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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000159783
提供館
(Library)
島根県立図書館 (2110035)管理番号
(Control number)
島根参2014-09-002
事例作成日
(Creation date)
2014年09月13日登録日時
(Registration date)
2014年09月14日 17時11分更新日時
(Last update)
2015年10月15日 11時38分
質問
(Question)
江戸時代に海上の距離を測るために用いられていた単位について調べたい。
現代は「海里」が使われているが、江戸時代も使われていたかどうか、使われていれば現代と同じ長さかどうか知りたい。
回答
(Answer)
◆日本では古くから長さや距離を測る単位として「尺」「里」「尋」が用いられていた。(※【資料4・5・6・7】)

◆江戸時代の海路図には「尺」「里」「尋」の記載が見られる。(※【資料11・13・14・15】)

◆海路図として大成した最後のものといわれる『大日本籌海全圖』(1868)には「里」の記載がある。(※【資料15】)

◆鎖国政策がとられるまで行なわれていた朱印船貿易では、西洋式の進んだ航海術と外国製の海図が使われていたが(※【資料8・9】)、日本で本格的に海上測量が行なわれたのは、江戸末期の1862年に、海軍一等士官福岡久右衛門の測量隊が、尾張・伊勢・志摩の三国を測量、作図したのが最初である。(※【資料9】)

◆「海里」が正式に制度として定められたのは明治5年(1872)の太政官布告で、明治4年(1871)に作られた海図の第1号である釜石港周辺の海図は、英海里と尋を併用していた。(※【資料3】)
回答プロセス
(Answering process)
(1)NDC分類「609」度量衡の資料で、「海里」と、メートル法以前に日本で使われていた「長さ」「距離」の単位について調査。

◆海里とは
【資料1】『図解単位の歴史辞典』(柏書房)を検索。
・p29「海里」について以下の記述あり。
 1海里は1852メートルで、地球の中心角一分を張る海面上の距離にあたる。
 17世紀、イギリスのガンターの考案したもの。
 1929年の国際水路会議で1852メートルに統一。
 我が国では明治5年(1872年)太政官布告で次のように定めた。
 “海里ハ一度六十分一ヲ以テ一里ト定ム即チ陸里十六町九分七厘五毛ナリ”
・測量に使われる道具は以下のとおり。
 p230「表尺」
 p248「梵天」
 p276「里数計」

【資料2】『丸善単位の辞典』(丸善)
・p51「海里;里」
 おもに航海・航空で用いられる距離の単位。
 もともと緯度1分に相当する距離から導かれた単位であるが、地球が扁平球であるため一定せずいろいろな海里が生まれた。
 1英海里=6080ft=1853.793m
 1旧英海里=6082ft=1853.793m
 1国際海里=1852m ※アメリカは1954年に受入れたがイギリスは同意していない。
 1米海里=6080.20ft=1853.248m ※1853年に定められたが、現在は国際海里を採用している。

◆日本でいつから「海里」が使われたか
【資料3】『単位のいま・むかし 続』(日本規格協会)
・p99「江戸時代の単位」
 古代から江戸末期まで日本には大宝律令以外には単位、度量衡に関する法定制度はなかった。
 そしていかなる規制も設けられなかったにも関わらず、基準となった曲尺は全く変わっていない。
 江戸時代の長さの単位「尺」は0.303m。
・p108-110「気象観測と陸地測量はメートル法」
 明治になると度量衡統一の必要が叫ばれ、気象観測と陸地測量はメートル法へ移行したが、航海・海図についてはこの問題は取り上げられなかった。
 明治4年に作られた釜石港周辺の海図第1号は、英海里と尋を併用している。
 海里及び尋は度量衡取締条例も関知せず、明治5年4月24日の太政官布告によって海軍が定めたもので、以下のとおり。
  一、海里ハ一度六十分ヲ以テ一里ト定ム即チ陸軍十六町九分七里五毛ナリ
  一、尋ハ曲尺六尺ヲ以テ一尋ト定ム
 測量に用いる精密な基線尺は異系であるからということで条例の適用外とされた。
 ※【資料1】にも同様の記述あり。

