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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000106762
提供館
(Library)
山梨県立図書館 (2110005)管理番号
(Control number)
9000007921
事例作成日
(Creation date)
2012年02月01日登録日時
(Registration date)
2012年06月02日 17時38分更新日時
(Last update)
2012年06月02日 17時40分
質問
(Question)
「宵の間や 都の空に住みもせで 心づくしの有明の月」という和歌の意味を知りたい。
回答
(Answer)
この歌は、菅原道真の歌として伝えられているが、現代語訳や解釈について記述のある注釈書などは見つからなかった。滝沢馬琴著の読本「頼豪阿闍梨恠鼠伝」(らいごうあじゃりかいそでん)には、菅原道真の歌集には「宵の間は 都のそらにすみぬらむ 心つくしの有明の月」とあり、これならば歌意が明かである旨が書かれている。また、江戸後期の桂川中良による随筆「桂林漫録」にも、この歌は広く人々の口にする歌であるが意味がよく分からなかったのだが、菅原道真の歌集に「宵の間や 都の空にすみぬらん 心つくしの有明のつき」とあり、これならば歌意も調子があう旨が書かれている。詳細及び引用文献については照会資料をご覧ください。
回答プロセス
(Answering process)
1.和歌・名歌事典を調査するが、次のものには該当の歌の掲載なし。
・『通解名歌辞典』(武田祐吉著 創拓社 1990年)[資料番号0101439503]
・『新編和歌の解釈と鑑賞事典』(井上宗雄編 笠間書院 1999年)[資料番号0103769063]
・『三省堂名歌名句辞典』(佐佐木幸綱編 三省堂 2004年)[資料番号0104967567]
・『日本名歌集成』(秋山虔ほか編 学灯社 1988年[資料番号0101054849]

2.索引により和歌の出典を確認。
・『典拠検索新名歌辞典』(中村薫編 明治書院 2007年)[資料番号0105222913]→p672に「宵の間や都の空に澄みもせで 心づくしの有明の月」伝菅原道真として掲載あり。出典・引用例あり。
・『日本古典文学大系』別巻 日本古典文学大系索引(岩波書店 1976年)には該当の歌の掲載なし。
・国際日本文化研究センター「和歌データベース」( http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion/dbase/waka.html ※2012.2.1確認)は未ヒット。

3.2の『典拠検索新名歌辞典』により判明した出典・引用について、『国書総目録』(岩波書店 1989年)により活字本を調査し、自館システムにより所蔵を確認。次の通り内容を確認した。

・「頼豪阿闍梨恠鼠伝」巻4・8套(※『近代日本文学大系』第15巻 曲亭馬琴集(国民図書 1927年)p480-481)→管公の歌に「宵の間や都のそらにすみもせで心つくしのありあけの月」があるが、筑紫よりも都は東にあたるのに、宵の月が東から出ないということがあるだろうか。管家の御集には「宵の間は都のそらにすみぬらむ心つくしの有明の月」とある。これでこそ歌の意は、有明の月とともにあきらかである。管公は、罪がないのに太宰府に左遷され、その筑紫の地は西の涯である。そのため、西国にさすらう憂鬱を、暁(あけ)の月が西に沈むのにたとえた。そうであれば、この有明の月も、宵には東の方角である都の空にこそ住んでいるであろう。私も長年都に住んで宮中に奉仕した身が今は西国の果てに遷り来てしまったと、人間の一期盛衰を、一夜の月の出没にたとえた述懐の歌である(注:現代語意訳は当館による)。

・「燕石雑志」巻2・1→活字本は所蔵なし。

・「桂林漫録」巻上(※『日本随筆大成』第1期 2(日本随筆大成編輯部編 吉川弘文館 1993年)p300)→「管公御歌」の項に「筑紫にての御歌に。/宵の間や 都の空にすみもせで心つくしのありあけの月/と云御歌は。あまねく人の口にする所なり。中良日ごろ此神歌の。解可く解可らざるを疑ひしが。近頃管家御集を閲して。初て真面目を見ることを得。意詞と共に下る。/宵の間や都の空にすみぬらん心つくしの有明のつき/斯くあればこそ意も調ひたれ。」

