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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000160838
提供館
(Library)
北海道立図書館 (2110028)管理番号
(Control number)
参調 14-0019
事例作成日
(Creation date)
2014/05/16登録日時
(Registration date)
2014年10月13日 00時30分更新日時
(Last update)
2014年10月22日 15時19分
質問
(Question)
棟方志功は「わだば日本のゴッホになる」といったそうだが、なぜ「ゴッホ」なのか知りたい。
回答
(Answer)
下記のとおり、評伝や自伝からゴッホに影響を受けたと思われる部分を紹介。

「棟方志功 わだばゴッホになる」には、次のエピソードが掲載されている。
「…弘前に小野忠明という洋画家がいて…わたくしはある日、意を決して小野さんのお宅を訪ねました。話を伺ううちに、わたくしは「ワ(私)だば、バン・ゴッホのようになりたい」と言いました。すると、小野さんは、「君は、ゴッホを知ってるッ?」と言います。その頃わたくしは、何か判らないが、ゴッホというものを口にしていました。みんなから「シコーはいつもゴッホ、ゴッホと言っているが、風邪でも引いたかな」とからかわれたものでした。小野さんは新刊の雑誌を一つ持ってきました。『白樺』でした。
口絵に色刷りでバン・ゴッホのヒマワリの絵がのっていました。赤の線の入った黄色でギラギラと光るようなヒマワリが六輪、バックは目のさめるようなエメラルドです。一目見てわたくしは、ガク然としました。何ということだ、絵とは何とすばらしいものだ、これがゴッホか、ゴッホというものか!
わたくしは、無暗矢鱈に驚き、打ちのめされ、喜び、騒ぎ叫びました。ゴッホをほんとうの画家だと信じました。今にすれば刷りも粗末で小さな口絵でした。しかしわたくしには、ゴッホが今描いたばかりのベトベトの新作と同じでした。「いいなァ、いいなァ」という言葉しか出ません。わたくしは、ただ「いいなァ」を連発して畳をばん、ばんと力一杯叩き続けました。「僕も好きだが、君がそれほど感心したのなら君にあげよう。ゴッホは、愛の画家だ」。小野忠明氏は力強く最後の言葉を言ってくれました。
それからは、何を見てもゴッホの絵のように見えました。」(40~41頁)

また、「棟方志功讃」にも、「板極道」(棟方志功の自伝)からの抜粋として
「氏(小野忠明氏のこと)はゴッホを尊敬して新しい絵を描いていました。氏からわたくしは、フランスの作家の醸成をいろいろ教えられました。とくにゴッホの話に夢中になりました。―ゴーギャン、セザンヌ、ロートレック、マチス、ピカソまでを語りました。そうして小野氏は、大切にしていましたゴッホの『ひまわり』の原色版を、わたしにくれました。―この原色版を、カミサマ―ゴッホの面影として大切にしていたのですが、残念千万にも、戦災で無くしたのは、惜しく思っています―。
『ようし、日本のゴッホになる』『ヨーシ、ゴッホになる』―そのころのわたくしは、油画ということとゴッホということを、いっしょくたに考えていたようです。
わたくしは、何としてもゴッホになりたいと思いました。…わたくしは描きに描きました。…何もかもわからず、やたら滅法に描いたのでした。ゴッホのような絵を―。そして青森では、『ゴッホのムナカタ』といわれるようになっていました。」(33~34頁)
とある。

小野氏にゴッホの『ひまわり』原色版を贈られたことにより、『日本のゴッホになる』と決意した、というのが定説のようだが、「棟方志功 わだばゴッホになる」にある通り、小野氏に会う以前に棟方志功はゴッホを知っていたようである。これについては、長部日出雄による評伝「鬼が来た 上棟方志功伝」に、青森裁判所の弁護士控所に給仕として勤めていた棟方の先輩、山本兵平は絵を描いていた弟兵三の友達としてまえから棟方を知っており、上京する際、ゴッホの画集を「絵描きになるのなら、こういうものを勉強せねば駄目ぞ」といって貸し、「ゴッホの画集を手にした志功は、飛び上がって喜び、頁を繰るたびに「こりゃあ大すたもんだ!」と叫んで大感激のていであった。」という記述がある。(84~86頁)
小野氏はわざわざ上京してゴッホの『ひまわり』原画を見ており、その印象と、「白樺」のバックナンバーを読んで得ていた知識をまじえて、ゴッホ論を棟方に熱っぽく語っており、それによって棟方が多大な影響を受けたのだろう、と「鬼が来た 上 棟方志功伝」にはある。白樺派が日本に紹介した画家には、ゴッホ以外にもセザンヌ、ルノワールなどがいますが、なぜその中からゴッホなのかは判らず。小野忠明氏がゴッホに傾倒していたのか、もともとゴッホの画集を見ていた棟方が、殊更ゴッホの話に反応したのか、ゴッホと棟方には生来の性質に共通するところがあり、小野氏の話を聞いて自分のあるべき道と進む道を初めて実感したのか、推測はできるがはっきりしたことは判断できない。
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
木版画  (733 7版)
参考資料
(Reference materials)
1 棟方志功 棟方/志功?著 日本図書センター 1997.2 733/MU
2 棟方志功讃 匠秀夫∥著 平凡社 1984.11 733/MU
3 鬼が来た 上 長部日出雄∥著 文芸春秋 1979.11 732.1/MU/1
4 板極道 棟方/志功?著 中央公論新社 2003.4 B732.1/MU
キーワード
(Keywords)
棟方志功
日本のゴッホ
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事項調査
内容種別
(Type of subject)
その他
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000160838解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決