◆日本の距離の単位
【資料4】『ものさし ものと人間の文化史22』(法政大学出版局)
・p177-178「尋のこと」
 日本固有の単位で、海でもっぱら用いられた。
 明治になって海軍が、明治五年太政官布告で一尋を六尺と決めた。
・p184-187「日本の里」
 規定の上で最初に現れるのは律令の公式令。
 この場合の一里は大宝令の雑令に三百歩を里とする、とあるので1800尺、5町である。六町一里というものもあった。
【資料5】『ニッポンのサイズ』(淡交社)
・p103-105「一里のはじまり」
 日本人が慣れ親しんできた距離の単位の「里」は、もとは古代中国の周に始まる面積の単位。
 周代の一里は、一辺が300歩つまり1800尺の正方形で、この一辺の長さが「里」として独立して長さの単位となった。
 この場合の一尺をカネ尺のもとになった30センチに近い長さとすれば、周代の一里は540メートルぐらいの距離となる。
 日本では律令制度ができる前から五町の一里と六町の一里があった。
 この場合の一町は60間で約108メートルだから、五町は約540メートル、六町は650メートルである。
 実測ではなく歩く時間や旅行の日程から割り出した数なので、五町一里も六町一里も実質的には大差なかった。
・p105-107「三六町の一里」
 昔の日本は「里」を距離の単位でなく、徒歩の旅にかかる労力を表す数字として使ったため、地方により様々な「里」ができた。
 その慣行を認める一方で、徳川幕府は慶長七年(1602)に三六町を一里と定める布令を出した。
 明治2年(1891)明治政府は慣行としてのさまざまな「里」を廃止して、三六町の一里だけに統一し、明治24年(1891)の度量衡法では、一里=三六町=一万二九六〇尺=43,200/11メートルと決めた。計算すると、3.927km、大まかに言って4kmである。

【資料6】『そこが知りたい単位の知識』(日刊工業新聞社)
・p32-35「日本の尺度の歴史」
 日本の歴史の中で、度量衡が公の場に登場するのは文武天皇時(701)の大宝令で、全国に標準の原器を配布した。
 それまでは渡来人が持ち込んだそれぞれの尺度が使われ、高麗尺もその一つであった。
 大宝律令では小尺(曲尺、八寸〇八厘)と大尺(九寸七分)の二通りになっており、大尺が高麗尺であったらしい。
 以後、和銅の改訂、養老の改訂、豊臣秀吉の検地などを経て徳川時代に入り、新たな見直しをしたが、その間は建築用に使われた曲尺が主体であった。
 曲尺=現在の一尺はこの尺度。33cm。
 新一尺=明治3年、大蔵省と制度局が集議員に提出。曲尺の約一尺一寸。五尺を一間、五〇間を一町、四〇町を一里とした。
【資料7】『おもしろくてためになる単位と記号雑学事典』(日本実業出版社)
・p25「里のルーツは中国にあり」
 「里」が最初に使われたのは中国の周時代で、漢の時代には1里は360メートル、清の時代には578メートルだった。
 日本では律令時代の1里が545メートルで、この時の1里は5町で1里(町は109メートル)だった。
 この後6町1里の時代を経て様々に混在して使われるようになり、明治2年に36町1里(約4キロ)に定められた。

 ※このように、日本では距離を表す単位として、古くから「里」が使われていた。実測したものではなく、かかった労力を目安にしていたため地方により差があり、時代が下がると不便が生じたため、1602年に「36町1里」の布令が出 され、明治2年に「36町1里」に統一された。


