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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000160841
提供館
(Library)
北海道立図書館 (2110028)管理番号
(Control number)
参調 14-0018
事例作成日
(Creation date)
2014/05/17登録日時
(Registration date)
2014年10月13日 00時30分更新日時
(Last update)
2014年10月13日 00時30分
質問
(Question)
「上位自我」の意味が知りたい。
「上位自我」=「自分の自我よりも優先すべき他者の自我」といった意味が説明されているような文献について、教えてほしい。
※筒井康隆『七瀬ふたたび』という小説の中に、主人公の七瀬は黒人男性ヘンリーの「上位自我」なので、命令の通りに動いてもらえるという内容があった。
この「上位自我」について、インターネットで調べたが、『七瀬ふたたび』の中で使われているような「自分の自我よりも優先すべき他者の自我」といったような意味の記述は見つからなかった。
回答
(Answer)
下記調査結果より「上位自我」=「自分の自我よりも優先すべき他者の自我」といった意味が説明されているような文献は発見できなかった。

「カウンセリング大事典」「ラルース臨床心理学事典」など心理学関係の事典を見たが、「上位自我」という言葉は掲載されていない。
「日本国語大辞典」にもなし。「大辞泉」の「超自我」の項に、「精神分析の用語。良心ともいいうる、内面化した倫理的価値基準に従おうとする動機群。イドの検閲を行う作用をもつ。上位自我」とあり、はじめて「上位自我」という言葉が出てくる。

フロイトの著作で使用される「uber-Ich」(ドイツ語)という概念がはじめ「上位自我」と翻訳されたが、この「uber-Ich」が英訳された際に「super-ego」と翻訳され、それに伴い和訳も「上位自我」から「超自我」に変化し、現在は「超自我」という訳語が主流である(「上位自我」という訳語はほとんど使われない)。
そのため、心理学関係の用語辞典に「上位自我」という言葉は掲載されていないと思われる。

「超自我」の意味を調べると、
「取り込まれた道義的禁止の総体。…子どもが理想化された両親あるいはその代理者に同一化した結果生じるとされる。それは、権威と同義的な検閲の機能を行使し、自我がある本能的な欲求に抗するよう義務付け、そうしないと苦痛な感情、とりわけ罪責感が生じる」(「ラルース臨床心理学事典」「超自我」の項(252頁)
「心の中の一部分であり、自我に対して裁判官のような役割をする良心ともいうべき部分。…超自我は自我が形成されたのちに、両親のしつけ、あるいは社会の要求を自己の中に取り入れて内在化することによって形成される。子どもは両親の態度、意見、判断を受け入れ、ほめられたり、叱られたりしながら、自分自身の行動や考え方を社会的に是認させるような方向に形成していく。…超自我形成の条件としては、次のことが考えられる。人間の子どもは他の動物に比べて父母に長期間育てられ、心理的に初めは自分と他を区別できない。したがって、超自我形成のために取り入れられたイメージが、大部分は両親の超自我のイメージと一致する。…はじめは両親の内在化として出発する超自我は、やがて成長するにつれて教師や、歴史上の人物、小説の主人公などの超自我を取り入れ、それを内在化することによって、ますます形成・発展させていく。」(「カウンセリング大事典」「超自我」の項(467頁)
とあり、「自分の自我よりも優先すべき他者の自我」のような意味はない。

「七瀬ふたたび」より前に発表された「家族八景」では、「超自我」という用語が使用されている。(「いうまでもなく彼女の超自我は常人と違っていた。」(芝生は緑)「常に彼をなぐさめ、彼に自信を植えつけてくれた恒子は、信太郎にとって彼の自我の一部であり、超自我でもあった。」(亡母渇仰))
「漂流 本から本へ」の記述によると、筒井氏は大学生の頃、日本教文社の「フロイド選集」を購入し、精読した(90頁)、とのこと。当館で所蔵している同資料をみたところ、「上位自我」という用語が使用されていた。(「超自我」という用語も使用されている。おそらく同じ「uber-Ich」を訳したものと思われるが、発表された時期、翻訳者の違いによって訳語に差異が出たのだと思われる。)
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
臨床心理学.精神分析学  (146 7版)
参考資料
(Reference materials)
1 カウンセリング大事典 小林/司?編 新曜社 2004.7 146.3/KA

2 ラルース臨床心理学事典 N・シラミー?著 滝沢/武久?監訳 弘文堂 1999.9 146.03/R

3 日本国語大辞典 第7巻 しゅんふ-せりお 小学館国語辞典編集部?編集 小学館 2001.7 813.1/NI/7

4 大辞泉 下巻 せ-ん 松村/明?監修 小学館大辞泉編集部?編集 小学館 2012.11 813.1/D/2

5 漂流 筒井/康隆?著 朝日新聞出版 2011.1 019/HY

6 筒井康隆全集 第17巻 七瀬ふたたび.メタモルフォセス群島 新潮社 1984.8 918.6/TS/17

7 筒井康隆全集 第11巻 乱調文学大辞典.家族八景 新潮社 1984.2 918.6/TS/11
キーワード
(Keywords)
上位自我
七瀬ふたたび
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事項調査
内容種別
(Type of subject)
その他
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000160841解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
未解決
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