レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年11月29日
- 登録日時
- 2014/06/27 00:30
- 更新日時
- 2015/07/18 00:30
- 管理番号
- 3A20140627
- 質問
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解決
大阪市平野区の杭全(くまた)神社の連歌所は、「全国で唯一残る」と記述されているものや、「全国的に見ても極めて少ない」との記述があったりする。どちらが正しいのか。
- 回答
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当館所蔵資料によると、「全国で唯一」との記述があるもの、「極めて少ない」との記述があるものが存在した。
正しいかどうかの判断はせず、それぞれの記述があったものを以下の通り紹介した。
・「全国で唯一」との記述があるもの
『平野区誌』(平野区誌編集委員会編,平野区誌刊行委員会,2005.5)
p195-196「連歌所の再興」の項で、
p196「この連歌所は日本でただひとつ残るものであり、…」との記述あり。
またp302のコラム「杭全神社の連歌復興」には、
「各地の主要な神社には昭和初期、太平洋戦争の頃まで連歌を行う連歌所とか連歌殿と呼ばれる建物が残っていた。だが、それも終戦とともに取り壊されたり、他の目的の建物として使われている。そうした風潮の中、杭全神社の連歌所だけは、宝永五年(1708)再興当時の建物が現存し、連歌会のために使われている。」との記述あり。
『杭全神社 -平野郷惣社-』([杭全神社],[19--])
杭全神社発行のパンフレット。この中に「連歌所」の項があり、「当社の連歌所は、連歌のための建物として現存する我が国唯一のものである。」との記述あり。
『平野法楽連歌 -過去と現在-』(杭全神社/編 和泉書院,1993.10)
表紙の紹介文に、「全国唯一の連歌会所が現存する大阪市平野区の杭全神社では、…」と記述あり。
またp230-260に座談会「なぜ今 法楽連歌であるか」の項があり、
p236に「昔は各地の神社にもあったようですが、現在も連歌所として存在するのは、この杭全神社だけと聞きましたので、なんとかこれを活用して、連歌会を復興したいと考えたわけです。」との記述あり。
『大阪人(OSAKA-JIN) 2009年12月/63巻12号 平野切絵図』(大阪市都市工学情報センター,2009.12)
p38-41「杭全神社」の記事に、
「全国で現存する唯一の連歌会所で、昭和の末期に連歌が復活した。…」との紹介文あり。
また、杭全神社宮司の藤江正謹氏の談として、「…86年(昭和61)、建築史研究家が連歌会所を訪ねてこられました。―全国で唯一現存する連歌会所の可能性が高いですよ。…」との記述あり。
・「極めて少ない」との記述があるもの
『平野の町並み -平野の歴史を生かす町づくり-』(観光資源保護財団,1986)
p55 8.杭全神社 f.連歌所の項に、
「…室町期以降連歌が流行していた。当社には「賦山何連歌」と題する巻物をはじめ…(中略)元禄8年の裏書のある連歌の「文台」がある。連歌所はそうした歴史を伝え、全国的にも稀有な建物である」と記述あり。
『大阪の歴史と文化財 1998年10月号/1号』(大阪市文化財協会,1998.10)
p24-41 林野全孝「杭全神社連歌所調査報告」の記事に、
p24「現存のものは宝永5年(1708)の再建によることが明らかである。この連歌所は今回の調査で独特の形式であることが判明し、また管見によれば、大阪府下では、現存唯一のもので、全国的にみても珍しい貴重な遺構である。」との記述あり。
『杭全神社宝物撰』(関西大学なにわ・大阪文化遺産学研究センター,2010.3)
p66-68「杭全神社の連歌」の項で、
p66「…全国にも珍しい連歌所のある杭全神社を会場にして…」と記述あり。
また、参考として当館Webサイトの「平野区に関するよくある質問と回答」の中の「平野で行われている連歌について」という項目も紹介した。
http://web.oml.city.osaka.lg.jp/net/osaka/osaka_faq/72faq.html#72-200803-002
(※HP掲載内容は『平野区誌』をもとに記載)
- 回答プロセス
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・『大阪府全志』『新修大阪市史』『大阪春秋』『上方』各索引より杭全神社・連歌所の掲載巻を確認したが、当該質問に関連する記述事項なし。
『平野区誌』(平野区誌編集委員会編,平野区誌刊行委員会,2005.5)に記載を確認。
・当館所蔵資料を"杭全神社""連歌所"などのキーワードで検索し、ヒットした資料のうち当該質問に関する記述のあった資料を紹介。
・大阪文献データベース(http://refdb.library.pref.osaka.jp/cdb0100.asp)、商用データベース「magazineplus」「CiNii Articles」で上記キーワードで検索、ヒットした資料のうち当館所蔵資料で当該質問に関する記述のあった資料を紹介。
- 事前調査事項
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平野区役所ホームページ
http://www.city.osaka.lg.jp/hirano/page/0000210328.html
大阪市の指定文化財(平成11年度)ホームページ
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000008782.html
- NDC
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- 神社.神職 (175 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <5111963134> [雑誌巻号] 大阪人 ( OSAKA-JIN ) 2009年12月 / 63巻12号 平野切絵図 大阪市都市工学情報センター 2009.12
- 当館書誌ID <0000598706> 平野の町並み -平野の歴史を生かす町づくり-(観光資源調査報告) 観光資源保護財団 1986
- 当館書誌ID <5100151902> [雑誌巻号] 大阪の歴史と文化財 1998年10月号 / 1号 大阪市教育委員会事務局社会教育部文化財保護課/編集 大阪市文化財協会 1998.10
- 当館書誌ID <0012086124> 杭全神社宝物撰(なにわ・大阪文化遺産学叢書 18) 関西大学なにわ・大阪文化遺産学研究センター/編集 関西大学なにわ・大阪文化遺産学研究センター 2010.3
- 『平野区誌』平野区誌編集委員会/編 平野区誌刊行委員会,2005.5 <当館書誌ID:0011041212>
- 『杭全神社 -平野郷惣社-』[杭全神社],[19--]<当館書誌ID:0011934588>
- 『平野法楽連歌 -過去と現在-』杭全神社/編 和泉書院,1993.10 ISBN:4-87088-618-9 <当館書誌ID:0000380107>
- 「平野で行われている連歌について」(大阪市立図書館HP「平野区に関するよくある質問と回答」内)http://web.oml.city.osaka.lg.jp/net/osaka/osaka_faq/72faq.html#72-200803-002 (平成26年5月21日確認)
- キーワード
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- 大阪府大阪市平野区
- 杭全神社
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000155199