(2) NDC分類「683」「550」海運、船舶工学の資料で、江戸時代の航海術と海上測量、海図について調査。

 ◆航海術と海図について
【資料8】『船 ものと人間の文化史1』(法政大学出版会)
・p109-112「5.朱印船と海外貿易 遠洋航海の技術」
 この時代、進んだヨーロッパの技術を学んで、わが国の航海技術は格段の進歩を遂げた。
 航海のために欠かすことのできない海図も、ポルトガル製のものがそのまま使われた。
・p224-229 10.千石船の航海:「航海の図書」
 江戸期も年代が下がるにつれて航運がますます盛んになり、船の数も増し、船員数も増加するので、この種航海関係図書の著作が多くなり、手写しでは間に合わず、印刷出版が続出した。
 航海用地図は重要なものでその種類は多いが、現在の海図のようなものはない。
  ①船頭自ら航海していく場所場所の地図を絵に描き、巷間の距離・方位等書き入れたもの。
  ②先人の作った航路図またはその写図。
  ③市販の印刷刊行のもの。
【資料9】『航海術 中公新書135』(中央公論社)
・p126-130「日本人の海外発展」
 朱印船制度は1592年京都、境、長崎の富商八人に朱印船による通商を許したことに始まる。
 朱印船主は競って大型船を建造し、造船技術が進むとともに、当時の日本の航海術はイスパニア、ポルトガル、オランダの航海術が急速に流入したため いっきょに西洋式航海術の水準まで引上げられた。
 朱印船乗組の使用した海図は精密をきわめた西洋式海図であり(現在その相当数が保存されている)コンパスを使い、天測を行い、その技術もほとんどヨーロッパの航海者の水準まで追いついた者が多く現れた。
・p136「海図の歴史」
 海図が急速に進歩したのは1569年にオランダのメルカトールが正角円筒図法を完成してから。
 日本におけるこの種の刊行物の始りは1862年(文久2年)に日本沿岸を外国船がみだりに測量することを禁じ、その代わり海軍所から海軍一等士官福岡久右衛門の指揮する測量隊を派遣して、尾張・伊勢・志摩の三国を測量、作図したのが、航海の目的のために作った「図」の初めだという。

【資料10】『船の世界史 上・中・下』(舵社)
・p249-251「帆船時代の航海」
 16世紀には緯度測定器が改良され、18世紀には六分儀が完成し、さらに19世紀には曳航測程器が完成した。
 16世紀には海図が完成し、さらに17世紀には航海暦が出版され、18世紀にはクロノメータも完成している。

 ※朱印船の航海では進んだ西洋式航海術と外国製の海図が使われていたが、鎖国政策により朱印船貿易は終了。
 ※日本で本格的に海上測量が行なわれたのは、1862年(文久2年)海軍一等士官福岡久右衛門の測量隊が、尾張・伊勢・志摩を測量、作図したのが最初 である。

◆江戸時代の海路図
【資料11】インターネット情報〔神戸大学海事科学部 バーチャルミュージアム〕
  http://www.museum.maritime.kobe-u.ac.jp/maritime_museum/index.html (最終確認2014/10/7)
 『浪速至東都図解』(文政9年:1826年)『海路絵図巻』
 ※海路上の距離の単位として「里」が使われているのが確認できる。


(3) NDC分類「210」「291」近世の歴史、地図、測量に関する資料で江戸時代の海上測量に関係した記述を調査。

【資料12】『地図と絵図の政治文化史』(東京大学出版会)
・p269-344:十九世紀日本近海測量について
 江戸幕府の海上測量について詳しく解説されている。
【資料13】『日本水路史』(日本水路協会)
・p1-3:海路図誌
 江戸時代の海路図の具体例を挙げて解説している。
  「元和航海記」(1618) 海上天測法の記述あり
  「東西海陸之図」(1672)
  「大坂長崎海路図」(1677)
  「海瀬舟行図」(1680)
  「日本海路一覧」」(1787)一葉に航路・針路を記入、余白に里程表を提示
  「廻船安乗録」(1810)
  「改正日本船路細見記」(1842) 港湾誌・里程表・潮位表・航海術・名所記・天気予報法を包含
  「東海舟程全図」(1840)
  「全流潮路記」(1845)
  「大日本籌海全図」(1868) 海路図として大成した最後のもの

【資料14】インターネット情報〔水産総合研究センター図書資料デジタルアーカイブ〕 http://nrifs.fra.affrc.go.jp/book/D_archives/2009DA004.html (最終確認2014/12/7)
 『嘉永年中幕府にて調 内洋浅深図(江戸湾内)江戸幕府 嘉永年間(1848-1854) 53×76cm 地図1枚』
 ※クリックで拡大すると、尺・尋・里という記載が確認できる。

