レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/12/20
- 登録日時
- 2014/03/30 00:30
- 更新日時
- 2014/03/30 00:30
- 管理番号
- 参調 13-0245
- 質問
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解決
江戸・明治、大正、昭和期の小作料について、どのくらいのものだったのか知りたい
- 回答
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<江戸期>
不明。
参考資料1『図録農民生活史事典』より回答。
小作料ということでである」が、江戸期は地域や領主に対する課税のような形で納めることになっていた。
内容についても、租米の物納の他(物納には米などを俵や縄で包装し、河岸や郷蔵まで数里の道のりを運び込むまですべて農民が負担しなければならなかった)、労働力の提供ということで普請役、助郷役、長期に渡る橋役なども求められるなど、農民の大きな負担となるもので一揆などの原因となった。
米などの「本途物成」は村高に一定の租率(免)を掛けて租米を計算する。村高は実際の作柄を見て算出する「検見法」の他、過去一定期間の平均を元にする場合など、その土地土地で異なるもので、田畑の場合は貨幣によるものが多く、米と貨幣を半々で納める半石半永など多岐にわたる。
こうした、現在の税にあたるものは明治8年の太政官布告により廃止されるが、当時の名称で1,553種もあった。
<明治期以降>
参考資料2『日本地主制の展開と構造』により回答。
小作料は、江戸時代の租税とは異なり、地主制度において土地を借り受けて作物を作る場合に納める使用料のようなものを指す。
江戸期は土地の売買が禁止されていたため(形骸化はしていたようだが)、明治の地租改正により土地の買い上げによる土地の集約が可能になり、明治大正期に制度として確立する。
この関係性について、地主と小作関係を資本と賃労働関係、地主資金と低賃金労働力といった視点で分析している。
<小作料>
全国調査を元にすることにし、大正10年に行われた小作慣行調査の実納小作料と、昭和11年の小作事情調査の比較表が掲載されている参考資料3『日本農地制度史論』p.124を紹介。
昭和11年で43.5%から48.1%となっている。高率に見えるが、同書によると大正期に比べて概ね減額されており、この原因としては小作争議など農民組合運動の旺盛があったとのこと。
この小作関係の全国調査については、明治18、大正元年、大正10年、昭和11年の各復刻資料を収めた『農地制度資料集成 1』(参考資料4)を紹介。
なお、個別事例として『日本地主制の展開と構造』(資料(2))に奥町農会における1917~1931年の暦年の推移が掲載されている。小作争議と絡めて収量予想(小作料設定)と実際の収穫と小作料、それぞれについての数値と減免の度合いなどがわかる。(p.50-65)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 農業経済・行政・経営 (611 7版)
- 参考資料
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- 1 図録・農民生活史事典 秋山高志∥[ほか]編 柏書房 1991.1 612.1/Z
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2 日本地主制の展開と構造 大栗/行昭?著 御茶の水書房 1997.2 611.95/NI -
3 日本農地制度史論 土屋喬雄∥著 毎日新聞社 1948 611.22/NI -
4 農地制度資料集成 第1巻 小作慣行に関する資料 農地制度資料集成編纂委員会∥編 御茶の水書房 1970 611.2/NO/1 -
1 農地改革資料集成 第13巻 農地価格及び小作料篇 農地改革資料編纂委員会∥編 農政調査会 1981.3 611.23/NO/13 -
2 農地制度資料集成 第2巻 小作争議に関する資料 農地制度資料集成編纂委員会∥編 御茶の水書房 1969 611.2/NO/2 -
3 明治大正農政経済名著集 21 農村問題と社会理想,公正なる小作料 近藤康男∥編 農山漁村文化協会 1977.8 610.8/ME/21
- キーワード
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- 小作料
- 農地制度
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000151581