6 びんの話 山本孝造 日本能率協会 1990
- 調査資料7 まだまだパイプのけむり 團伊玖磨 朝日文庫 1977
- キーワード
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- ガラス玉
- びん玉
- ラムネ玉
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
質問日は不明。
辞書や百科事典については「ビードロ説」が有力。
しかし,参考文献は一つだけであるが異なる説を紹介できている。
他の資料(児童書,びんについての資料)について追跡調査できると良い。
なお,大阪市立中央図書館の以下の事例についても大変参考になる。
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000063071
【2016年5月18日追記】
事例掲載後,宮城県内の図書館員から下記の情報が寄せられました。
情報提供に感謝します。
『学校と毎日の遊び』たかいひろこ著 2015 ポプラ社のp26-29に
「むかしながらの外遊び」という項があり,p29に
「ビー玉遊び(三角だし)」について,以下の記載があります。
「ビー玉はA玉(→37ページ)になれなかったB級の玉のことです。
ビー玉を投げて遊びます。(後略)」
また,p36-41に「町の楽しみ」という項があり,
p37に「ラムネ」について,以下の記載があります。
「なかにあるガラス玉がほしくて、びんをわってしかられました。びんのなかにある
ガラスの玉は、まんまるな玉(A級の玉=A玉)です。」
【2016年5月31日追記】
事例掲載後,宮城県内の図書館において下記資料を確認しました。
『びんの話』山本孝造著 1990 日本能率協会の「ラムネとサイダー」の項
p156に以下の記載があります。
「この玉について、日本では、”ビー玉”という方が通りがいい。
なぜそう呼ばれるようになったかについては、諸説があるようだ。
明治時代には、まだガラス玉を作る機械がなかったようだから、
出来上がった玉の直径に微妙な差異が生じた。そこで、ラムネの
玉壜に入れて使えるのを”A玉”に、不良品を”B玉”にと選り別けた。」
【2016年6月7日追記】
事例掲載後,レファ協Twitterに寄せられた情報を基に,下記資料を
宮城県内の図書館で確認しました。
情報提供に感謝します。
まだまだパイプのけむり 團伊玖磨 朝日文庫 1977
p100-p111に「B玉」の項があり,p105に以下の記載があります。
「(前略)専務の松野さんが出て来られて、実に明快に、びい玉に就いての総べてを
説明して下さった。解かれて行く疑問を、次々に僕は心に記した。
「今はびい玉という名はもう使いません。我々業者は、あの工場の破風に書いて
ありますように、グラス・マーブルと呼んでいます」
「成る程、グラス・マーブルね、どうも我々は、びい玉、びい玉と言い馴れているものですから、
つい」
「えゝ,一般にはびい玉の方が通りが良いでしょうね。まあ、俗名というところですか」
「大体、びい玉の語原は何なのでしょう、『広辞苑』などには、びいどろの玉の略だと
書いてありますし、そんな感じもしますが」
「いや、そうでは無いと思います。我々業者は、何色かを使った、昔錦玉とも言った上等の
ものをA弾、若しくはA玉、ブルー一色の、昔ラムネ玉とも言った粗末な方をB弾、若しくは
B玉と呼んでいましたから、きっとその言葉が一般に流出してびい玉になったのだと思います」
「ほう」
僕は、初めて聞いたこの説を面白く思って言葉を切った。(後略)」
【2016年8月24日追記】
事例掲載後,下記のブログに「ラムネ瓶のロケットとビー玉の地球」というタイトルの記事がある,
という情報が図書館に寄せられました。ビードロ説,B玉説の両方について記述されています。
情報提供に感謝します。
きっこのブログ
2016.07.21付け記事
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2016/07/post-5e60.html
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 高校生
- 登録番号
- 1000192260