レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/5/24
- 登録日時
- 2013/05/21 12:23
- 更新日時
- 2013/05/24 15:24
- 管理番号
- 2013.06-02
- 質問
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解決
源氏物語にも出てくる、雅楽「青海波(せいがいは)」に歌詞があるらしいが、どういうものか。
- 回答
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『世界大百科事典 15』(平凡社 2009年 p244)
「青海波」の項目を確認すると、「輪台」を序「青海波」を破として続けて舞う。「輪台」の詠は小野篁(おののたかむら・平安時代の漢詩人、歌人。野宰相、野相公などと称される)が作ったという説もある、と記載があるが、
『楽家録』(正宗 敦夫/編纂校訂 現代思潮社 1977年 p1175~1178)「輪臺(台)」の項目の「野田説」「辻節」の2つの詠(作者は記載されていない)と、
『故実叢書 36巻 輿車図』(故実叢書編集部/編 明治図書出版 1993年 p34)収録されている『舞楽図説』の「輪臺(台)」の項目に紹介されている小野篁の詠とされる歌詞とは異なる。
『故実叢書 36巻 改訂増補 輿車図』p34~36には「輪台」の詠とともに、小野篁が作ったとされる「青海波」の詠が紹介されている。こちらの資料は旧仮名文字で書かれた資料のため、詳細は読み下す必要があります。
「輪台・青海波」を1組の雅楽と捉えた場合を考えて、4つの詠を紹介しました。
- 回答プロセス
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『雅楽事典』(音楽之友社 1989年)「青海波」の詠は小野篁が作ったと記載がある。そのほか唱歌等が舞の間に入るが、現行では省略されて奏舞されることが多い、とある。
『古事類苑 [35] 楽舞部 1』(吉川弘文館 1979年)歌詞についての記述はないが、様々な古典籍における記述の抜粋がある。そのひとつに鎌倉期に成立した『教訓抄』が挙げられている。
『日本思想大系 古代中世芸術論』(岩波書店 1973年)『教訓抄』の収録あり。曲名「輪台」の項目に「青海波」について記述がある。詠・声歌についての記述があるが、現在発声の方法が伝わっていないことが註釈にある。野田説・辻説の2つの歌詞が記されている。
・野田説 「千里万里礼拝 奉勅安置鴻臚 / 燕山裏食喰 莫賀塩声平廻
桂阿殿迎初歳 来々巳来々巳 / 折阿花樹梅下 来々巳来々巳
・辻説 「千里万里礼拝 奉勅安置鴻 / 燕山裏食散 莫嘉塩声平廻
桂阿殿桂乗殿来々 / 相火盧美々 長果年」
『覆刻日本古典全集 [音楽 1‐8] 楽家録 4』(正宗 敦夫/編纂校訂 現代思潮社 1977年 p1175~1178)「輪台」の項目、および『続羣書類従 第19輯 上 管絃部』([塙 保己一/編] 続群書類従完成会 1931年 p225「教訓抄3」)「輪台」(「青海波」の説明もここに入っている)の項目にも、同じ二つの説が収録あり。
『故実叢書 36巻 輿車図』(故実叢書編集部/編 明治図書出版 1993年 p34~36)収録されている『舞楽図説』の「青海波」の項目に、「輪台」の詠とともに野相公(小野篁の別称)の作と伝わる歌詞が書かれている。
・「輪台」 「燕子山裏食喰 莫賀鹽聲平囘 共酌蒲桃美酒 相抱聚蹈輪臺」
・「青海波」 「桂殿迎初歳 相棲媚早年 折花梅樹下 蝶燕畫梁邊」 ※「此五言も野相公の作と伝い傳へたれど此舞にはさらに縁なき語句なり」と指摘がある。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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『雅楽事典』 音楽之友社, 1989.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001987564-00 , ISBN 4276000807 - 『世界大百科事典 15 2009年改定新版 スク-セミ』 平凡社 東京 2009.6
- 『古事類苑 [35] 楽舞部 1』 吉川弘文館 1979.8
- 『続羣書類従 第19輯 上 管絃部 』塙 保己一/編 続群書類従完成会 西巣鴨町(東京府) 1931
- 『日本思想大系 23 古代中世芸術論 岩波書店』 1973
- 『故実叢書 36巻 改訂増補 輿車図』 故実叢書編集部/編 明治図書出版 1993
- 『覆刻日本古典全集 [音楽 1‐8] 楽家録 4』 正宗 敦夫/編纂校訂 現代思潮社 東京 1977
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『雅楽事典』 音楽之友社, 1989.
- キーワード
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- 雅楽
- 青海波
- 輪台
- 舞楽
- 歌詞
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000131501