レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年06月04日
- 登録日時
- 2015/06/04 16:37
- 更新日時
- 2015/12/21 09:28
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2015-004
- 質問
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解決
昭和10年代にあった、名古屋拘置所がいつできたのか知りたい
- 回答
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名古屋拘置所は、昭和13年5月竣工、同年7月2日開所式・落成式が行われました。官報による施行は昭和13年7月1日よりとなっています。また、落成は3月、6月2日開庁という記事もありました。
- 回答プロセス
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0.『名古屋市史』など、郷土資料の主なものはすでに確認済みとのことでした。
1.いつ頃できたのか、大きく絞り込むために電話帳の掲載を確認しました。
『名古屋職業別電話帳 昭和13年9月1日現在』
→p.4下段に「名古屋拘置所」が掲載されており、住所は「東、上竪杉、二ノ二」とありました。
そこで、遡って確認しました。
『名古屋職業別電話帳 昭和12年7月1日現在』
→p.3下段に「拘置監建築場事務所」とあり、住所は「「東、上竪杉、二ノ二」となっていました。
したがって、昭和12年7月1日から昭和13年9月1日の間に設置されたものと推測されます。
2.官報を確認しました。
『法令全書』を利用し、昭和12年と同13年の索引で「監獄」をキーワードにしている記事を探したところ、次の記事が見つかりました。
「官報 昭和13年6月29日 第3445号」
→p.1037に6月28日付の勅令第440号として、「別表中東京拘置所ノ項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ 名古屋拘置所 愛知県名古屋市」とあり付則により昭和13年7月1日より施行されています。
3.国立国会図書館サーチで検索しました。
雑誌「刑政」がヒットしました。図書館送信参加館内公開ですが、当館は参加館ですので閲覧が可能です。
「刑政」51巻8号p.109-113
→「名古屋拘置所落成開庁式」として、所長の式辞、司法大臣・名古屋控訴院長・愛知県知事・名古屋弁護士会長・全国刑務所長代表の祝辞が掲載されています。これらから、開庁式が「本月二日」行われたこと、敷地の大きさ、新築への経緯などが記されています。しかし、式辞・祝辞であるため、「本日」「今日」といった表現が用いられており、はっきりとした日付がわかりませんでした。発売日は分かりませんが、1938年8月号であることから、5月から8月ではないかと類推されます。
「刑政」89巻11号p.84
→名古屋拘置所の改築についての記事が掲載されており、「当所は、昭和十三年五月新築竣工」とあります。
4.「刑政」により、昭和13年5月から8月の間の2日と絞られたため、新聞を確認しました。
『名古屋新聞縮刷版 昭和13年7月』
→昭和13年7月2日朝刊11面に「名古屋拘置所 けふ開所式」の記事が掲載されていました。写真があり、2日に落成開所式、3,4日に入場券持参者を迎え、11、12日に収容中の未決囚の引越しとありました。
『新愛知縮刷版 昭和13年7月』
→昭和13年7月2日朝刊5面に「モダン拘置所 けふ落成式」の記事が掲載されていました。
4.郷土史料以外の資料を確認しました。
『日本刑罰史年表 増補改訂版』
→p.247に「3【月】名古屋拘置所新築落成、6月2日開庁」とあります。
『刑罰の理論と現実』
→p.73-75に名古屋刑務所についての記述があります。p.73の沿革に「昭和13年、名古屋拘置所の設置により」とあります。
『図鑑日本の監獄史』
→p.485に「昭和十三年(一九三八)7【月】名古屋拘置所が新設される」とあります。
5.インターネットで調査を行いました。
法務省のサイト「矯正の沿革と仕事のあらまし」を確認しましたが、記載はありませんでした。
名古屋矯正管区のPDFを確認しましたが、記載はありませんでした。
6.愛知県図書館より下記の資料を取り寄せて確認しました。
『管内行政機関等要覧(中部地方)昭和56年度版』
→p.42に名古屋拘置所が掲載されており、下部機関、沿革、設置根拠、組織及び職員数、所掌事務を知ることができます。沿革により、明治13年に”名古屋監獄の一隅に拘置監として建築され”、昭和13年7月に”名古屋拘置所が設置される”とあります。
『管内行政機関等要覧(中部地方)昭和60年度版』
『行政機関ガイドブック(中部地方)昭和63年版』
→2冊ともp.33-34に名古屋拘置所が掲載されていますが、沿革は記載されていませんでした。
注:【 】内は記述者が追加したものです
サイト最終確認日:2015/07/24
- 事前調査事項
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『名古屋今昔写真集1』p.129に、昭和10年代の写真が掲載されキャプションがありますが、設置年の記述はありません。
『東区史』p.340に、名古屋拘置所が掲載されていますが、昭和48年現在にある官公署であり、該当の拘置所ではありません。
- NDC
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- 社会科学 (3 9版)
- 参考資料
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- 『名古屋今昔写真集1』、林董一/監修、樹林舎、2007年 (p.119)
- 『東区史』、東区史編さん委員会/編、東区総合庁舎建設後援会、1973年 (p.340)
- 『名古屋職業別電話帳 昭和13年9月1日現在』、逓友協会/編、逓友協会、1939年 (p.4下段)
- 『名古屋職業別電話帳 昭和12年7月1日現在』、逓友協会/編、逓友協会、1937年 (p.3下段)
- 『昭和年間 法令全書 第12巻-1 昭和13年』、内閣印刷局/編、原書房、1998年 (p.87-88)
- 「官報 昭和13年6月29日 第3445号」 (p.1037、勅令第440号)
- 「刑政」51巻8号(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2671287) (p.109-113)
- 「刑政」89巻11号(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2671694) (p.84)
- 『名古屋新聞縮刷版 昭和13年7月』、オンデマンド版、双光エシックス/制作、2011年 (昭和13年7月2日朝刊11面、写真あり)
- 『新愛知縮刷版 昭和13年7月』、オンデマンド版、双光エシックス/制作、2013年 (昭和13年7月2日朝刊5面)
- 『日本刑罰史年表 増補改訂版』、重松一義/著、柏書房、2007年 (p.247)
- 『刑罰の理論と現実』、荘子邦雄/編、岩波書店、1972年 (p.73-75)
- 『図鑑日本の監獄史』、重松一義/著、雄山閣出版、1985年 (p.485)
- 法務省「矯正の沿革と仕事のあらまし」(http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse02.html)
- 名古屋矯正管区((http://www.moj.go.jp/content/001131732.pdf)
- 『管内行政機関等要覧(中部地方)昭和56年度版』(行政管理庁中部管区行政監察局、大蔵省印刷局、1982年) (p.42)
- 『管内行政機関等要覧 中部地方 昭和60年版』(総務庁中部管区行政監察局/編、大蔵省印刷局、1985年) (p.33-34)
- 『行政 機関等 ガイドブック 昭和63年版』(総務庁中部管区行政監察局、大蔵省印刷局、1988年) (p.33-34)
- キーワード
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- 名古屋拘置所
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000175412