レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/03/31
- 登録日時
- 2011/04/23 02:01
- 更新日時
- 2011/04/23 02:01
- 管理番号
- 1000000316
- 質問
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解決
“威部(イビ)”とは場所を指しているのか、神名なのか。
- 回答
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『沖縄大百科事典 上 ア~ク』(沖縄タイムス社、1983年)
p232 「イビ」の項に以下の記述あり。
「①御嶽にある神域。『琉球由来記』などの表記では「イベ(中略)由来記でイベを、御嶽・川・殿などで祀られる神の名、あるいはこれらの聖地の聖名の意で用いているが、今では御嶽のイビといえば、その内部のもっとも神聖な場所をさす。・・・②神石のこと。神聖な石をイビという例がある。」
『沖縄民俗辞典』(吉川弘文館、2008年)
p35 「イビ」の項に以下の記述あり。
「・・・御嶽の神の在所のことで、御嶽聖地ともいう。御嶽の奥まった所にあり、もっとも神聖な場所をさす。『琉球国由来記』(1713)にはイベと表記され、神名あるいは聖地の聖なる名として用いられている。・・・」
『定本 琉球国由来記』(外間 守善ほか、角川書店、」1997年)にあたると、
p224~412 巻十二~十五「各所祭祀 一~五」において、御嶽の神名が「○○○御イベ」と記されているものが多く見られる。
上記より、神の名を表す場合もあるが、一般的には「御嶽にある神域」を指すようである。
関連する資料は下記のとおり。
『沖縄の信仰用語』(比嘉 朝進、風土記社、1991年)
p12 威部(イビ)の項。「御嶽の奥にある神域。御嶽の中心となるところ。・・・」との記述あり。
『琉球史辞典』(中山 盛茂、文教図書、1993年)
p39~40 「威部 いべ(方言名イビ)」の項。「沖縄の御嶽の中で最も重要な部分。いべは神のよりまし、つきしろで、所謂神を斎くところである・・・。」との記述あり。
『沖縄コンパクト事典』(琉球新報社、2003年)
p49 「おたけ 御嶽」の項。「・・・御嶽には、その内奥にイビとよばれる最も神聖視された場所があり、神の鎮座、降臨するところといわれる。イビの中は香炉が置かれており、その後方には自然石やクロツグやクバの神木、古墓などがあり、神の宿る場とみなされている。・・・」との記述あり。
『沖縄文化史辞典』(東京堂出版、1972年)
p70 「おたけ 御嶽」の項。神の鎮座するところと考えられている聖なる場所をイビという。・・・イビの語源について仲原善忠は、『忌み避ける場所』の意と解釈している。・・・」との記述あり。
『沖縄文化 第2号』(沖縄文化協会、1961年)
p26~30 「『お嶽』の本体」(仲松弥秀:著)に下記の記述あり。
「・・・神名になると拝所の地物をとって名称にしたものが多く、珊瑚石灰岩の場所を拝所としたところは真白具威部(真白粉。真志良古)とし、クバ樹の場所を拝所してあったら久場・久場司、くぼう威部とし、マーニの場所だったらマーニ威部等と名付けてあるのみで、真の神名は案外少ない。・・・」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 1 沖縄大百科事典 上 ア~ク 沖縄大百科事典刊行事務局∥編 沖縄タイムス社 1983.5 K03/O52/1 232
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2 沖縄民俗辞典 渡邊 欣雄∥ほか編 吉川弘文館 2008.7 K38/O52/ 35 -
3 定本 琉球国由来記 外間 守善∥編著 角川書店 1997.4 K200.8/H82/ 224-412 巻十二~巻十五 -
4 沖縄の信仰用語 比嘉 朝進∥編著 風土記社 1991.2 K16/H55/ 12 -
5 琉球史辞典 中山 盛茂∥編著 文教図書 1993.6 K200.3/N45/ 39-40 -
6 沖縄コンパクト事典 琉球新報社∥編 琉球新報社 2003.3 K03/R98/ 49 -
7 沖縄文化史辞典 真栄田 義見∥編 東京堂出版 1972.3 K03/MA26/ 70-71 -
8 沖縄文化 第2号 沖縄文化協会∥編 沖縄文化協会 1961.6 K05/O52/2 26-30
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000085480