レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/08/16
- 登録日時
- 2012/08/19 02:00
- 更新日時
- 2012/09/03 14:56
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-54
- 質問
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解決
松ヶ崎の送り火である“妙”“法”の字の順番が,左から右へ読む今風の並びになっているのは何故か知りたい。
- 回答
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麓にある湧泉寺(ゆうせんじ)の寺伝や松ヶ崎の昔話では,次のように「妙法」の由来が伝えられています。
鎌倉時代末の1307年(徳治2)に,法華宗の僧日像の教化によって,元は天台宗を信仰していた松ヶ崎の村人全員が改宗しました。その際,日像が松ヶ崎の西山に南面して自ら杖を引いて妙の字を書き,その後を村人が木を切って燃やしたのが,「妙」の送り火の始まりだと言われています。
「法」の字はそれからずっと後の1700年代に,妙泉寺末寺の下鴨大妙寺の二祖日良が松ヶ崎の東山に南面して書いたのが始まりだと言われています。(【資料1】~【資料7】【資料10】~【資料15】)
先に西山に「妙」の字があったために,「法」の字は東の方へ入れるしかなかったのではないか,と推察されています。(【資料4】)
また逆に,左書きであることが,「妙法」の二字が同時にできたものではなく,「妙」の字が先にできた証になるとする説もあります。(【資料1】【資料2】【資料8】【資料9】【資料14】【資料15】)
- 回答プロセス
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●送り火に関する資料より 【資料1】~【資料3】【資料10】【資料15】
●松ヶ崎に関する資料より 【資料4】~【資料9】【資料11】【資料12】
●法華宗に関する資料より 【資料13】
●京都の歴史に関する資料より 【資料14】
- 事前調査事項
- NDC
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- 年中行事.祭礼 (386 8版)
- 日本 (291 8版)
- 参考資料
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- 【資料1】『京の大文字ものがたり』(岩田 英彬/著 松籟社 1990年) p86~90 “松ヶ崎妙法送り火”
- 【資料2】『大文字五山送り火 京の伝統行事』(京都市文化観光局文化財保護課 1976年) p6,7 “歴史のあらまし”
- 【資料3】『大文字 京の送火』(田中 緑紅/著 京を語る会 1957年) p28,29 “妙法 松ヶ崎”
- 【資料4】『松ヶ崎』(松ヶ崎を記録する会/編集 松ヶ崎立正会 2000年) p111~114 “妙法送り火・かど火”
- 【資料5】『松ヶ崎百年史』(松ヶ崎小学校創立百周年記念誌編さん委員会/編 松ヶ崎小学校創立百周年記念会 1973年) p189 “妙法送り火”
- 【資料6】『松ヶ崎のはなしとことば』(斎藤 喜久雄/著 斎藤喜久雄 1997年) p14,15 “松ヶ崎のはなし”
- 【資料7】『子どものための松ヶ崎風土記』(松ヶ崎小学校育友会風土記特別委員会/編 松ヶ崎小学校育友会 1983年) p25 “妙法のおこり”
- 【資料8】『地名で読む京の町 下』(森谷 尅久/著 PHP研究所 2003年) p166~168 “松ヶ崎―送り火「妙法」の並び方の謎”
- 【資料9】『京都を楽しむ地名・歴史事典』(森谷 尅久/著 PHP研究所 2011年) p253,254 “松ヶ崎を歩く” (【資料8】と同内容)
- 【資料10】『送り火 孫達にするちょっと昔の京の話』(斎藤 喜久雄/作 斎藤喜久雄 1991年) p169
- 【資料11】『口演童話台本『岩倉・松ヶ崎の昔ばなし』』(山崎 貞子/編 全国童話人協会 全国公立小学校児童文化研究会 2010年) p12 “歴史のある 岩倉・松ヶ崎”
- 【資料12】『昭和京都名所図会 3』(竹村 俊則/著 駸々堂出版 1982年) p264,265 “妙法送り火”
- 【資料13】『法華文化の展開』(藤井 学/著 法蔵館 2002年) p262 “「妙法」の送り火と題目踊り”
- 【資料14】『京都の歴史 3 近世の胎動』(京都市/[編] 京都市史編さん所 1979年) p622 “万灯籠山の送火”
- 【資料15】『大文字 五山の送り火』(駒 敏郎/著 駸々堂出版 1976年) p24~32 “大文字の歴史”,62~64 “〈妙法〉”
- キーワード
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- 送り火
- 松ヶ崎
- 妙法
- 法華宗
- 日蓮宗
- 日像
- 日良
- 湧泉寺
- 妙法山
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000110199