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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000137498
提供館
(Library)
町田市立中央図書館 (2310058)管理番号
(Control number)
町田-079
事例作成日
(Creation date)
2013年9月1日登録日時
(Registration date)
2013年09月24日 15時21分更新日時
(Last update)
2016年08月20日 12時19分
質問
(Question)
『マザーグースの絵本Ⅱ アップルパイは食べないで』(ケイト・グリーナウェイ絵、岸田理生訳、新書館、1976年)は、英語のアルファベットを織り込んだ詩画集だが、AからZまでの26文字のうち「i」が抜けているのは、なぜか。
回答
(Answer)
英語圏で「i」と「j」、「u」と「v」が区別されるようになったのは、17世紀中葉のことだが、それ以降も19世紀頃までは、この習慣が残っていた。ケイト・グリーナウェイは、まさに19世紀の画家なので、英語の古い習慣に従ったことは十分考えられる。
回答プロセス
(Answering process)
■「i」が抜けている?
 問い合わせのあった本を見てみると確かに「i」が抜けているが、同書にはそのことに関する説明は一切なし。
 
 当館所蔵の原書『A Apple Pie』(Kate Greenaway, Derrydale Books, 1993)には、「i」が入っている。
 岸田理生氏が底本としたものは別バージョンと思われるので、他の版で確認。
 東京都立図書館から、『A Apple Pie』(Kate Greenaway, Frederick Warne & Co,Ltd.)を借用。
初版(1886年)の復刻版。 中を見ると、「i」が抜けている。 グリーナウェイが1886年に『A Apple Pie』を
上梓した時には、確かに「i」が抜けていたらしい。

 ちなみに、グリーナウェイ以外のこの類の本(ABC book)を見てみると、「i」が抜けているもの、「j」が抜けて
いるもの、様々である。例えば・・・

 ・『Mother Goose The Old Nursery Rhymes』(アーサー・ラッカム絵、ほるぷ出版、1992年)
 ・・・・・「i」と「u]抜け。p.47
 ・『The Oxford Dictionary of Nursery Rhymes』(Iona&Peter Opie, Oxford University Press、
 1951) ・・・・・但し、これは、「A Apple Pie」では なく、 「A was an Archer」の詩。  「j」と「v」抜け。p.49
 ・『The Nursery Companion』(Iona & Peter Opie, Oxford University Press,1980)・・・「A was an
Archer」の詩。 「i」「u」抜け。pp.10~15 、 「Nursery Novelties」の詩。「j」「v」抜け。pp.16~19


■「i」が抜けている理由
 ・前掲のWarne社版『A Apple Pie』の見返しには、「i」が抜けている理由が書かれている。
それによると、グリーナウェイが1886年にイラストを付けた「A Apple Pie」 は、「i」「j」が
区別されていない初期のバージョンであったとのこと。

   Kate Greenaway used an early version of the rhyme to illustrate A APPLE PIE which was first
published in 1886 and it will be noticed that there is no rhyme for the letter I.
The rhyme of A APPLE PIE is very ancient and reference is made to it as early as 1671 in one
of the writings of John Eachard. In these early versions the letters I and J were not differentiated.
The letter J as we know it to-day was the curved initial form of the letter I and was always used
before a vowel. --『A Apple Pie』 見返し

 ・また、同じく前掲の『The Oxford Dictionary of Nursery Rhymes』及び『The Nursery Companion』にも以下
のような説明がある。

In the earlier recordings the letters I and J,U and V, in common with other alphabets, are not
differentiated. --『The Oxford Dictionary of Nursery Rhymes』p.48

・・・there are only twenty-four letters since, for alphabetical purposes, the letters I and J, and U
and V were still not differentiated. --『The Nurserey Companion』p.123

・英語学関係の資料に当たれば、このことに関する解説が得られる。

    ・・・同一文字の二つの形である i と j を分化する試みは16世紀に始まり、17世紀の半ばには i を
    母音に、j を子音に用いる用法が一般的に確立した。
                    --『新英語学事典』(大塚高信他監修、研究社、1982年)p.53

母音 i 、子音 j の区別は、17世紀に確立したが、長い間、この2文字は同一の文字であるという感覚が
    残り、この習慣は、19世紀まで続いた。
                    --『大修館英語学事典』(松浪有他編、大修館書店、1983年)p.959
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
詩  (931)
参考資料
(Reference materials)
『マザーグースの絵本Ⅱ アップルパイは食べないで』 ケイト・グリーナウェイ絵、岸田理生訳、新書館、1976年
『A Apple Pie』 Kate Greenaway, Derrydale Books, 1933
『A Apple Pie』 Kate Greenaway, Frederick Warne & Co.Ltd., 1886
『The Oxford Dictionary of Nursery Rhymes』 Iona & Peter Opie, Oxford University Press, 1951
『The Nursery Companion』 Iona & Peter Opie, Oxford University Press, 1980
『Mother Goose The Old Nursery Rhymes』 アーサー・ラッカム絵、ほるぷ出版、1992年
『新英語学事典』 大塚高信他監修、研究社、1982年
『大修館英語学事典』 松浪有他編、大修館書店、1983年
キーワード
(Keywords)
マザーグース
ナーサリーライム
ケイト・グリーナウェイ
アルファベット
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
言葉
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000137498解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決