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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000155266
提供館
(Library)
奈義町立図書館 (2410013)管理番号
(Control number)
M12092212363955
事例作成日
(Creation date)
2014年06月26日登録日時
(Registration date)
2014年06月28日 14時59分更新日時
(Last update)
2014年06月28日 15時11分
質問
(Question)
岡山県勝田郡奈義町と鳥取県八頭郡智頭町にまたがる那岐山(標高1,255m)について、万葉歌人平賀元義が、那岐山を歌った「奈義神山碑」(嘉永4[1851]年作)に、次のくだりがあり、現在の那岐山とは異なる「奈義山」の字が当てられている。

… 奈義神波天曽曽理高岐尊此奈義山能 …
…なぎのかみは あまそそり たかき たふとき この なぎのやまの…

近世から近代初頭、特に「奈義神山碑」がうたわれた時期に、ナギ山には主にどのような漢字が用いられていたか、知りたい。(古地図、古文献など)
回答
(Answer)
当館の蔵書を中心に、古文献を確認したところ、それぞれ次のような漢字が用いられていた。

1)『三代実録(日本三代実録)』貞観5(863)年5月28日:奈〓(ぎ〓は送の旁の部分)
『神祇志』1893年、『神祇志料』1927年:奈癸
2)『後醍醐天皇御製の歌』(製作年不詳/14世紀?):奈木
3)『大日本史』(1657年編纂開始~1906年完成)
第6 神祇志 美作国「官帳不載者」:奈義
4)『美作鏡(美作国鏡)』1852年:奈義
5)『美作太平記』成立年不詳(江戸時代後期?):名木
6)『白玉拾』江戸時代文化~天保年間:奈義、名木
7)『美作國神社資料』1920年:奈岐
8)その他 那岐、名義、諾など

1)『三代実録(日本三代実録)』貞観5(863)年5月28日:
「従五位下天石門別、奈〓、大佐々三神並叙従五位上」とあり、奈〓(ぎ〓は送の旁の部分)の字が用いられている。
※注1:「式外、神祇志」は、栗田寛著述『神祇志』(1893年刊)に掲載されている式外社の意味と考えられる。なお、『神祇志』執筆の底本とされる栗田寛著述『神祇志料』(1927年刊)中の「式外諸神」美作国の項には「奈癸神」とある。



2)後醍醐天皇御製の和歌:
『岡山県勝田郡志』及び『勝田郡誌』に後醍醐天皇の御製とされる歌(注1)「ふりさけて見れどはかれぬ高嶺かな蜘蛛にうつもる奈木の神山」が載っており、奈木の字を用いている。

※注1:『美作史跡名勝誌』p.99に「この歌は後醍醐帝の御製と言はれている。」とあり、また『美作高円史』p.76に、「…その御作のとき等は明かでない。」とあることから、調べた範囲では、後醍醐天皇御製であるとの言い伝えはあるが、文献的に証明されたものではなく、出典・制作時期等不明であった。

3)『大日本史』:
『大日本史』(1657年編纂開始~1906年完成)第6 神祇志中の美作国「官帳不載者」の項に、「奈義神社 癸一作義 在勝田郡 神社記云 在廣岡郷成松村今属勝北郡 相傳在村中奈義山上後移其山下」とあり、奈義または奈癸の字を当てている。

4)『美作鏡(美作国鏡)』
「從五位上奈義神社 廣岡奈義神社 廣岡郷奈義山に座す今は麓に遷し奉りて なき大明神 なみ大明神二社」とせり三代實録にみへて尊き御社なり」とあり、奈義の字が用いられている。

5)『美作太平記』:
『美作太平記』(成立年代不詳/江戸時代後期?)「三穂太郎母の事」に「爰に中國無双の高名有名木の山といふ…」とあり、名木の字が用いられている。

6)『白玉拾』:
豊田の庄の部p.233に「北は因州智頭郡に連なり、名木山の絶頂を国境とす。」、「高円村より登り、凡そ百丁に至る。峨々たる奈義山の麓にして…」、また、高円村の項p.246に「この村奈義の山御林山…」p.249に「名木の城、深山口中の尾崎に有り。」などとあり、奈義、名木の字が混在している。

7)『美作國神社資料』:
「村社 諾神社」の項に、由緒沿革「本社創始の年代は大古に属し今之れを知るに由なし 始め奈岐山上に鎮座ありて奈岐大明神と稱し奉れりしを…」とあり、奈岐の字が用いられている。

8)『角川日本地名大辞典』『日本地名語源辞典』『日本地名ルーツ辞典』:
『角川日本地名大辞典33岡山県』p.815や『日本地名語源辞典』p.187、『日本地名ルーツ辞典』p.725によれば、町名は那岐山に由来するとあり、『角川日本地名大辞典』や『日本歴史地名大系34岡山県』などによると「ナギ」の山名には、古来、名木、奈義、名義、諾などさまざまな漢字が当てられているとのこと。
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
日本  (291 9版)
参考資料
(Reference materials)
佐伯有義編・校訂標注『三代実録』巻上(増補六国史),東京 朝日新聞社,1941.2.参照はp.183。 (次頁上段注釈に「奈〓神、式外、神祇志(注1)に在勝田郡広岡郷成松村今属勝北郡とあり〓は癸の訛」とあり、奈〓、奈癸の字が用いられている。
「式外、神祇志」は、栗田寛著述『神祇志』(1893年刊)に掲載されている式外社の意味と考えられる。なお、『神祇志』執筆の底本とされる栗田寛著述『神祇志料』(1927年刊)中の「式外諸神」美作国の項には「奈癸神」とある。)
岡山県勝田郡役所『岡山県勝田郡志』岡山県勝田郡役所,1912,215p 参照はp.51.
国政寛編集『勝田郡誌』勝田郡誌刊行会,1958,734p 図版7 参照はp.267.
寺坂五夫『美作史跡名勝誌』寺坂五夫,1963,320p. 参照はp.99.
寺坂五夫『美作高円史』岡本友一,1958,101p. 参照はp.76.
徳川光圀編『大日本史』第1-13,東京 吉川弘文館,1911-1918,15冊 第6:神祇志. 参照はp.483.
福嶋政民謹校・小坂田鴬山謹書『美作鏡』[福嶋政民],1852.11.
新編吉備叢書刊行会編『新編吉備叢書』第1巻 歴史図書社, 1976.5.
渡辺頼母編『吉備文庫』第1輯 山陽新聞社,1980.6.(山陽新報社印刷部 昭和4~7年刊の復刻)
皆木保実著;奈義町文化財保護委員会編集『白玉拾』奈義町教育委員会,2006.10
美作國神社資料刊行会編『美作國神社資料』豊岡忠男,1996.10.(岡山県神職会美作五郡支部神職会1920年刊の複製)
国政寛編集『勝田郡誌』勝田郡誌刊行会,1958,734p 図版7枚.
「角川日本地名大辞典」編集委員会編『角川日本地名大辞典』角川書店,1989,1814p.
『日本歴史地名大系34岡山県の地名』平凡社,1988.4,1073p.
溝手理太郎編『市町村名語源辞典』東京堂出版,1992.7,283p.
『日本地名ルーツ辞典』創拓社,1992.3,1078p.
キーワード
(Keywords)
那岐山(岡山県)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介 事実調査
内容種別
(Type of subject)
郷土 地名
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000155266解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決