レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/08/04
- 登録日時
- 2013/09/30 00:30
- 更新日時
- 2013/10/09 17:12
- 管理番号
- 6000005061
- 質問
-
解決
島熊山の地名の由来について知りたい。万葉集に詠まれた地名だと聞いているが、古語でなんらかの意味があるのか。
- 回答
-
『新潮日本古典集成 萬葉集 3』に島熊山の「くま」について「恐怖心をかきたてる国境の山か」との記載があるが、断定はできない。このほか地名の由来に関する一般的な資料を見ていただいた。
- 回答プロセス
-
郷土資料の書架、291(地名)の書架の書架を探す。
『とよなか歴史・文化財ガイドブック』(豊中市教育委員会)p3「島熊山万葉歌碑」には万葉集の歌「玉かつま島熊山の夕暮れにひとりか君か山路越ゆらむ」の歌を記した碑が豊中市緑丘の豊中不動尊境内にある旨の記載があるが、山名の由来についての記載はなし。
『角川日本地名大辞典 27 大阪府』(角川書店)p588「しまくまやま」には、往時は険しく鬼が棲むといわれて鬼ケ嶽とも呼ばれたとありまた上記の歌を「ひとりか君の」として新古今集の歌としているが、島熊山の名の由来には言及なし。
『大阪府全志 巻之三』(清文堂)p1181-1182に島熊山付近の丘陵全体を千里山といい、高くはないが広大であるためにこの名がついたか、との記載があるが、島熊山の由来はなし。
『新潮日本古典集成 萬葉集 3』(新潮社)p396に3193「玉かつま島熊山の夕暮れにひとりか君が山道越ゆらむ 一には『夕霧に長恋しつつ寐ねかてぬかも』といふ」とあり、熊は「隈」の意で恐怖心をかきたてる国境の山か、との記載があり。
『日本古典文学全集 萬葉集 三』(小学館)p362、『新日本古典文学大系 萬葉集 三』(岩波書店)p210にもこの歌があるが、地名の由来はなし。なお原文の表記は「嶋熊山」。
『和歌の歌枕地名大辞典』(おうふう)p872「島熊山(摂津)」には、豊中市の丘陵部をさしているかとの記載があるが、地名の由来については記載なし。
『地名の由来を知る事典』(東京堂出版)には島熊山についての論考はないが、p51に「台地をあらわす島や船」として、「古代人は平地の中の小さな台地を島といい」との記載があり。
『万葉ことば事典』(大和書房)p171「くま(隈)」には、「くま」は通り道の曲がり角など、見通しの悪いところで、曲がりくねった山路や川路に用いる、旅においては故郷が見えなくなる名残惜しさとともに異境に踏み込んでいく不安や恐怖がこみあげてくる地点、との記載があり。
『古代地名語源辞典』(東京堂出版)『日本古代地名事典』(新人物往来社)には、いずれも別の地名に関する記載ではあるが、「しま」について「古代には一般的に周囲を囲まれた(特に水、水路で)地をシマと称し、平野部では平野内の小高地などもシマと称した」(古代地名語源辞典)「島状の地形より生じた地名」(日本古代地名事典)との記載があり。また「くま」について「湾曲しているものの曲がり目、奥まったところ、暗く陰になっているところ(山かげ)などの意味」(古代地名語源辞典)「奥まって隠れた土地、奥まった谷のあるところ」(日本古代地名事典)との記載があり。
これらの資料を見ていただいた。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
-
- 島熊山(シマクマヤマ)
- 豊中(トヨナカ)
- 地名
- 由来
- 万葉集
- 歌枕
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000137648