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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000135015
提供館
(Library)
神奈川県立図書館 (2110018)管理番号
(Control number)
相-130003
事例作成日
(Creation date)
2013年04月16日登録日時
(Registration date)
2013年08月02日 14時31分更新日時
(Last update)
2013年08月02日 14時31分
質問
(Question)
明治21年に、森鴎外『舞姫』に出て来るエリスのモデルといわれるエリーゼという女性が、鴎外を追って来日した。説得のうえ帰国させたが、その帰国に要した船賃(交通費)は、どのくらいだったのか。当時の日本・ヨーロッパ間の相場を知りたい。
回答
(Answer)
ヨーロッパ航路の明治21年前後の一般旅客運賃はわかりませんでしたが、参考となるデータとしては以下の2つの金額があります。
1.明治5年~10年代のヨーロッパからのお雇い外国人を招くときの旅費は片道650円(諸費用込)。
2.明治31年の日本郵船会社のヨーロッパ航路運賃は、マルセイユまでが1等400円、中等280円、特別下等165円、下等135円。ロンドンまでとアントワープまでは同額で1等450円、中等300円、特別下等180円、下等150円。
回答プロセス
(Answering process)
① この出来事については、『鴎外の恋舞姫エリスの真実』六草いちか著 講談社 2011年<913.6/3520>(22517304)のほか、『鴎外研究年表』苦木虎雄著 鴎出版 2006年<910.26/2430 常置>(21952734)のp.235~240、『国文学 解釈と鑑賞 第46巻8号通巻594』(1981年8月)掲載「特別寄稿 来日したエリーゼへの照明」金山重秀・成田俊隆著 に記述があるが、費用については記述なし。「特別寄稿 来日したエリーゼへの照明」には帰路の行程の記載はあり、それによるとドイツ船ジェネラルウェルダー(General Werder)で横浜から神戸・長崎を経由し香港に行き、香港から別の欧州行の船(別のドイツ船ネッカー号(Neckar)に乗り、スエズ運河を経てイタリアのジェノアで下船したとの記述がある。


② 一般的な船賃ということでは、『懐しの時刻表』中央社 1972年<686.5/4 常置>(11640653)に『汽車汽船旅行案内(明治31年8月第47号 庚寅新誌社版)』があった。
p.92「日本郵船会社定期船発着日時及賃金一覧表」の記述によると、航路は横浜-神戸-門司-香港-新嘉坡(シンガポール)-坡南-古倫母(スリランカ・コロンボ)-蘇士(エジプト・スエズ)-ポートセッド(エジプト・ポートサイド)-馬耳塞(フランス・マルセイユ)-倫敦(イギリス・ロンドン)-アントワープ(オランダ・アントウェルペン)。
運賃は、日本(横浜、神戸、門司からの船賃は同額)から馬耳塞(マルセイユ)までが上等400円、中等280円、特別下等165円、下等135円。倫敦とアントワープまでは同額で上等450円、中等300円、特別下等180円、下等150円。
ただし、明治21年には国内にヨーロッパ航路をもつ船会社はなく、年代以外にも条件に違いがあると言える。

③ 別のアプローチとして、渡航費用ならば、当時のヨーロッパ留学旅費が目安になるのではと調査するも、旅費だけを示した数字は発見できず。

④ 同じく日本・ヨーロッパ間を移動した、いわゆるお雇い外国人の旅費を調べてみた。

『お雇い外国人 1 概説』梅渓昇著 鹿島研究所出版会 1968年 のp.117~119には『法規分類大全』第一編、外交部門四、「外人雇使」から費用について引用されている。これによると、単身での英独からの来航費・帰航費が記載され、その旅費はどちらも650円とあった。だが、引用元の通達は明治5年8月20日文部省達第20号であり、時代が16年違う。
日本郵船のヨーロッパ航路は開通しておらず(『日本郵船百年史資料』日本郵船株式会社編 日本経営史研究所編 日本郵船 1988年 p.705「1.主要航路の沿革 1創業から戦前の航路一覧による)、外国船での旅費だと思われるが、「欧州エ一往旅費の例」では新約克(ニューヨーク)経由での航路が示されており横浜-ニューヨーク間旅費450円、ニューヨーク船待ち4日20円(1日5円)、ニューヨーク-英リブルプール(リバプール)間船賃賄料共80円、リバプール-ロンドン間1日5円、鉄道1日分食料3円、ロンドン-ベルリン間海陸旅費57円、ニューヨークより道中諸雑費35円、合650円となっている。
この金額は明治5年の通達なので時代が違ううえ、またこの例ではニューヨークを経由する行程となっているので、香港-スエズ運河経由のものとは条件が違う。

※『法規分類大全』第一編、外交部門四、「外人雇使」は、国立国会図書館デジタル化資料でも見ることができる。  http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994197  p.649~657(コマ番号339~343) 旅費の記載はp.655~657(コマ番号342~343)

また、『資料御雇外国人』ユネスコ東アジア文化研究センタ-編 小学館 1975年<210.61/64>(10394633)第三章 三、各省資料 7文部省(p.99)によると、『傭外国教員録』明治14~20年にお雇い外国人教師の国名、姓名、職業(受持学科)、月給、旅費、雇期間、居所を記してあるとある。

国立国会図書館デジタル化資料では、『傭外国教員録. 明治13年7,8月調』を見ることができる(  http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780315  )ので確認すると、例えば、ドイツ人David Braunsの旅費は、ドイツより来航(明治12年)、帰国(明治14年)ともに650円とある。(p.2 コマ番号4)
その他にp.3~4には東京大学医学部に来た教員が記載されているが、いずれも650円となっている(明治11年~16年)

前掲の文部省通達そのままの金額であるが、年度も近いので目安にはなると思われる。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
海運  (683 9版)
日本史  (210 9版)
参考資料
(Reference materials)
キーワード
(Keywords)
旅費
船賃
明治
ヨーロッパ航路
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000135015解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
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