●749.13 校正関係の書架を見る。
『あなたも校正者』朝日新聞大阪本社校閲部/編 大阪書籍 1988.10
p47 「かつて毛筆で朱墨を使っていた時代もありました。」とあるが、詳しい歴史は書かれていない。
『校正のこころ』大西 寿男/著 創元社 2009.12
p19~ 校正の起源
訂正の赤字を入れることを「入筆」といいます。「朱筆をいれる」ともいい、筆で朱墨を使っていた時代の名残りをとどめています。日本の古文書を見ると、朱筆はおもに注記に使われていることがわかります。(略)校正でいつから赤字を訂正に使うようになったのかははっきりしませんが、このような朱筆の使い方の延長線上にあることはたしかだろうと思います。 とあり。
●ジャパンナレッジで「朱筆」で検索→
日本国語大辞典の「朱筆」の項
朱墨で書き入れ、訂正などするのに使う筆。また、朱墨による書き入れ。添削。
*今昔物語集[1120頃か]六・一三「依を画するに一点の朱筆、誤て仏の御背の上に付けり」
とあるので今昔物語集の頃には朱筆があったのではないかと考えられる。
●google booksで「朱を入れる」「添削」で検索→
『サラリーマンの父から息子への、67通の手紙』茂田 滄海/著 文芸社 2002.6
p33 "菫遇は『老子』や『左伝』に注を入れたが、その時「朱墨」を用いた。詩歌や文章に加筆添削することを「朱を入れる」というのは、この菫遇の故事からきている。"とあり。
●上記の菫遇の故事が載っている資料を調べる。
『新釈漢文大系 59 蒙求』早川 光三郎/著 明治書院 1973.10
p1012 五九四 菫遇三餘
通釈 ……『左氏伝』中の勧善懲悪の文辞をえらび出して、朱と墨とで区別した別異を作った とあり。
●故事成語の辞典を見てみる。
『成語林』旺文社/編 旺文社 1992.9
p522 朱筆を入れる
語源 毛筆・墨書の時代、文章の訂正や書き入れには朱墨を使ったことから出たことば。