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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000177442
提供館
(Library)
大阪府立中央図書館 (2120005)管理番号
(Control number)
6001008967
事例作成日
(Creation date)
2015/01/15登録日時
(Registration date)
2015年07月18日 00時30分更新日時
(Last update)
2015年11月27日 00時30分
質問
(Question)
世界初の合成プラスチックと言われる「ベークライト」を発明したベークランドは、昆虫(ラックカイガラムシ)の分泌物から得られる樹脂状物質「シェラック」を人工的に作る、または代替物質を作ることを目的としていた、という記載を見かけます。

1. http://en.wikipedia.org/wiki/Bakelite
2. http://www.acs.org/content/acs/en/education/whatischemistry/landmarks/bakelite.html

しかし、本当にベークランドがそのようなことを考えていたという「根拠」を探しています。
回答
(Answer)
ベークライトがシェラックの模倣を目指したという根拠について、「ベークランド著」の日本語訳の図書・論文とも、国内出版および所蔵とも確認できませんでした。

しかしながら、GoogleScholarを「shellac Baekeland」で検索したところ、Baekeland著の論文がありました。(2015/1/15現在)
http://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&q=shellac%E3%80%80Baekeland&btnG=&lr=
全文のpdfを読むには、American Chemical SocietyのIDが必要です。また、当館ではこの雑誌を所蔵していないため内容は未確認です。

1.「The Synthesis, Constitution, and Uses of Bakelite.」(LH Baekeland - Industrial & Engineering Chemistry, 1909 - ACS Publications)
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ie50003a004
「・・・・・uses orthocresol so as to obtain an odorless shellac substitute、・・・・・」という文章が読めます。

2.「On Soluble, Fusible, Resinous Condensation Products of Phenols and Formaldehyde.」(LH Baekeland - Industrial & Engineering Chemistry, 1909 - ACS Publications)
「・・・・・This resin does not dissolve well in weak alkalies like shellac does,・・・・・」という文章が読めます。

3.「Phenol-Formaldehyde Condensation Products.」(LH Baekeland - Industrial & Engineering Chemistry, 1912 - ACS Publications)
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ie50046a018
「・・・・・and DeLaire as a “shellac substitute,” ・・・・・」という文章が読めます。

国内の多数の大学図書館で所蔵されています。

※なお、GooglePatentsも数件ヒットしました。

また、国内に所蔵されている「Baekeland著」の原書は3冊ありましたが、大学図書館所蔵のため内容は確認できていません。
『Some aspects of industrial chemistry』(L. H. Baekeland Columbia University Press1914The Chandler Lecture 1914)

『Comments on the report of the investigation of the United States Patent Office』(by L.H. Baekaland s.n.][1913])

『Protection of intellectual property』((by L.H. Baekeland [s.n.][1912])

アメリカ議会図書館の蔵書も検索しましたが、これ以外に見つけることはできませんでした。

次に、当館の蔵書から、Leo Hendrick(Hendrik) Baekelandが
・樹脂状物質shellacを人工的に作る
・または、shellacの代替物質を作ることを目的としていた
という記述を確認できた資料をご紹介します。

1)『プラスチック(「もの」と「ひと」シリーズ: 7)』(内田安三/監修 フレーベル館 1986.3)当館請求記号【J/10529】
石炭から生まれたプラスチック、ベークライト
「・・・・・はじめ、ベークランドはカイガラ虫からできるシェラックのかわりになる材料の研究をしていましたが、1909年に、石炭からできるフェノールという薬品から、新しいプラスチックをつくることに成功したのです。・・・・・」(p.10)

2)『プラスチックの文化史: 可塑性物質の神話学』(遠藤徹/著 水声社 2000.1)【578.4/91N】
第一章 新物質ープラスチックの誕生と展開
4 合成の世紀
4-1 初の人工物質
「・・・・・次に彼が取り組んだのは、シェラックやゴムの代用品となりうる物質の開発であった。・・・・・」(p.45-46)
「・・・・・ベークライトはかつて存在したいかなる物質にもまさる能力をもつ夢のような物質と映ったからである。それは当初ベークランドが目指していたゴムやシェラックの能力をはるかにしのいでいたし、・・・・・」(p.46)

