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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000142844
提供館
(Library)
大阪府立中央図書館 (2120005)管理番号
(Control number)
OSPR12100105
事例作成日
(Creation date)
2012/11/9登録日時
(Registration date)
2013年12月31日 18時32分更新日時
(Last update)
2014年04月13日 20時54分
質問
(Question)
「蛍の光」「仰げば尊し」の歌詞(文語体)を現代語訳した本を探しています。古文法事項や古語説明などが添えられているものが希望です。部分訳のあるものはいくつか見ました(例えば下記の本)。歌詞全体を完訳したものを探しています。

 文部省唱歌と言われるものは歌詞が文語体ですが、これについて『日本の唱歌(上)』巻頭の「唱歌とは」のP5、3行目から、「明治時代、正式な日本語は文語体で、今の口語体は俗語と呼ばれていたから、はじめのころは『幼稚園唱歌集』といえども文語体であった。…」という説明があります。「明治時代、正式な日本語は文語体で、」ということについて、こうした状況を説明した資料も併せて知りたく思っています。
回答
(Answer)
 口語の完訳については、次の資料に掲載されています。
・『読んで楽しい日本の唱歌:1』(中村幸弘/編著 右文書院 2007.8)
「蛍の光」の第1連から第4連、「あおげば尊し」は第1連から第3連までの口語訳が掲載され、解説もされています。それぞれの歌詞の第1連の口語訳ならびに解説の一部分を紹介します。

「蛍の光1」
現代語訳:蛍が放つ光や窓の雪(の反射を灯火に代えて)、書物を読む月日を重ね重ねして(きたよ)。いつの間にか年も過ぎていくスギ ではないが、杉の戸を開ける、そのアケルではないが、(夜が)明けて、今朝は別れていくことだよ。(p.4下段より)
解説部分:・・・三行・四行の、特に「すぎのとを、あけてぞ」の部分、下の訳で、どうしてそうなるのか、分かりにくいでしょう。「い つしか年も、すぎ(の戸)」は、いつの間にか、年も過ぎゆく、と読みとれます。ですから、「すぎ」は「過ぎる」、古典語では「過ぐ」という動詞の連用形という形の「過ぎ」ということになります。でも、続く「(すぎ)の戸を、」までを見ると、そのスギは「杉(の戸を、)」と見えてきましょう。そのように、「すぎ」の部分は、「過ぎ」と「杉」との掛詞なのです。そういう、二つの意味を掛けた修辞が用いられているところなのです。・・・(p.5より)

「あおげば尊し1」
現代語訳1:仰ぎ見ると、尊い、私たちの先生のご恩は。教育の場においても、もう何年(経ったことか)。考えてみると、たいへん早  い、この年月は、いままさに、別れようとしている、さあ、さようなら。(p.14下段より)
解説部分:・・・「いと疾し」は、「早い」ということで、過ぎ去った日々を回顧していってるものと見られます。続いて、「今こそ別れ め」となるわけですが、「別れめ」は、「別れることになるだろう」とか「別れようとしている」とかいうことで、「別れよう」ではありません。「別れむ」の「む」が、上にある助詞「こそ」の影響を受けて、「め」となったものです。係助詞「こそ」があると、已然形で結ばれる、という、あの係り結びが用いられているところです。・・・(p.15-16より)

 このほか、口語訳はありませんが、解説が付されている資料があります。唱歌集に掲載された当時の状況についてふれている部分もありますので参考までに紹介します。
・『唱歌・讃美歌・軍歌の始源』(小川和佑/著 アーツアンドクラフツ 2005.10)
それぞれの唱歌の語釈や作られた当時の状況が記載されています。

・『日本童謡事典』(上笙一郎/編 東京堂出版 2005.9)
「仰げば尊し」には作られた当時の状況や歌詞の解説(p.6-7)「蛍の光」には来歴や歌詞の解説が掲載されています(p.366-377)。また「唱歌」という項目があり、歴史や意義について、「唱歌集」という項目には形態や歴史に関して記述されています(p.194-198 )。

 次に文体に関してですが、明治初期の唱歌集刊行をめぐる状況に関する資料を調査しました。文体について詳細な記述のある資料は見つかりませんでしたが、参考までに3点紹介します。
・『唱歌と国語:明治近代化の装置』(山東功/著 講談社 2008.2)
第3章が「唱歌と文典」で「『小学唱歌集』と歌詞論争」という項目があります。

・『童謡・唱歌でたどる音楽教科書のあゆみ:明治・大正・昭和初中期』(松村直行/著 和泉書院 2011.11)
『小学唱歌集』や『幼稚唱歌集』などの発行についての記述があります。

・『新日本古典文学大系 明治編11:教科書 啓蒙文集』(中野三敏/ほか編集委員 岩波書店 2006.6)
明治15年刊行の『小学唱歌集』を収録、巻末に「『小学唱歌集』とその周辺」という論文が掲載されています。

 このほか明治初期の文体について記述されている資料があります。こちらも参考までに数点紹介します。
・『近代文体発生の史的研究』(山本正秀/著 岩波書店 1982)
前期と後期に分けられ、前期は「言文一致の発生」と題して慶応2年から明治16年までの状況が記されています。そこに明治初年の小学校教科書の教科書の文体に関する記述もあります。

・『概説日本語の歴史』(佐藤武義/編著 朝倉書店 1995.10)
第12章が「近代の文体・文章」と題された文章が収録されています。

・『日本語の歴史』(山口明穂/ほか著 東京大学出版会 1997.12)
各時代別に記述され、明治時代以降に文語文・口語文にふれられている箇所があります。

・『図鑑日本語の近代史:言語文化の光と影』(紀田順一郎/著 ジャストシステム 1997.7)
第6章が「山はあおき故郷」と題され、副題が「唱歌に見る日本語表現」となっています。
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
詩歌  (911 8版)
参考資料
(Reference materials)
『読んで楽しい日本の唱歌:1』(中村幸弘/編著 右文書院 2007.8) (3-11,13-21)
『唱歌・讃美歌・軍歌の始源』(小川和佑/著 アーツアンドクラフツ 2005.10) (51-59,59-63)
『日本童謡事典』(上笙一郎/編 東京堂出版 2005.9) (6-7,366-367,194-198)
『唱歌と国語:明治近代化の装置』(山東功/著 講談社 2008.2)
『童謡・唱歌でたどる音楽教科書のあゆみ:明治・大正・昭和初中期』(松村直行/著 和泉書院 2011.11)
『新日本古典文学大系 明治編11:教科書 啓蒙文集』(中野三敏/ほか編集委員 岩波書店 2006.6)
『近代文体発生の史的研究』(山本正秀/著 岩波書店 1982) (『概説日本語の歴史』(佐藤武義/編著 朝倉書店 1995.10))
『日本語の歴史』(山口明穂/ほか著 東京大学出版会 1997.12)
『図鑑日本語の近代史』(紀田順一郎/著 ジャストシステム 1997.7)
キーワード
(Keywords)
唱歌
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
登録番号
(Registration number)
1000142844解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
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