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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000077085
提供館
(Library)
中村学園大学図書館 (3310078)管理番号
(Control number)
中村大-002
事例作成日
(Creation date)
2011年01月24日登録日時
(Registration date)
2011年01月24日 15時24分更新日時
(Last update)
2011年01月24日 15時24分
質問
(Question)
中国から伝来したと思われるがそれよりもずっと以前からこむぎ粉を作って食料品として利用していたのか知りたい。
回答
(Answer)
小麦粉の起源:コムギはイネ科のコムギ属の一~二年生草本で、野生種は、中央アジアから中近東にかけて分布している。学名をツリチクム(Triticum), 英語でホイート(wheat), ドイツ語で(Weizen), フランス語でブレ(Ble)という。
およそ1万年前に古代オリエントの農耕文化発祥するころ、狩猟生活をする先住民たちは草原に繁茂する雑草のなかから、野生種のオオムギ、コムギをみつけて採取し、そのままか、煎ったり、粥にして食べていた。雑草のムギを収穫しては種をまくことも行われたであろう。紀元前7000年ごろになると南西アジアの肥沃な三日月地帯でコムギの栽培が始まった。今日のパレスチナ・シリア・イラク・トルコ・イラン辺りである。
アナトリアのチュタル・ヒュユック、南西イランのテペ・サブスなどの紀元前の遺跡からパンコムギの種粒が出土している。今日のように砂漠化されず、豊かな緑に覆われていた、チグリス・ユーフラテス川の上流で発掘された紀元前6700年の遺跡からは、炭化した一粒系のコムギ粒が出土している。さらに紀元前5000年ごろトランスコーカサス地域で二粒系コムギとタルホコムギの交雑によりパンコムギ(普通コムギ)が誕生した。このようにして紀元前5000年に中央アジアの高原に繁茂する野生種のコムギからトランスコーカサス地域でパンコムギが誕生する。紀元前3000年には中国でコムギの栽培が始まり、紀元前2000年には、石臼が考案され白いコムギ粉の採取か可能となる。紀元前1000年にはメソポタミア流域にマカロニコムギが出現する。一方、西南アジアから小アジアへ伝えられたパンコムギは紀元前5000年から4000年に、ドナウ河とライン河流域に到達し、紀元前3000年ごろにはヨーロッパ全域に広がる。ずっと後になるがアメリカ・カナダへは17世紀に、オーストラリアへは18世紀に、移民とともに伝えられる。日本へのコムギの伝来は、オオムギより1世紀ほど後の4~5世紀ごろとされる。大陸の農耕文化とともに、オオムギ、ダイズ、アズキなどが朝鮮半島を経てやってきた。登呂(静岡)、壱岐島(長崎)、鶴ヶ峠(愛媛)、夜臼(福岡)などの各地の遺跡からコムギ種粒が出土している。『万葉集』に、麦を詠んだ歌が2首あり、平城宮跡から出土した木簡の荷札に「小麦五斗」とある。

オオムギは縄文後期のころにコムギより少し早く中国から日本に伝えられた。オオムギとコムギの区別は始めはなかったが、中国では漢代BC202~AD220年のころから区別している。日本の区別は奈良期の元正天皇の722年(養老6)の詔による。粉にするには臼が必要であり紀元前2 ~3000年ごろから石臼でつぶすようになる。製粉には4000年にわたって改良され今日に至っている。中国ではコムギの製粉が始まるのは回転式のすり臼が現れてからであり『中国の食文化』によるといきなり完成された形のものが出現するので、発明は中国ではなく西方から伝来したものである。日本では中国より弥生時代に稲作とともにつき臼が伝えられ粉にできるようになる。『日本書紀』に推古天皇の610年に中国より伝えられたとある。九州大宰府の観世音寺には直径1mを越える巨大碾磑がある。聖一国師は1241年に宋より帰朝し製めん法などの文化や技術をもたらした。江戸時代前期『本朝食鑑』によると、コムギをひき臼で挽いて何回の蒒にかけ、段階式製粉方式が見られコムギ粉を使い分けるようになった。コムギ粉を用いて麺類を製造しこれを食用にしたことは、『延喜式』(905~927年)の7月7日の儀式に索餅(そうめんの前身)を用いたことが記されてある。
回答プロセス
(Answering process)
うどんが中国から伝来したことが分かっていたので、小麦粉も中国から伝来した想定された。事前調査により西アジアからかもしれないことまで分かっていたが正確ではなかったので、CiNiiで調べたが、小麦粉の発祥地の文献はなかった。そこで図書を検索し、数点あった中から、確信が持てる資料が入手できた。世界の神話や日本の神話でも穀物の女神が登場する。日本では「古事記」「日本書紀」から読み取れる。
