このページではJavaScriptを使用しています。お客様の閲覧環境では、レファレンス協同データベースをご利用になれません。

レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000076298
提供館
(Library)
埼玉県立久喜図書館 (2110009)管理番号
(Control number)
埼久-2010-069
事例作成日
(Creation date)
2010/10/21登録日時
(Registration date)
2011年01月08日 02時00分更新日時
(Last update)
2011年01月20日 16時08分
質問
(Question)
『新日本古典文学大系 24』(佐竹昭広編集 岩波書店 1989)の「土佐日記」には「あおうなばら」と阿倍仲麻呂の歌が紹介されているが、百人一首では「あまのはら」とある。
どちらが初めに作られたのか。また、どこで歌ったものか知りたい。
回答
(Answer)
どちらが初めに作られたかということは特定できない。
「土佐日記」所収の和歌の方が、伝承歌、改変したものという説が多い。
詠んだ場所は諸説があるが、明州=現在の浙江省寧波という資料が多い。
回答プロセス
(Answering process)
●「古今和歌集」と和歌辞典から本歌とその注などを調査する。
『新日本古典文学大系 5 古今和歌集』(佐竹昭広編集 岩波書店 1989)
p133に本歌「あまの原ふりさけ見れば…」があり。
序に「唐土にて月を見て,よみける 安倍仲麻呂」とあり。
左注に「この歌は、明州と言ふ所の海辺にて」とあり。
脚注では「伝承歌である。もと漢詩で書き、その一部がこの歌だという中国学者の説もある。土佐日記・一月二十日の条にも引かれる。」とあり。

『新編日本古典文学全集 11 古今和歌集』(小学館 1994)
p171 本歌「天の原ふりさけ見れば…」があり。
頭注に「明州」について「今の浙江省の寧波。」とあり。
脚注に「『続日本後紀』承和三年(八三六)五月の条によれば、当時すでにこの歌は仲麻呂の作と信じられていたそうである。(中略)小川環樹は中国での送別の宴の席上で、三十年前の日本での送別の光景を思い出して歌とするが、杉本は蘇州の船中での作とする。」とあり、日本の研究者の諸説を紹介している。

『新編和歌の解釈と鑑賞事典』(井上宗雄編 笠間書院 1999)
p99 本歌「天の原ふりさけ見れば…」があり。
《鑑賞》に「このほか、『土佐日記』(紀貫之)にも(中略)歌の第一句は「青海原」となっている。小倉百人一首にも採られて名高い歌である。」とあり。
《補説》に「仲麿は日本に帰ろうとして明州まで旅行し、そこでこの歌を詠んだらしい。」とあり。

●「土佐日記」の記述と注などを調査する。
『新日本古典文学大系 24 土佐日記』(佐竹昭広編集 岩波書店 1989)
p17 本歌「青海原振り放け見れば…」があり。
脚注に「古今集、新撰和歌では初句「天の原」。当夜の情景に合わせて当意即妙に改変した。」とあり。

『新編日本古典文学全集 13 土佐日記』(小学館 1995)
p34 本歌「青海原ふりさけみれば…」があり。
頭注に「『古今集』羇旅部巻頭歌(四〇六)。初句「天の原」。これは異伝ではなく作者の意識的な改変と見られる。それを筆者の伝聞にとりなす。」とあり。

●百人一首関係の資料を調査する。
『百人一首の世界 付漢訳・英訳』(千葉千鶴子著 和泉書院 1998)
p29 「一首は、五十歳になってからようやく帰国の決意をした彼が、明州(今の寧波)の海辺で詠んだ作。」とあり。

以下は質問事項に関する記述は見あたらず。
『小倉百歌伝註 百人一首注釈書叢刊20』(管宗次編 和泉書院 1997)
『百人一首 恋する宮廷』(高橋睦郎著 中央公論新社 2003)
『小倉百人一首を学ぶ人のために』(糸井通浩編 世界思想社 1998)

●古今集の研究書を調査する。
『古今和歌集全評釈 中』(片桐洋一著 講談社 1998)
p135-138 本歌、要旨、通釈、語釈、鑑賞と評論、校異あり。
鑑賞と評論に「○明州といふ所=今の浙江省寧波のことという。」とあり。

以下は質問事項に関する記述は見あたらず。
『古今和歌集と歌ことば表現』(小町谷照彦著 岩波書店 1994)

●紀貫之の研究書を調査する。
『紀貫之 あるかなきかの世にこそありけれ』(神田龍身著 ミネルヴァ書房 2009)
引用和歌索引から数か所言及している。
p284では「このような名歌の些少な語句の異同は他にもあり」「「これらはいかにも口頭で伝承されて歌であることを強調するための作為であり、伝承過程で言葉の異同が生じたものと偽装している。『古今集』のような権威ある書物からの直截引用ならば、言葉は固定されており、こうはならない。」とあり。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
詩歌  (911 9版)
参考資料
(Reference materials)
『新日本古典文学大系 5 古今和歌集』(佐竹昭広編集 岩波書店 1989)
『新編日本古典文学全集 11 古今和歌集』(小学館 1994)
『新編日本古典文学全集 13 土佐日記』(小学館 1995)
『百人一首の世界 付漢訳・英訳』(千葉千鶴子著 和泉書院 1998)
『古今和歌集全評釈 中』(片桐洋一著 講談社 1998)
『紀貫之 あるかなきかの世にこそありけれ』(神田龍身著 ミネルヴァ書房 2009)
キーワード
(Keywords)
土佐日記
古今和歌集
阿倍仲麻呂(アベノ ナカマロ)
和歌-日本文学
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
個人
登録番号
(Registration number)
1000076298解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
Twitter

このデータベースについて
国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築している、調べ物のためのデータベースです。詳細

活用法

刊行物・グッズ
新着データ
最近のアクセスランキング
レファ協PickUP!