レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/1/26
- 登録日時
- 2012/02/03 02:00
- 更新日時
- 2012/02/04 02:00
- 管理番号
- 1000000471
- 質問
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解決
『球陽』巻之四(鄭秉哲〔ほか〕編、桑江克英訳註、三一書房、1971年)の66ページに出てくる鷁船(鷁首船)のデザインや大きさが知りたい。
- 回答
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下記の資料を紹介する。
『球陽 全22巻 附巻3巻』(鄭 秉哲〔ほか〕、三一書房、1971年)
p66「巻之四」は、琉球国王が鷁船に乗って久高島に行幸した帰途に、湛氏(数明親雲上)が神歌を謡い波を静めたという内容である。鷁船の注釈には、「風波ヲシノグ水鳥。故ニ船首ヲ此鳥ノ形ニ造ル。天子ノ座船ニ用ユ。」とある。
『琉球年代記』(山田 政忠、琉球文教図書、1969年)
p81に「巻之四 1542年 嘉靖21年 数明親雲上神歌頭となる。」の意訳が載っている。
「時に清王久高島に幸せられた。帰途海波俄かに荒れ…湛氏数明鷁首に立って神歌を謡ふこと三回した処、波静になり恙なく与那原に帰るを得た。」とある。記述の嘉靖年間(1522~1566年)は、日本の室町・戦国時代にあたる。
『日本国語大辞典 第4巻』(小学館国語辞典編集部、小学館、2001年)
p1308「げきしゅ」【鷁首】の項によれば、「龍頭船と一対となり、王侯貴族の儀式、社寺の祭礼などに船楽を奏する船。水難を防ぐ意味で、船首に鷁(想像上の水鳥)の彫刻または絵画をつけたもの。また、その船首をもいう。龍頭船と合わせて龍頭鷁首ということが多い。鷁首船。げきす。鷁船。」とある。紫式部日記絵巻の鷁首の挿絵がある。
絵画資料として下記の3点に日本の鷁首船の絵がある。
『新修日本絵巻物全集 13』(角川書店、1976年)
p6「新造の龍首鷁首を見る道長」(紫式部日記絵巻)
『新修日本絵巻物全集 17』(角川書店、1980年)
p3「前庭の池にて船楽を催す」(駒競行幸絵巻)
『新修日本絵巻物全集 24』(角川書店、1978年)
p24「大臣家大饗」(年中行事絵巻)
インターネット情報として、
「京都観光チャンネル」に、平安時代の王朝文化を再現する舟遊びの写真があり、鷁首船も見られる。
http://www.kyoto-meguri.com/mifunematuri.html (2011年10月24日時点)
『日本の船』(石井 謙治、東京創元社、1957年)
p111-114「龍頭・鷁首の船」によると、鷁首とは、「…主として朝廷の年中行事に際し、音楽を奏するための船…」で、「遅くとも11世紀はじめ頃、下限は13世紀末まで…」とある。
また、巻頭の口絵24・25の絵巻には12~13世紀頃の鷁首船が描かれている。
デザインや大きさに関しては、「華麗な装飾を施した屋形のない小舟で(前後300年のあいだ、ほとんど同じ形式を保持していた。)…しかし、これは日本の場合だけの話であって、中国では皇帝用の大船があり、宋代の絵には三層の楼閣を持つ巨大な龍頭船が描かれている。」とある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 1 球陽 全22巻 附巻3巻 鄭 秉哲[ほか]∥編 桑江 克英∥訳註 三一書房 1971.7 K201/KY9/ 66
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2 日本国語大辞典 第4巻 小学館国語辞典編集部∥編集 小学館 2001.4 R813.1/N77/4 1308 -
3 琉球年代記 山田 政忠∥編 琉球文教図書 1969.6 K200.3/Y19/ 81 -
4 日本の船 石井 謙治∥著 東京創元社 1957.12 550/I75/ 111 -
5 新修日本絵巻物全集 13 角川書店 1976 LX721.2/SH69/13 6 -
6 新修日本絵巻物全集 17 角川書店 1980.1 LX721.2/SH69/17 3 -
7 新修日本絵巻物全集 24 角川書店 1978.11 LX721.2/SH69/24 24
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000101012