レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009年12月11日
- 登録日時
- 2011/06/21 10:18
- 更新日時
- 2011/07/17 11:35
- 管理番号
- 9000006220
- 質問
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解決
東京都台東区蔵前にある「甚内神社」に祀られている高坂甚内(こうさかじんない)について知りたい。
- 回答
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高坂甚内は江戸初期の盗賊。慶長18(1613)年に捕縛され、市中引き回しの上浅草鳥越の刑場で磔。その際「瘧(おこり)に苦しむ者は我を念ぜよ」といったことから、浅草の甚内神社で瘧の神様として祀られている。様々な伝承があり、武田忍者の流れを汲むとも、宮本武蔵の弟子とも言われている。また「番長皿屋敷」に登場するお菊は甚内の娘という伝説もある。詳細については照会資料をご覧下さい。
- 回答プロセス
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1.自館システムで件名、書名「コウサカジンナイ」は未ヒット。
2.人名辞典を調査
・『人物レファレンス事典 古代・中世・近世編<1996-2006>』第2巻(日外アソシエーツ編・発行 2007年)→「向坂甚内」であり。『講談社日本人名大辞典』に掲載があるとわかる
・『講談社日本人名大辞典』(上田正昭ほか監修 講談社 2001年)→「向坂甚内」の項目あり。
3.甚内神社について、神社、神名関係の参考図書を調査
・『日本の神仏の辞典』(大島建彦ほか編 大修館書店 2001年)→p677「甚内神社」の項目あり。高坂甚内は稀代の盗賊で、瘧(おこり)の病のために捕らえ、浅草の鳥越橋で処刑された。
・『全国神社名鑑』上巻(全国神社名鑑刊行会史学センター編纂・発行 1977年)には甚内神社の記載なし
・『社寺縁起伝説辞典』(志村有弘編 戎光祥出版 2009年)には、甚内神社、高坂甚内の記載なし
・『日本神名辞典』(神社新報社 1995年)には高坂甚内の記載なし
・『日本神祇由来事典』(川口謙二編著 柏書房 1993年)には甚内神社の記載なし
4.自館システムで件名「盗賊」、「盗賊-歴史」で検索し、日本の盗賊に関する図書を調査
・『盗賊の日本史』(阿部猛著 同成社 2006年)→p133-134に「神に祀られた盗賊」の項あり。これによると、甚内は甲州武田の臣・高坂弾正の子だとの説もある。参考文献の掲載あり。
5.『盗賊の日本史』で参考文献としてあげられた資料の確認
・『三田村鳶魚全集』第14巻(三田村鳶魚著 中央公論社 1977年)→「甚内橋」の由来が記載。
・『江戸から東京へ(新装版)』第2巻(矢田挿雲著 芳賀書店 1966年)→「幸坂様の由来」の項あり。これによると高坂甚内は「日本三甚内」のひとりで、11歳で孤児となり、甲州の山中で泣いているところを宮本武蔵に拾われた。
6.【追記事項】
・『日本説話伝説大事典』(志村有弘編 勉誠出版 2000年)→「高坂甚内」の項あり、これによると、甚内の娘のお菊が「番町皿屋敷」のヒロインであるという伝説がある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (281 9版)
- 参考資料
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- 『日本の神仏の辞典』(大島建彦ほか編 大修館書店 2001年) (p677)
- 『講談社日本人名大辞典』(上田正昭ほか監修 講談社 2001年) (p732)
- 『盗賊の日本史』(阿部猛著 同成社 2006年) (p133-134)
- 『三田村鳶魚全集』第14巻(三田村鳶魚著 中央公論社 1977年) (p25-27)
- 『江戸から東京へ(新装版)』第2巻(矢田挿雲著 芳賀書店 1966年) (p20-22)
- 『日本説話伝説大事典』(志村有弘編 勉誠出版 2000年) (p339-340)
- キーワード
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- 高坂甚内
- 甚内神社
- 盗賊
- 瘧
- 三甚内
- 高坂昌信
- 浅草
- 番町皿屋敷
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 『講談社日本人名大辞典』(上田正昭ほか監修 講談社 2001年)によると、高坂(向坂)甚内(?-1613)は、江戸時代前期の盗賊。宮本武蔵の弟子ともいわれる。江戸の泥棒の首領となりながら幕府から盗賊の取り締まりを委嘱されるが、慶長18年甚内自身捕らえられ、同年8月12日鳥越で処刑された。姓は高坂、幸坂ともかき、匂崎(こうさき)ともいう。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 伝記・人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000087776