レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年09月11日
- 登録日時
- 2012/11/29 15:52
- 更新日時
- 2013/03/13 11:23
- 管理番号
- 埼久-2012-112
- 質問
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解決
寒暖計はいつ頃日本に入ってきたのか知りたい。
日本で初めて製作したのは平賀源内のようだが、ケンペルが持ち込んだという話がある。
- 回答
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ケンペルの「江戸参府旅行日記」によれば、元禄5(1692)年3月19日にケンぺルの同国人が30年前に持ってきた寒暖計を見たという記述から、「ケンペルが持ち込んだ」のではないと思われる。
事物起源事典等では明和2(1765)年にウイレムウインケがもたらしたと紹介されている。
- 回答プロセス
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『江戸参府旅行日記』(ケンペル著 平凡社 1977)
p270 下段「第一四章 第2回の江戸参府旅行 元禄5年3月19日」の項に「・・・われわれは一個の寒暖計を見せられた。これはわれわれの同国人が三十年ばかり前に持ってきたもので、われわれは、周囲に立ち輪を作ってそれを見つめている人たちに、日と月をさす針と[温度の]目盛を説明しなければならなかった。」とあり。
『ケンプェル江戸参府紀行 下』(雄松書店 1966)
P32 「第一 江戸参府紀行の続き 一 第二回江戸参府紀行3月19日」の項にも上記同様の記述あり。
『温度をはかる』(板倉政宣著 仮説社 2002)
p120 平賀源内が、1768年に『日本創製寒熱昇降記』という説明書を書き、試作した温度計とともに仲間に配布した旨の記載あり。
p4 口絵写真カラーページ「日本で最初の実用的温度計 蚕当計(さんとうけい)」
『舶来事物起原事典』(富田仁著 名著普及会 1987)
p73 「寒暖計」の項に以下の記載あり。
「日本に寒暖計が伝わったのは江戸中期のことで、オランダ人によるものである。10代将軍徳川家治の治世下、田沼意次は、・・・(中略)・・・オランダ船が来航するたびに珍しい品物を取り寄せ、その中には晴雨計とともに寒暖計も入っていたという。」
『事物起源辞典 衣食住編』(朝倉治彦[ほか]共編 東京堂出版 1976)
p95-96 「寒暖計」の項にF.ウイレムウインケ、平賀源内に関する記述あり。
「江戸に寒暖計が初めてもたらされたのは明和2年(1765)のことで、・・・(中略)・・・この年江戸へ参向した甲比丹F.ウイレムウインケは、・・・(中略)・・・科学器具を携えて出府した。甲比丹の江戸滞在中、定宿長崎屋を訪れた平賀源内は、大通辞吉雄幸左衛門から、珍しいものがあるといって二つの器具を見せられた。一つはタルモメートルThermometerという寒暖験器、・・・(後略)」
『図説明治事物起源事典 』(湯本豪一著 柏書房 1996)
p154-155 「寒暖計」の項に簡単な説明あり。
「寒暖計が日本にもたらされたのは明和2(1765)年のことといわれる。この年、江戸参府中のオランダ商館長F.ウイレムウインケの宿舎、長崎屋を訪問した平賀源内は、大通辞吉雄幸左衛門から寒暖計を見せられ、帰宅後にその製作にとりかかり三年後に完成させている。」
- 事前調査事項
- NDC
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- 精密機器.光学機器 (535 9版)
- 参考資料
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- 『江戸参府旅行日記』(ケンペル著 平凡社 1977)
- 『温度をはかる』(板倉政宣著 仮説社 2002) , ISBN 4-7735-0165-0
- 『舶来事物起原事典』(富田仁著 名著普及会 1987) , ISBN 4-89551-312-2
- 『事物起源辞典 衣食住編』(朝倉治彦[ほか]共編 東京堂出版 1976)
- 『図説明治事物起源事典 』(湯本豪一著 柏書房 1996) , ISBN 4-7601-1380-0
- 『ケンプェル江戸参府紀行 下 異国叢書 〔9〕』(雄松書店 1966)
- キーワード
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- 寒暖計
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000115119