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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000154906
提供館
(Library)
吹田市立中央図書館 (2310124)管理番号
(Control number)
吹-85-2014-006
事例作成日
(Creation date)
20131005登録日時
(Registration date)
2014年06月21日 11時55分更新日時
(Last update)
2015年04月25日 10時55分
質問
(Question)
宮沢賢治に「イギリス海岸」という作品がある。
「イギリス海岸」というのは、北上川の一部をドーバー海峡になぞらえたもの。
同じような地形で共に化石が採れることから「イギリス海岸」と名づけたという。
「イギリス海岸」を英訳したものを以前見て、ドーバーになぞらえることに疑問をもった。
その「イギリス海岸」の化石と、ドーバーの化石の比較をしたい。
ドーバーの化石については見たことがあるので調査は不要。
その英訳の本は以前ちらっと見ただけで、手元にはない。書名など不明。
回答
(Answer)
宮沢賢治が採集した「イギリス海岸」の化石の現在の所在についてはわからなかった。
回答プロセス
(Answering process)
原作品の確認のため、まず下記の資料を見た。
『新修 宮沢賢治全集 第14巻』
(宮沢賢治/著 筑摩書房 1980.5) 
*『イギリス海岸』所収。
“イギリスあたりの白亜の海岸”とあるが、ドーバーということばは出てこない。

『新修 宮沢賢治全集 第7巻』
(宮沢 賢治/著 筑摩書房 1980.4)
918.68
*『イギリス海岸の歌』という詩と楽譜所収。ドーバーということばはない。

質問者に、次の資料を提供した。

『農民の地学者宮沢賢治』*大阪府立図書館所蔵
(宮城一男/著 築地書館 1975.1)
*「イギリス海岸」「銀河鉄道の夜(ボス:牛の先祖の学名)」にある足跡採集に関し、
“それがほんとうにボスの足跡であったかどうかということは、せっかく採集した
標本が、そののち、家の火災でなくなってしまったいまでは、
それをたしかめるすべがありません。”
*利用者すでにお持ちだった。

『兄のトランク』
(宮沢清六/著 筑摩書房 1987.9)
*p137
“イギリス海岸という名称は、ドーバー海峡と同じ第三紀の泥岩層で、
テームズ河の上流にも似ているところがあると思われるので、この名を
つけたと言われている。”
p139
“岩手県南の、イギリス海岸と同じ第三紀上部鮮新層から発見された、
巨獣のおびただしい獣骨が、昭和2年にある農家の裏から出て来たのである。"
p149
“昭和20年の8月10日に花巻が空襲に会って、賢治の遺品は
概ね焼けてしまったが、防空壕に入れてあった原稿は全部損傷なく残ったのであった。"
*利用者すでにお持ちだった。

『こぼれ話宮沢賢治』*大阪府立図書館所蔵
(白藤慈秀/著 トリョーコム 1981.2)
*著者は花巻農学校時代宮沢賢治とともに数年間教師をつとめた。
p35
“この川の岸は、イギリスのリアス式海岸に似たところがあるので
イギリス海岸と名をつけると宮沢さんがいった。”
“この泥岩の中から胡桃や、さまざまな化石が発見されたが、
そのうちでも偶蹄類の足跡の化石が見つかったので
大変に喜んでそれを学校の標本室に持ち帰った。”