・「三七全伝南柯夢」巻2(※『近代日本文学大系』第15巻 曲亭馬琴集(国民図書 1927年)p631-654)→確認したが、該当の歌は見当たらなかった。

・「理斎随筆」巻3ノ12(※『日本随筆大成』第3期1(日本随筆大成編輯部編 吉川弘文館 1995年)p293-294)→「桂林漫録に、管神の御歌に/宵の間や都の空にすみもせで心づくしのありあけの月/近此(ちかごろ)管家御集を閲(けみ)して、はじめて真面目(しんめんぼく)を見る事を得たり。意詞(こころことば)も共に下る。/宵の間は都の空にすみぬらん心づくしのあり明の月/かくありてこそ、意も言葉も調(ととの)ひたれと見えたり。実にもとおもふ事なり。」

・「西遊雑記」巻7(※『日本庶民生活史料集成』第2巻(三一書房 1969年)p390)→管家がさすらっていた最初は、今で言う「えのきし」という所の茅屋の中に移して、誰一人訪れる人もなく、たいへん汚らしい住まいで、2月末に流されて1年も茅屋に中にいらっしゃっただろう。明年の秋の夜に「えのきし」で読んだ歌に「霄の間や都の空にすみのせで心つくしの有明の月。悲しい御歌である(注:現代語意訳は当館による)。その他、太宰府の山中にある安楽寺についての記述がある。

・「四方の留粕」下(※『近代日本文学大系』第23巻 狂文俳文集(国民図書 1926年)p950)→「開帳場縁起」の項に「是れにかけ奉るは、忝(かたじけな)くも菅丞相、筑紫安楽寺にて御詠歌に、/宵の間や都の空に照りもせで心づくしの有明の月/と詠ぜられし、この霊験あらたなる、一挙勝負一口三なの尊像、唐高麗には御座りませぬ。たつた日本に一体の月見でござる。近うよつて拝あられませう。雲切よけの守(まもり)はこれより出ます。杯は左へ左へと廻らつしやい」
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
詩歌  (911 9版)
参考資料
(Reference materials)
『近代日本文学大系』第15巻 曲亭馬琴集(国民図書 1927年) (p480-481)
『日本随筆大成』第1期 2(日本随筆大成編輯部編 吉川弘文館 1993年) (p300)
『日本随筆大成』第3期1(日本随筆大成編輯部編 吉川弘文館 1995年) (p293-294)
『日本庶民生活史料集成』第2巻(三一書房 1969年) (p390)
『近代日本文学大系』第23巻 狂文俳文集(国民図書 1926年) (p950)
キーワード
(Keywords)
菅原道真
和歌
宵の間や
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
※「頼豪阿闍梨恠鼠伝」等に掲載のある、道真の歌集にあるという「宵の間は 都のそらにすみぬらむ 心つくしの有明の月」の歌が、道真が配流された太宰府の地で、月に自分の境遇を重ねて詠んだ歌だとすると、解釈は概ね次のようになるだろう。「日が暮れて間もないころは、(まだ東にあり)京の都の空に住んでいたのであろう、(かつては都にあったが、今は西の地に流されてしまった私に)物思いをさせる、(今、西に沈もうとする、筑紫の)夜明けの月だ」(注・現代語訳は当館による)。

・『国宝・天神さま:菅原道真の時代と天満宮の至宝』(九州国立博物館編集 西日本新聞社 2008年)[資料番号0104349360]のp125掲載の図版63「束帯天神像」(常磐山文庫所蔵)の左上に、同和歌の記載がある。
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
日本文学(古典)
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000106762解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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