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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000168847
提供館
(Library)
埼玉県立久喜図書館 (2110009)管理番号
(Control number)
埼浦-2014-092
事例作成日
(Creation date)
2014/09/05登録日時
(Registration date)
2015年03月10日 16時18分更新日時
(Last update)
2016年03月14日 14時53分
質問
(Question)
医師にかかるのは契約であるということの法的根拠がわかる資料を見たい。
回答
(Answer)
契約に関する一般法である民法には、医療あるいは診療に関する医師・病院との契約を直接定める条文は存在しない。このため、医師と患者の診察・治療に関する行為を法的にどう解釈するかは、従来から議論されている。
民法に関する文献では民法上の契約行為として一般に認識されているものの、その根拠については諸説があり。通説的見解では、医療契約を民法上の準委任契約ととらえ、裁判例も同様の傾向にある。これに対し、医療契約を民法に定める契約に合致しない独自の契約(無名契約・非典型契約)とする学説も有力で、判例もこの考えに拠るものが見られる。
以上の概要をわかりやすく整理・解説した文献として以下の資料を紹介した。(機関リポジトリでウェブ閲覧可能)
村山淳子著「医療契約論-その実体的解明-」(「The Seinan Law Review Vol.38,No.2」p61-91 西南学院大学学術研究所 2005)
《西南学院大学機関リポジトリ》( http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/782  西南学院大学 2014/09/05最終確認)
回答プロセス
(Answering process)
その他調査済資料
1 民法に関する解説書
《国会図デジタルコレクション》「医法:附・医事法規」(会田俊一著 日本医政会 1926)( http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/935442  国会図 2014/08/30最終確認)
 p104-123「第4章第3節 診療契約」の項あり。
『民法講義 第5第3 債権各論 中巻2』(我妻栄著 岩波書店 1962)
 p549〈雇用の成立要件〉の項に関連する記述あり。
『民法研究 10 講演』(我妻栄著 有斐閣 1971)
 p377-403「医者と患者」の章、医療契約を民法によると示唆する記述あり。
『民法講義 5 契約(有斐閣大学双書)』(稲本洋之助ほか著 有斐閣 1984)
 p349-352〈診療契約〉の節に契約の法的性質に関する記述あり。
『医事法 中(現代法律学全集58)』(野田寛著 青林書院 1994)
 p399-400に「医療契約は、特約のない限り、準委任に類似する無名契約であると解し(後略)」とあり。
『コンメンタール契約法 コンメンタール民法 5』(我妻栄、有泉亨著 日本評論社 1998)
 p327に法律行為でない事務に「診療・医療行為を委託する契約」が挙げられる。
『京都大学法学部創立百周年記念論文集 3 民事法』(京都大学法学部百周年記念論文集刊行委員会編 有斐閣 1999)
 p77-123「医療契約について」(前田達明著)の中で、p96「医療契約については雇傭説が現行民法の立法者の見解となったが、後に、ドイツ学説の紹介検討を通じて、請負契約か雇傭契約か混合契約かあるいは準委任契約かの論争がなされ、現在は原則として準委任契約であるというのが通説であるといえよう。」とあり。
『契約法 新民法大系 4』(加藤雅信著 有斐閣 2007)
 p413 体調不良により病院で診察してもらったという設例の解説「診療契約(医療契約ともいう)が締結されている。診療ないし医療は、法律行為ではなく事実行為なので「法律行為でない事務の委託」(656条)となり、これは準委任契約の一種となる。」とあり。
『民法2 債権各論』(内田貴著 東京大学出版会 2011)
 p300-304〈医療契約〉の項あり。

