レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年06月19日
- 登録日時
- 2015/07/15 10:33
- 更新日時
- 2015/08/14 13:05
- 提供館
- 岐阜県図書館 (2110001)
- 管理番号
- 岐県図-2160
- 質問
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解決
「わが国は米英と戦闘状態に入れり」は何年何月何日、何時の発表か。また、何回繰り返されたか。
- 回答
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1 大本営発表らしいので「大本営発表は生きている」(保坂正康著 光文社,2004年発行)を参照。
p.5に発表時は昭和16年12月8日午前6時とあり。また、ラジオで流されたのは午前7時(p.14)
文言は「帝国陸海軍は今八日未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」
何回繰り返されたのかは不明。
なお、大本営発表は12月8日だけで10回(p.19)、戦争中全846回あった(p.6)とある。
2 『20世紀放送史 上』(日本放送協会、2001.3)
p.146~147に、太平洋戦争開戦の日の朝の臨時ニュース(ラジオ)について、年月日、時刻、ニュースの文言と、2度繰り返したとの記述あり。
年月日は1941年(昭和16年)12月8日、月曜日。
文言は「大本営陸海軍部発表、12月8日午前6時。帝国陸海軍は本8日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり。」
放送時刻については『日本放送史 上』を引用し、7時の時報に続いて臨時ニュースを行ったと紹介。
3 『放送五十年史』(日本放送協会、1977.3)
p.139「開戦と放送」の項に記述あり。年月日、放送時刻、回数は資料2と同じ。
文言は「大本営陸海軍部午前六時発表-。帝国陸海軍部隊は本八日未明、西太平洋においてアメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり。」
ただし、12月8日当日の番組表(p.141)によると、7:00のほか、7:18、7:41、8:30、9:30にも「臨時ニュース(開戦の発表)」が放送されている。
4 『太平洋戦争メディア資料 1』(北山節郎編、緑蔭書房、1997.4)
p.3-4「開戦ニュース」の項に、「午前7時と7時18分に臨時ニュースが放送された」とし、ニュースの文言「大本営陸海軍部十二月八日 午前六時発表 帝国陸海軍は…(以下、上記資料2,3と同じ)」が掲載されている(出典は国会図書館憲政資料室の「極東国際軍事裁判関係資料集成1 証拠資料(和文)、マイクロフィルムYE-113、Je-021,証拠記録1235C=1657A」)。また、「本八日」「今八日」、「アメリカ、イギリス軍と」「米英軍と」などの文言について、新聞各紙の報道との異同が考察されている。
詳細は以下に記載あり。
「Ⅰ 解説」より
・p.9-10「付録 太平洋戦争開戦大本営発表文比較」
・p.67-68「ラヂオ報道記録『報道部ニュース係』ヨリノ抜粋」
・p.68-71「館野守男氏宣誓供述書」…ニュースを読んだ放送員による、放送時刻に関する証言。
これらの記述の典拠資料は、本書後半の「Ⅱ 資料」で原文をみることができる。特に、p.3-4の記述の出典「「ラヂオ報道記録」大日本放送協会、「『報道部ニュース係』ヨリノ抜粋」、極東国際軍事裁判法廷證1235C、検察側文書1657A」(p.275-276)には、午前7時及7時18分、午前7時41分及午前8時30分放送の臨時ニュースの内容を掲載。
5.上記資料のほか、館野守男「大本営発表」(『「文藝春秋」にみる昭和史 第1巻』(文藝春秋、1988.5)p.509-513所収)、『戦争はラジオにのって』(櫻本富雄著、1985.12)p.24-30にも、開戦の臨時ニュースに関する記述がある。
6.ウェブサイト「NHK戦争証言アーカイブス」で当時のニュース音声が公開されている。「再生テキスト」(報道内容の文字化)もあり。
NHK戦争証言アーカイブス ホーム » 戦時録音資料 » 勝利の記録(一)開戰―十二月八日―
(http://cgi2.nhk.or.jp/shogenarchives/sp/movie.cgi?das_id=D0001400296_00000 2015年8月11日確認)
なお、この「勝利の記録」については、「前の週に放送された大本営の戦果発表や現地での実況録音などをまとめて、毎週日曜日の午前中に放送されたもの 」とある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本史 (210 9版)
- 放送事業 (699)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000177194