事前調査事項
(Preliminary research)
中国から伝わっていることまではわかっていたが、それ以前にはこむぎ粉がどこから来たのか不明である。アジアが小麦を栽培し小麦粉を作って利用するようになったか、アフリカか、ヨーロッパで小麦の栽培が始まり小麦粉を作ったかは確かでない。さし当たってインターネットで調査した結果では「小麦粉の歴史」:
http://www.seifun.or.jp/   平成23年1月17日現在)次のように記されていた。
「今から一万年位前の西アジアは、まだ氷河期が終わったばかりで、当時の人々は、狩りをするにも獲物になる動物がいないので、たいそうお腹をすかせていました。お腹をすかせた人々が目をつけたのは、広い草原に広がるたくさんの雑草でした。その雑草の小さな種を食料に選んだのです。しかし、小さい種をいくら食べてもお腹はいっぱいになりません。そこで他のものより種が大きく、そしてたくさん実のついている雑草を探しだして、それを好んで食べるようになりました。それが人間と小麦との出会い。小麦はもともと単なる雑草の一種でしたが、気候の変化と、その実の豊富さから、私たちの大事な食料になっていったのです。」
NDC
技術  (5)
歴史  (2)
社会科学  (3)
参考資料
(Reference materials)
『コムギの食文化を知る事典』(岡田哲編/東京堂出版/2001/383.8||KO68)1;栽培コムギの誕生/pp.12-35
『コムギの食文化を知る事典』(岡田哲編/東京堂出版/2001)2;コムギコの不思議/
pp.41-50
岡田哲著『コムギ粉の食文化史』(朝倉書店/1993/619.3||O 38)
長井恒編著『うどんの技術 2版』(食品出版社/1980 /619.39||N 14)
『小麦の科学』(長尾精一編/朝倉書店/1995/616.3||N 17) 1章;小麦と小麦粉の歴史pp.1~9
『小麦粉博物誌』(中尾佐助監修;日本製粉社編/文化出版局/1985/616.3||N 87)
『小麦粉博物誌2』(中尾佐助監修;日本製粉社編/文化出版局/1986/616.3||N 87||2)
大塚滋著『パンと麺と日本人: 小麦からの贈りもの』(集英社/1997.3)
アメリカ小麦食品普及研究所著『小麦から小麦粉へ:人間と小麦の物語』(製粉振興会/1978/改訂版/619.3||A 44)
『日本のパン四百年史』(日本のパン四百年史刊行会編/国進社/1956/383.8||N 77)
『小麦とその加工』(長尾精一著/建帛社/1984/616.3||N 17)
インターネット:栄養健康サイト(参照日 2011/01/18) ( http://www.rupot.com/calorie/cereals/wheat.htm )
インターネット:学ぶ・楽しむ小麦粉百科(参照日:2011/01/18) ( http://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour_04.html )
インターネット:横山製粉株式会社
 小麦粉について(参照日 2011/01/18)
 ( http://www.y-fm.co.jp/komugi/komugi1.html )
インターネット:ラーメンワンダーランド:小麦の秘密(参照日 2011/01/18) ( http://www.seimen.co.jp/wonderland/himitsu/men/komugiko.html )
インターネット:小麦粉のおはなし:小麦粉の歴史:小麦の発見(財団法人製粉振興会ホームページ)(参照日 2011/01/18) ( http://www.seifun.or.jp/ )
インターネット:小麦粉の歴史:高品質な小麦粉には理由がある(PDF) (高品質な小麦粉.pdf
http://www.satake-japan.co.jp/ja/about/tasty/tasty29.pdf#search )
キーワード
(Keywords)
小麦粉
コムギ
歴史
日本
世界
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
食物史
質問者区分
(Category of questioner)
学生
登録番号
(Registration number)
1000077085解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
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