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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000112345
提供館
(Library)
福井県立図書館 (2110037)管理番号
(Control number)
福井県図-20120927
事例作成日
(Creation date)
2012年09月27日登録日時
(Registration date)
2012年10月10日 15時23分更新日時
(Last update)
2013年10月19日 14時39分
質問
(Question)
「読書の秋」とよく言われるが、その由来について知りたい。
回答
(Answer)
中国の唐時代の詩人 韓愈の漢詩に「燈火稍く親しむ可く」という一節があり、ここから秋が読書にふさわしい季節として、「秋燈」や「燈火親しむ」といった表現が使われるようになった。これが「読書の秋」の由来のひとつと思われる。

なお、読書週間が秋に実施されるため、「読書の秋」が定着したのではないかという点について調査した。

読書週間(その前身の図書館週間)が始まる前に、「読書の秋」というフレーズの使用例はあった。
1918(大正7)年9月21日 読売新聞朝刊5面 
 見出し「読書の秋 図書館通ひの人々 読書と世間」
 本文「昼は水の様に澄みきつた日影の窓に夜は静かにして長い燈の下に読書子が飽く事もなく書に親しみ耽るシーズンが来た(後略)」

【読書週間について】
1.読書週間は、1924(大正13)年11月に始まった「図書館週間」がその前身。図書館週間は、大正13(1923)年7月25日東京朝日新聞朝刊5pの記述によると、日本図書館協会が、1923年5月の総会の決議に基づき、図書館週間を11月1日から7日としたのが始まり。
-------------朝日新聞からの引用-----------
「図書館が標語募集」
「日本図書館協会では、去る五月総会の決議に基き、発展と宣伝の為め標語の募集と図書館日(デー)とを実行する事となった(中略)図書館週間は十一月一日から七月迄とし、講演会展覧会特殊の目録で良書の紹介、図書館文庫の特別縦覧其他種々興味ある催しを公共団体と連絡をとつて開く筈」
---------------引用終わり-------------
図書館週間は、昭和14年から「読書普及運動」と改称し、11月8日~12日の5日間になり、昭和16年に中止された。
(参考:樋口龍太郎/稿「日本図書館協会五十年史」(『日本図書館協会百年史・資料』第四輯 1989.2 日本図書館協会)

2.戦後の読書週間は、昭和22年、日本出版協会を中核とし、日本図書館協会、自由出版協会、日本出版配給株式会社、日本出版物小売業組合全国連合会などの団体が参加して「読書週間実行委員会」が結成されて発足した。期間は、アメリカのChildren’s Book Weekにならい、11月17日から23日と定められた。この行事が盛況だったため、翌年から文化の日を中心とする前後二週間に期間が変わった。
(参考:『読書推進運動協議会の二十年』1980.2 読書推進運動協議会(請求記号:015/D2/2 資料コード:1010076311))
回答プロセス
(Answering process)
1. 自館OPACで「読書の秋」で検索。
  → 雑誌をふくめ数件ヒット。関連記述なし。
2. 以下の関連ありそうなNDCの書架をざっとブラウジング。
:019 読書法、020 図書、031 事物起源等、451 気象(四季)、814 慣用句・新語等。
→ 『四季ことわざ辞典』『季節の366日話題事典』などの資料があったが、関連する
  記述はない。
3. 季節の言葉ということで、歳時記をあたる。
→ 『大歳時記』第2巻 集英社 (1989) に、以下のような記述がある。
  :「秋の燈」の項(p80~81 島田修二)に次の記述がある。
「…(略)…「読書の秋」などいいならわされるように、ものを考えるにふさわしい季節の灯火である。中唐の韓愈の「符、書を城南に読む」に「…(略)…燈火稍く親しむ可く…(略)…」とあるのが、「燈火親しむべき候」として定着した」とあり、韓愈の漢詩からのこの語句の引用が、江戸時代の俳人あたりから使われはじめ、「…(略)…「秋燈」が文字どおり親しまれるようになったのは、明治以後、ガス灯から電灯になって、それこそ「燈下」を存分に用いるようになってからのことかもしれない」とある。
4. 辞典類をあたる。
→ 『日本国語大辞典』『広辞苑』『逆引き広辞苑』『日本大百科全書』『世界大百科事典』
  等をあたるが、関連記述なし。
5. レファレンス協同データベース、Googleで検索。
→ 香川県立図書館のレファレンス事例「「読書の秋」、「食欲の秋」、「スポーツの秋」という言葉の語源は何か?」(管理番号6498) http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000030282 に、「国語辞典、ことわざ、慣用句、あいさつ、手紙文、気象の雑著などを調査したが、 通常の言葉として出てきても語源などは記されていなかった。(インターネット検索でも同様)」とあり、また 少し関係がありそうなものとして、次の資料の記述の紹介があった。
・角川俳句大歳時記 秋 角川学芸出版/編 角川学芸出版 2006.7 p.226 「灯火
親しむ」の項に「秋は涼しく夜も長くなり、読書勉学に適した頃である」とある。
→ Googleの検索では、多くのサイトで、前述の韓愈の漢詩を由来としてあげている。