『証言宮沢賢治先生 イーハトーブ農学校の1580日』
(佐藤 成/著 農山漁村文化協会 1992.6)
*p328
“イギリス海岸の泥岩には、木の実や草の実やそして、くるみの化石が
含まれていた。賢治は、くるみの化石に興味をもったのである。採集した化石は、
岩手師範学校(現岩手大・教育学部)の博物学者、鳥羽源蔵に送られた。
(略)鳥羽から、東北帝国大学地質学古生物学教室の早坂一郎助教授へ
転送されていたが、いまだ学会に発表されていない珍品であることが
わかり、早坂助教授は、(略)大正14年[1925]11月23日、(略)
北上川小舟渡でくるみの化石を採集”
p443
“賢治がバタグルミを発見したのは大正11年のこと”
p448 稗貫農学校第2回卒業生(大正12年)の追憶
“岩手県師範学校へ入学した(略)。鳥羽先生(略)標本室(略)
陳列戸棚(略)咄嗟に目にとまったのは、昨年イギリス海岸で宮沢先生が
生徒と一緒に採掘した紛れもない「偶蹄類の足跡」が、しっかりと箱に
おさめられ陳列されているではないか。(略)先生は(略)
「宮沢賢治先生の厚意で頂いたもので、頗る貴重な珍しい標本だ」
”このことからもわかるように、イギリス海岸の泥岩層から賢治が生徒と
一緒に採集した「バタグルミ」の化石や「偶蹄類の足跡」もともに
鳥羽源蔵のもとに送られており”
*稗貫農学校(現・花巻農業高等学校)、岩手県師範学校(現・岩手大学)、
東北帝国大学(現・東北大学)のこれらの標本がその後どうなったかは未調査。
現在の各校・大学のHP(岩手大学はミュージアム、東北大学は総合学術博物館)を見たが、
(2013.10確認)わからず。

*宮沢賢治の地学の知識について
『宮沢賢治研究叢書 2 賢治地理』(大阪府立図書館所蔵)
(学芸書林 1975)
*「宮沢賢治との出会い 早坂一郎著」p98-105所収。
早坂一郎は、宮沢賢治と鳥羽源蔵とともに、イギリス海岸でバダグルミを
採集した東北帝大地質学教授でその論文を『地学雑誌』に発表。
この文章にその前後のことが述べられている。
“地質のことはどうやらはじめての事の様だった。”
“日本のものは恐らくは第三紀新期の化石であろう、と推測された。”
“最近になって、賢治は立派な地質学者だった、などと
ほめちぎって居る、彼の礼讃者も表われたと聞く。
私は彼を一人の地質学者として礼讃する仲間にははいる気はしない。”

『宮沢賢治の地的世界』
(加藤碵一/著 愛智出版 2006.11)
*p67-71“第三紀鮮新世とイギリス海岸”の項
“宮沢清六「兄のトランク」で、『イギリス海岸という名称は、ドーバー海峡と
同じ第三紀の泥岩層で、テームズ河の上流にも似ているところがあると
思われるので、この名をつけたと言われている』
とあるのは首肯できない(略)イギリス海岸と英国にある海岸とは時代も
地質も全く異なるからです。”
第三紀、第四紀という用語、当時と今との時代区分のちがい等についても記述。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
日本文学  (910 8版)
参考資料
(Reference materials)
宮城一男 著 , 宮城, 一男, 1929-. 農民の地学者・宮沢賢治. 築地書館, 1975.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001264850-00
宮沢清六 著 , 宮沢, 清六, 1904-2001. 兄のトランク. 筑摩書房, 1987.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001882371-00 , ISBN 4480812466
白藤 慈秀/著 , 白藤‖慈秀. こぼれ話宮沢賢治. トリョーコム, 1981.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I004536139-00
佐藤成 著 , 佐藤, 成, 1924-. 証言宮沢賢治先生 : イーハトーブ農学校の1580日. 農山漁村文化協会, 1992.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002192537-00 , ISBN 4540920200
小沢俊郎 編. 賢治地理. 学芸書林, 1975. (宮沢賢治研究叢書 ; 第2)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000004-I000482925-00
加藤碵一 著 , 加藤, 碵一, 1947-. 宮澤賢治の地的世界. 愛智出版, 2006.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008375492-00 , ISBN 4872564111
宮沢, 賢治, 1896-1933. 新修宮沢賢治全集 第14巻 (童話 7). 筑摩書房, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001456683-00
宮沢, 賢治, 1896-1933. 新修宮沢賢治全集 第7巻 (詩 6). 筑摩書房, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001453998-00
キーワード
(Keywords)
イギリス海岸
宮沢賢治
化石
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000154906解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
未解決
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