2 雑誌論文
前田泰著「非典型契約の総合的検討(4)診療契約」(『NBL 923』p72-76 商事法務 2010)
 p72「診療契約は諾成契約であり、実際には、患者の申込みに対して医師が承諾することにより成立する。ただし、保険診療においては、やむを得ない理由があるときを除き、患者は診療申込に際して被保険者証を提出しなければならないから(健康保険法施行規則53条、国民健康保険法36条3項)、申込みの方式が定められていることになる。」契約成立の時期についての記述もあり。
米村滋人著「医事法総論[3]医事法の基本思想と法的構造2(医事法講義 第3回)」(『法学セミナー 57-6(689)』p94-98 日本評論社 2012)
 p95に「わが国では、医師・医療機関と患者の間には、通常の場合、医療契約(診療契約)が存在するとされ、通説はこの契約を準委任契約と性質決定する。」と一般的定義を述べた上で、「このような通説に対しては、医療契約は委任類似の無名契約であるとする有力説に加え、そもそも契約の存在を否定する樋口範雄の見解が存在する。」と反対意見の存在を明示。
 p96で「既存の法律関係を当てはめる形で演繹的に法規範を導くことは不適切と考えられ、医療契約を無名契約とする有力説が理論上は最も適切と言えそうである。ただし、無名契約であるというだけでは何ら問題は解決せず、むしろ議論を混乱させる危険性がある。(中略)大半のサービス提供契約を準委任とする現行法の運用を維持する限り、医療契約も準委任契約と一応性質決定しつつ、医療の特殊性を適正に定式化した権利義務関係を具体的に論ずるのが建設的と考えられる。」と結論づけている。

3 裁判例
損害賠償請求事件
東京地方裁判所民事第32部 昭和44(ワ)第96号 昭和46.4.14判決
(『下級裁判所民事裁判例集』22巻3・4号 p372)
診療契約の内容、法的性質について準委任契約と解するのが相当であるとした上で、原告が主張する請負契約と解した場合についても判示している。事件の概要と解説は以下の雑誌に掲載されている。
『判例時報 642号』(判例時報社 1971)
 p33-38に該当の事件があり、p38に「診療契約は、(中略)診療行為を遂行すること自体を内容とする債務を負担するという準委任契約であると解するのが相当である。」とあり。
『判例タイムズ 第265号』(判例タイムズ社 1971)
 p244-245に該当の事件があるが、掲載されているのは判決理由のみ。
『別冊ジュリスト 50 医事判例百選』(有斐閣 1976)
 p78-79に該当の事件の概要、判旨、解説あり。(解説者は診療契約の性質を無名契約と解釈する)
『法律時報 44巻11号』(日本評論社 1972)
 p139に該当の事件の概要、判旨、解説あり。

損害賠償請求事件
神戸地方裁判所竜野支部 昭39(ワ)第67号 昭和42.1.25判決
(『下級裁判所民事裁判例集』18巻1・2号 p58-63)
 p60〈判決理由〉の判示事項に診療契約に関する記述あり。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
民法.民事法  (324 9版)
参考資料
(Reference materials)
「医法:附・医事法規」(会田俊一著 日本医政会 1926)
『民法講義 第5第3 債権各論 中巻2』(我妻栄著 岩波書店 1962)
『民法研究 10 講演』(我妻栄著 有斐閣 1971)
『民法講義 5 契約(有斐閣大学双書)』(稲本洋之助ほか著 有斐閣 1984), ISBN 4-641-09319-9
『医事法 中(現代法律学全集58)』増補版(改訂版)(野田寛著 青林書院 1994), ISBN 4-417-00866-3
『コンメンタール契約法 コンメンタール民法 5』(我妻栄著 有泉亨著 日本評論社 1998), ISBN 4-535-00139-1
『京都大学法学部創立百周年記念論文集 3 民事法』(京都大学法学部百周年記念論文集刊行委員会編 有斐閣 1999), ISBN 4-641-02740-4
『契約法 新民法大系 4』(加藤雅信著 有斐閣 2007), ISBN 978-4-641-13478-2
『民法 2 債権各論』(内田貴著 東京大学出版会 2011), ISBN 978-4-13-032332-1
『NBL 923』(商事法務 2010)
『法学セミナー 57-6(689)』(日本評論社 2012)
「The Seinan Law Review Vol.38,No.2」(p61-91 西南学院大学学術研究所 2005)
キーワード
(Keywords)
契約法
医事法
民法
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
個人
登録番号
(Registration number)
1000168847解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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