【回答後追加調査:読書週間と「読書の秋」の関連について】

1.Googleで「読書週間」を調べる
→現在の読書週間主催団体は「社団法人読書推進運動協議会」
同協会のサイトに、「読書週間の歴史」のページがありここから、大正13年に日本図書館協会が開始したことなどがわかる。
(2013年10月19日現在、同ページはヒットせず、「事業紹介」 http://www.dokusyo.or.jp/jigyo/jigyo.htm の中に読書週間について書かれている。
大正時代に始まった旨に記述は同ページにはないが、「読書週間十年の回想 布川角左衛門」へのリンクがある。)

2.『読書推進運動協議会の二十年』1980.2 読書推進運動協議会(請求記号:015/D2/2 資料コード:1010076311)p.175-
「一 前史-読書週間十年の回想 布川角左衛門」の中のp.176に、日本図書館協会が大正に始めた読書週間についての記述があるが、なぜ秋になったのか、については書かれていない。
戦後昭和22年から始まった読書週間については、以下の2箇所に記述有。
p.179上段「期間は、アメリカのChildren’s Book Weekが十一月十六日から一週間であるのにならい、十一月十七日から二十三日と定められた」
p.179下段「次で翌年、第二回の実施に当って、まず打出されたのは、期間を「文化の日」、すなわち十一月三日を中心とし、その前後に週間に改めることであった。」

3.「日本図書館協会五十年史」樋口龍太郎/稿(『日本図書館協会百年史・資料 第四輯』1989.2 日本図書館協会 請求記号:010.6/ニ 資料コード:1011512884)
p.66下段
(大正12)六月中旬、商大図書館に、基金委員会、標語募集並びに図書館デー委員会を兼ねて開催。太田、植松正副会長、市島氏外五評議員参席。前記事項につき、即ち図書館の効用、読書奨励につき、簡明な標語、図書館週間(十一月一日至七日)挙行、(中略)することに議決を見た。
との記述あり。大正12年の評議会議事録等をみると、なぜこの時期になったのかがわかるかもしれない。
なお、大正12年11月1日から6日まで実施されたのは「図書館週間」。
p.72からの記述により、大正13年の図書館週間から「東京に限り読書週間」と呼称することになったとわかる。

4.CiNii Articlesで「読書週間」を検索→「図書館雑誌」No.429 1959.10 の特集が「読書週間への反省」→記事を読むが、読書週間がなぜ秋なのかについてはふれられていない。

5.「聞蔵Ⅱビジュアル」朝日新聞縮刷版 1879~1926で「図書館週間」を検索
→1923年7月25日東京朝刊5p「図書館が標語募集」という記事有
「日本図書館協会では、去る五月総会の決議に基き、発展と宣伝の為め標語の募集と図書館日(デー)とを実行する事となった(中略)図書館週間は十一月一日から七月迄とし、講演会展覧会特殊の目録で良書の紹介、図書館文庫の特別縦覧其他種々興味ある催しを公共団体と連絡をとつて開く筈」