4-2 メディア、デザインとの結託
「 一九二〇年代に入ると、ベークライトを売るための戦略に大きな変化が訪れる。一九二七年の特許切れを目前にして、・・・・・。それは、代替物、模造品から革新的物質へのイメージ転換あった。つまり、ベークライトは何ものかの代用に供されるための物質ではなく、むしろ多くの応用に対して開かれたものだという汎用性の側面を強調することであり、・・・・・」(p.47)
「・・・・・アラン・ブラウンはまず、一九二三年にジョン・マンフォードという作家を起用し『ベークライト物語』を書かせた。これは一九二四年に出版されたが、そこではコロンブスはインドの代りにアメリカを発見したが、ベークランドはシェラックの代わりにベークライトを発見したと讃えられた。・・・・・」(p.48)

※引用文中の『ベークライト物語』は、次の図書だと思われます。国内では国立国会図書館でのみ所蔵されています。
『The story of bakelite, by John Kimberly Mumford. 』(New York : Robert L. Stillson company, [c1924] 80p.)

3)『住友ベークライト社史』(住友ベークライト株式会社/編纂 住友ベークライト 1986)【578.4/152N】
第1章 石炭酸樹脂の誕生●明治5年ー大正2年
1.先駆者たち
 バイエルによる石炭酸樹脂の発見
  ・・・・・ 
 電気の実用化とシェラック代用品の研究
  ・・・・・
2.石炭酸樹脂の工業化
 ベークランドによる石炭酸樹脂(ベークライト)工業化の成功
「・・・・・彼の関心も、当初はシェラックのようにアルコールに溶ける樹脂を得ることにあった。しかし、実験を重ねるうち、シェラック代用品としてではなく、不燃・不溶性で酸にもアルカリにも侵されない、軽く強靭な材料としてこそ、石炭酸樹脂はその真価を発揮するにちがいないとの考えを深めていった。・・・・・」(p.4)

当時は研究界・産業界ともに、電気の絶縁体材料の研究開発が盛んにおこなわれており、その一種「シェラック」の代用品としてベークランドがベークライトを工業化し、特許を取得したことがうかがわれます。

次に、CiNii Articles、NDLサーチで検索した結果から当館所蔵、あるいはpdfで内容を確認できた資料を御紹介します。

4)平野和久「人類初のプラスチック[ベークライト] -Baekelandについて-」(『高分子』50(8) p.554-555 2001.8)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/50/8/50_8_554/_pdf (2015/1/15現在)
当該巻号は、中央図書館で所蔵しています。

なお、次の資料の巻号は府立図書館では所蔵していません。

5)松本 祐太郎「ベークライトの創始者ベークランドの生涯」(『プラスチックス』 1(3) p. 3-5 1950.9)

GoogleBooksで「シェラック(セラック) ベークランド」で検索しましたが御依頼の内容の資料はヒットしませんでした。しかし、「shellac Baekeland」で検索したところ、多数ヒットしましたのでお知らせしておきます。

また、『図解でわかるプラスチック』(澤田和弘著 ソフトバンククリエイティブ 2008.7 【578.4/223N】貸出可)のp.37によると、次の雑誌の表紙にベークランド氏の写真が使われており、氏の記事も掲載されていると推察されます。
『Time』(1924.9.22号)

[事例作成日:2015年1月15日]
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
高分子化学工業  (578 8版)
参考資料
(Reference materials)
プラスチック 内田/安三∥監修 フレーベル館 (10)
プラスチックの文化史 遠藤/徹∥著 水声社 (45-48)
住友ベークライト社史 住友ベークライト株式会社∥編纂 住友ベークライト 1986 (4)
高分子 高分子学会∥編 高分子学会  50(7-12)<594-599> 12号:50巻総目次 (554-555)
図解でわかるプラスチック 澤田/和弘∥著 ソフトバンククリエイティブ 2008.7 (37)
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ie50003a004  (「The Synthesis, Constitution, and Uses of Bakelite.」(LH Baekeland - Industrial & Engineering Chemistry, 1909 - ACS Publications)(2015/1/15現在))
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ie50008a012  (「On Soluble, Fusible, Resinous Condensation Products of Phenols and Formaldehyde.」(LH Baekeland - Industrial & Engineering Chemistry, 1909 - ACS Publications)(2015/1/15現在))
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ie50046a018  (「Phenol-Formaldehyde Condensation Products.」(LH Baekeland - Industrial & Engineering Chemistry, 1912 - ACS Publications)(2015/1/15現在))
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/50/8/50_8_554/_pdf  (平野和久「人類初のプラスチック[ベークライト] -Baekelandについて-」(2015/1/15現在))
キーワード
(Keywords)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
書誌事項調査
内容種別
(Type of subject)
その他
質問者区分
(Category of questioner)
個人
登録番号
(Registration number)
1000177442解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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