【資料15】インターネット情報〔筑波大学附属図書館貴重書コレクション〕 http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/pub/kaken/H17_eyomi/lime/10076754530/10076754530_01.html (最終確認2014/12/7)
 『大日本籌海全圖』(【資料13】に“海路図として大成した最後のもの”とある)
 ※クリックで拡大すると、「リ」「里」という記載が確認できる。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
度量衡.計量法  (609 8版)
海運  (683 8版)
海洋工学.船舶工学  (550 8版)
参考資料
(Reference materials)
【資料1】小泉袈裟勝/編. 図解・単位の歴史辞典 新装版. 柏書房, 1990.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000755597-00 , ISBN 4760105123 (当館請求記号 R609/コ90 ※貸出禁止資料)
【資料2】二村隆夫 監修 , 二村, 隆夫, 1929-. 丸善単位の辞典. 丸善, 2002.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003626634-00 , ISBN 4621049895 (当館請求記号 R609/ニ02 ※貸出禁止資料)
【資料3】小泉袈裟勝 著 , 小泉, 袈裟勝, 1918-. 単位のいま・むかし 続. 日本規格協会, 1992.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002253357-00 , ISBN 4542301303 (当館請求記号 609/コ/2 ※書庫資料)
【資料4】小泉袈裟勝 著 , 小泉, 袈裟勝, 1918-. ものさし. 法政大学出版局, 1977. (ものと人間の文化史 ; 22)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001343583-00  (当館請求記号 609/コ77 ※書庫資料)
【資料5】石川英輔 著 , 石川, 英輔, 1933-. ニッポンのサイズ : 身体ではかる尺貫法. 淡交社, 2003.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004208116-00 , ISBN 4473019993 (当館請求記号 609/イ03)
【資料6】山川正光 著 , 山川, 正光, 1929-. そこが知りたい単位の知識. 日刊工業新聞社, 1993.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002230132-00 , ISBN 4526032654 (当館請求記号 609/ヤ93 ※書庫資料)
【資料7】白鳥敬 著 , 白鳥, 敬, 1953-. おもしろくてためになる単位と記号雑学事典. 日本実業出版社, 2001.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002980711-00 , ISBN 4534032277 (当館請求記号 609/シ01)
【資料8】須藤 利一/編 , 須藤‖利一. 船. 法政大学出版局, 1979. (ものと人間の文化史 ; 1)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000046415-00 , ISBN 4588200119 (当館請求記号 683.2/ス68)
【資料9】茂在 寅男/著 , 茂在‖寅男. 航海術 : 海に挑む人間の歴史. 中央公論社, 1977. (中公新書 ; 135)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000096853-00 , ISBN 4121001354 (当館請求記号 558/36 ※書庫資料)
【資料10】上野喜一郎 著 , 上野, 喜一郎, 1907-. 船の世界史 上巻. 舵社, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001489115-00  (当館請求記号 550/0061/1 ※書庫資料)
【資料11】インターネット情報〔神戸大学海事科学部 バーチャルミュージアム〕
http://www.museum.maritime.kobe-u.ac.jp/maritime_museum/index.html (最終確認2014/10/7)
【資料12】黒田日出男, メアリ・エリザベス・ベリ, 杉本史子 編 , 黒田, 日出男, 1943- , Berry, Mary Elizabeth, 1947- , 杉本, 史子, 1958-. 地図と絵図の政治文化史. 東京大学出版会, 2001.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003030330-00 , ISBN 413020131X (当館請求記号 291.0/チ01 p269-344)
【資料13】海上保安庁水路部 編 , 海上保安庁水路部. 日本水路史 : 1871~1971. 日本水路協会, 1971.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001130404-00  (当館請求記号 550/43 ※書庫資料 p1-3)
【資料14】インターネット情報〔水産総合研究センター図書資料デジタルアーカイブ〕 http://nrifs.fra.affrc.go.jp/book/D_archives/2009DA004.html (最終確認2014/12/7)
『嘉永年中幕府にて調 内洋浅深図(江戸湾内)江戸幕府 嘉永年間(1848-1854) 53×76cm 地図1枚』
【資料15】インターネット情報〔筑波大学附属図書館貴重書コレクション〕『大日本籌海全圖』 http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/pub/kaken/H17_eyomi/lime/10076754530/10076754530_01.html (最終確認2014/12/7)
キーワード
(Keywords)
海里
単位
距離
海図
航路図
江戸時代
航海術
度量衡
照会先
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寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
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