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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000088353
提供館
(Library)
埼玉県立久喜図書館 (2110009)管理番号
(Control number)
埼熊-2011-020
事例作成日
(Creation date)
2011/02/12登録日時
(Registration date)
2011年07月12日 02時01分更新日時
(Last update)
2011年07月26日 13時50分
質問
(Question)
家の入口の上方にある飾り「さすまた」は何のためにあるのか。
*群馬県明和町の生家と東京都中央区月島の浄土宗本願寺派佃島説教所にある。
回答
(Answer)
百科事典および建築関係の資料から、質問の飾りについて「さすまた」という呼称は見つからなかった。
質問者持参の写真より、飾りの位置および形がよく似ているもので「蟇股(かえるまた)」と呼ばれる部分があることがわかった。質問の飾りは蟇股(かえるまた)ではないかと思われる。
蟇股とは、「梁の上にあって上の虹梁、桁、棟木などの上部の荷重を支える横広がりの装飾的部材」(『建築大辞典』)のことを指し、発生当初は実際に上からの荷重を受ける機能を持っていた。
また、写真のものとは形が違うが、石川県能登地方、福岡県糸島郡地方や熊本県人吉市付近などの民家では、茅葺き屋根の合掌組みを指して、扠首又(サスマタ)と呼ぶ。これは「さす(扠首・扠手)」とも呼ばれており、「棟木を支えるための合掌形の斜材」とされている。「扠首・扠手」が蟇股の起源であるという説がある(『日本建築のかたち:生活と建築造形の歴史』)。

『建築大辞典』(彰国社 1993)
p249〈かえるまた[蟇股]〉「(前略)社寺建築の四脚門、棟門などでは虹梁(こうりょう)上で斗■[キョウ](ときょう)間の中備(なかぞなえ)として、あるいは東大寺南大門のように遊離尾垂木受けとして置かれるか、梁の上にあって上の虹梁、桁、棟木などの上部の荷重を支える横広がりの装飾的部材。蛙が股を広げたような形をしているので、この称がある。」と説明がある。
「源流は中国大陸の唐および遼の建築にあり、当初は「実際に荷重を受けていた」が、平安中期ごろから「単なる装飾と化したものが多くなった」こと、その形状が時代ごとに変化してきたことから、建築年代制定の基準としてしばしば使われることなどが記されている。

『世界大百科事典 5』(平凡社 2007)
p12〈かえるまた 蟇股〉「社寺建築において、虹梁(こうりょう)や頭貫(かしらぬき)・台輪(だいわ)の上にあり、頭部に斗(ます)をおいて棟木や桁・通肘木(とおりひじき)を受ける繰形(くりがた)付きの幅広い材をいう。」とあり、時代的変遷についても言及している。また、蟇股の起源は中国の漢時代(紀元前2世紀~紀元後3世紀中頃)にあるとしている。

『日本建築のかたち:生活と建築造形の歴史』(西和夫著 穂積和夫著 彰国社 1983)
p29「中備(なかぞなえ)」に関する説明の中で、蟇股について「扠首(さす)を前身とする説がある」と記述あり。

『寺社建築の鑑賞基礎知識』(浜島正士著 至文堂 1992)
p173-175「中備」、p176「蟇股」、p190「蟇股と大瓶束」に蟇股の変遷や種類について書かれている。

『図解古建築入門 日本建築はどう造られているか』(西和夫著 彰国社 1990)
p67「蟇股(かえるまた)」、p103「中備」の項の中に役割も含めて解説がある。

『日本民家語彙解説辞典』(日外アソシエーツ 1993)
p327「サスマタ 扠首又 [石川・福岡・熊本] 石川県能登地方や福岡県糸島郡地方・熊本県人吉市付近などの民家において、茅葺き屋根の合掌組みを指す呼称は「サス」 とある。
 この資料では、「カエルマタ」の項目は、工具として掲載されている。「福島県南会津郡地方の工具において、茅葺き職員が使用する鋏の一種を指す呼称。柄の形が蛙の股のような形をしたもので、屋根面を刈り揃えるのに用いる。多くは越後三条で打たれたものを使用したと伝える。」とあり。

『図説民俗建築大事典』(柏書房 2001)
この資料には、工具としての「カエルマタ」が掲載されている。

『寺社建築の歴史図典』(東京美術 2002)
p309-313「蟇股」に関する解説のなかで「扠首(さす)」について触れている。「さすまた」はなし。
 また、「妻飾(つまかざり)」の項目で「豕扠首」(いのこさす)に関する記述があるが、これも合掌に関するものである。
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
建築学  (520 9版)
参考資料
(Reference materials)
『建築大辞典』(彰国社 1993)
『世界大百科事典 5』(平凡社 2007)
『日本建築のかたち:生活と建築造形の歴史』(西和夫著 穂積和夫著 彰国社 1983)
『寺社建築の鑑賞基礎知識』(浜島正士著 至文堂 1992)
『図解古建築入門 日本建築はどう造られているか』(西和夫著 彰国社 1990)
『日本民家語彙解説辞典』(日外アソシエーツ 1993)
『図説民俗建築大事典』(柏書房 2001)
『寺社建築の歴史図典』(東京美術 2002)
キーワード
(Keywords)
建築(日本)-歴史
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
言葉
質問者区分
(Category of questioner)
個人
登録番号
(Registration number)
1000088353解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決