6.「聞蔵Ⅱビジュアル」朝日新聞縮刷版 1879~1926で「読書週間」を検索
→8件ヒット。
第一回読書週間の前の記事は3件。1924(大正13)年10月22日東京朝日新聞朝刊7ページに2件、同年10月26日東京朝日新聞朝刊7ページに1件。どの記事にも、なぜこの時期に読書週間が実施されるのか、についての記述はない。

7.CD-ROM版 大正の読売新聞、明治の読売新聞 で検索。
(ア)「読書の秋」を検索
・明治は0件。
・大正は1件。1918(大正7)年9月21日 朝刊5面 
見出し「読書の秋 図書館通ひの人々 読書と世間」
本文「昼は水の様に澄みきつた日影の窓に夜は静かにして長い燈の下に読書子が飽く事もなく書に親しみ耽るシーズンが来た(後略)」

(イ)「読書 秋」で検索
・明治は1件。1911(明治44)年9月19日 読売新聞朝刊5面
見出し「最近読書界の傾向」
本文「毎年秋季に入って出版界は頗に活気を呈し、真面目な読書家の増加する内にも、近来著しく愛書家の態度が一変し向上せるは(後略)」

・大正は12件。
(1)1913(大正2)年9月21日読売新聞朝刊9面
見出し「読書と修養と秋季」東京文科大学講師 日下寛
本文「今や秋の時候に際して、最も読書の好時季である。譬へて云へば、春は人生の肉体的の時で、秋は精神的の時季である。春夏は活動す可し、秋冬は思ひを潜め、想を練り、読書に親しんで修養す可き時である」
(2)1918(大正7)年9月9日読売新聞朝刊5面
見出し「静かな秋の夜も来て」
本文「静かな秋の夜が来た、所謂読書家の収穫どきとなった」
(3)1925(大正14)年5月22日 読売新聞朝刊4面
見出し「読書界出版界 秋と冬に定つたロンドンの出版シーズンもことし見事な記録破り」
本文「昔は「晴耕雨読」などと東洋でも云った。英国あたりも矢張り読書は天気の悪い日だけの仕事のやうに考へられたもので従つてロンドンの出版シーズンといふものも最近までは秋と冬の二季にきまつていたのである。」
(4)1926(大正16)年10月16日 読売新聞朝刊4面(広告)
見出し「﨟老けたり・秋!読書人よ燈下この良誌に親しめ」
本文「﨟老けたり・秋!読書人が今親しむべき燈下の何とこころ好いことであらう」

8.トライアル中の「聞蔵Ⅱビジュアル」朝日新聞縮刷版1879~1926 で「読書の秋」を検索→
(ア)1879~1926年:明治・大正=0件。
(イ)1926~1945年:昭和(戦前)=35件ヒット。
・うち21件は広告1933年9月27日の10ページに9社分、1933年10月21日10ページに12社が本の広告を載せたもの。
・1935年10月30日~11月12日までの連載「読書の秋 燃ゆる心 女博士に聴く「その頃の私」」連載第一回の1935年10月29日東京朝刊5p 記事の冒頭に「燈火親しむべきの秋-女で学位を授与された人々を訪れてみる」という一文あり。

明治・大正期には「読書の秋」というフレーズは新聞には多く登場しておらず、使われる場合には、「燈下親しむ」という言葉とセットで使われる例があった。

【国立国会図書館に調査依頼・戦前の最初の図書館週間を、11月にした理由が当時の「図書館雑誌」評議員議事録などに掲載されていないかどうか】

大正12年の『図書館雑誌』の「本会記事」を中心に調査しましたが、図書館週間の日程を11月1日から7日までに定めた理由の記述は見当たりませんでした。『図書館雑誌』からの引用にあたっては、旧字体を新字体に直してあります。
【 】内は国立国会図書館請求記号。データベースへの最終アクセス日は2012.10.18
・図書館雑誌 -- 複製版. 日本図書館協会 [編]. 学術文献普及会, 1969-1984. 【Z79-B404】
○52号(大12.3)
*p.49「評議員会並新年宴会」(1月16日)に、「本年は協会創立満三十年に相当するを以て[略]日本全国図書館デーの設定をなし事業の発展を期せんことを議決せり」とあります。
*p.50「評議員会」(2月6日)に、「本会創立三十年記念会挙行の件に就き[略]更に逐条協議の結果」決議した項目の一つに「一、来年より図書館デーを定めて実行する件」があります。

○53号(大12.7)
*p.29「臨時総会」(5月18日)に、「図書館日を定め全国一斉に挙行することは橘井氏説明の労を執り衆皆其趣旨は賛成なるも其何日を選ぶべきかに就いて異論ありしも結局協会幹部の審議に一任することに決定。」とあります。
*p.39「評議員会」(6月2日)に、「図書館デーの件に関して各員意見を交換し」とあります。

○54号(大12.12)
*p.24「委員会」(6月16日)に、「基金委員会及標語募集並に図書館デー委員会を兼ね[略]数件に就き協議」とあり、「二、図書館デーの件  名称を図書館週間(Library week)とし毎年十一月一日より一週間  此期間内各館に於て講演、展覧会、目録を作り「良書を紹介」する等思ひ々に催す事」とあります。
*p.25「評議員会」(9月24日)、「評議員会」(10月10日)にも図書館週間についての記述があります。

●その他の主な調査済み資料
・図書館記念日と図書館週間 石井 敦 図書館雑誌., 71(5) 1977.5. pp.204-205 【Z21-1】
・近代日本公共図書館年表 : 1867~2005 奥泉和久 編著. 日本図書館協会, 2009.9. 【UL2-J7】
・近代日本図書館の歩み. 本篇 日本図書館協会 編. 日本図書館協会, 1993.12. 【UL55-E18】
・春城漫筆 市島謙吉 著. 早稲田大学出版部, 昭和4. 【595-164】*pp.311-316 讀書の鼓吹(ラヂオ放送)
・図書館学関係文献目録集成. 明治・大正・昭和前期編 第1巻 天野敬太郎 編纂. 金沢文圃閣, 2000.11. 文圃文献類従 ; 2-1【UL1-G7】
・国立国会図書館 リサーチナビ 目次データベース( http://rnavi.ndl.go.jp/mokuji/
・国立国会図書館デジタル化資料( http://dl.ndl.go.jp/search/detail
・皓星社 雑誌記事索引集成データベース(国立国会図書館契約データベース)
・Japan Knowledge+(国立国会図書館契約データベース)
・ヨミダス歴史館(国立国会図書館契約データベース)
・聞蔵IIビジュアル(国立国会図書館契約データベース)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
詩歌  (911 8版)
気象学  (451 8版)
語彙  (814 8版)
参考資料
(Reference materials)
樋口龍太郎/稿「日本図書館協会五十年史」(『日本図書館協会百年史・資料』第四輯 1989.2 日本図書館協会
『読書推進運動協議会の二十年』1980.2 読書推進運動協議会 ((請求記号:015/D2/2 資料コード:1010076311))
CD-ROM版 大正の読売新聞
CD-ROM版 明治の読売新聞
聞蔵Ⅱビジュアル(トライアル版)
キーワード
(Keywords)
読書の秋
韓愈
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
香川県立図書館
備考
(Notes)
関連事例 香川県立図書館 「「読書の秋」、「食欲の秋」、「スポーツの秋」という言葉の語源は何か?」
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000030282

※読書週間がなぜ秋になったのかなど、「読書の秋」についての情報をお持ちの方は、福井県立図書館までお知らせください。
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
言葉
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000112345解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
未解決
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