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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000071169
提供館
(Library)
埼玉県立久喜図書館 (2110009)管理番号
(Control number)
埼熊-2010-006
事例作成日
(Creation date)
2010/03/17登録日時
(Registration date)
2010年09月11日 02時00分更新日時
(Last update)
2010年09月21日 12時33分
質問
(Question)
昔から「飢寒三部(三分か)」の生活が人を鍛えるというが、三部とは どういうことか。三分だけ備わっていて七分が欠けているという意味か。
回答
(Answer)
「飢寒三分」の「三分」とは、十のうちの三分を意味している。「飢寒三分」という言葉は、古くから中国で育児や健康長寿について用いられているもので、それが日本にも伝わり、使われているものと思われる。
「飢寒三分」という言葉が記載されている資料は見つからなかったが、次の資料にことばの意味が述べられている。
①『日本の名著 14』(伊藤整編 中央公論社 1982)
p188-189 「古い言葉に「およそ小児を安らかしむるには、三分の飢えと寒とを帯ぶべし」とある。三分とは十のうちの三分という。この意味は少しは飢えさせ、少しは冷やすのがよい、ということである。これが古人の子どもの健康を保つ良法なのである」とあり。
②貝原益軒「養生訓」より、「育幼」の項に「三分の飢と寒を」と題して
p449 「小児をそだつるは、三分の飢と寒を存すべし」と古人がいった。その意味は、小児を少し空腹がらせ、少し冷たがらせるがいいということである。小児にかぎらず、おとなもまたこうするがいい。小児においしい食物を腹いっぱい食べさせ、厚着をさせて暖め過ぎるのは、大きな禍になる。俗人と婦人は学理がよくわからないので、子どもを養育する道を知らない。腹いっぱいにおいしいものを食べさせ、厚着をさせて暖め過ぎるから、病気をよくして命を短くするにきまっている。貧乏な家の子は衣食が乏しいから無病で長生きをする」とあり。
③『日本衛生文庫 1』 (三宅秀編 1979)
桑田立斎「愛育茶譚」より
p144 「貧賎の兒は啼泣しても多くは省みざる故に、自手足を動し運營も健になり、自然三分の飢寒を得る故に、生理にかなひ長育するもの多し」とあり。
「愛育茶譚(あいいくさたん)」について
種痘の実施や啓蒙活動に尽力した江戸深川の小児科医である著者が「愛育総説」「臍帯」「拭口」「浴児」「児衣」「始乳」「撰乳」「代乳」「剃頭」「調治」「離乳」の11章に分けて述べた育児書。表紙見返しには「本書は小児養育の真理を万人が理解するためであり、近年は牛痘が行われて大厄を免れるようになったものの、親の子育ての間違いから種々の病気になったり、早死にするのは嘆かわしいことである。だから、本書を熟読して、目先の愛(姑息の愛)に溺れ子孫を害することがないようにせよ」と戒める。
④『日本子どもの歴史 3 武士の子・庶民の子(上)』(石川松太郎編 第一法規 1977)
第2章 育児についての構想・思想 2 貝原益軒の育児論 実証主義・経験主義の教育論
p71 「このほか、こそくな愛はいけない。三分の飢えと寒さにたえさせるべきだ。子どもの衣服は、上品であることが必要だが、大がらではでな模様はさけ、腋をあけたほうがよろしい、としてる主張などは、彼の道徳哲学からひき出されたものでもあったろうけれど、それよりも観察によるところが大きかろう」とあり。
この直前で、前掲の『和俗童子訓』が引用されている。
⑤『民?育儿求吉通?』(?其麟?著 气象出版社 2003)
p76〈常帯三分飢与寒〉の項あり。(中国語のことわざの本)
回答プロセス
(Answering process)
国語辞典やことわざ辞典、漢和辞典を確認するが質問のことばの記述は見つからず。
インターネットやNDC分類〈384.5〉(子供の生活)の資料を確認し貝原益軒の著書に同義の記述があることがわかる。
調査資料:
『大漢和辞典 1 修訂版』(大修館書店 1984)
三の項
三分 ①三つにわける ②十分の三。僅か。些少。
『大漢和辞典 12 修訂版』(大修館書店 1986)
飢の項
飢寒 うえることとこごえること。
【飢寒發善心】キカンハゼンシンヲハッス
人間は衣食が十分でない時の方が立派に心がけになれるものである。
『時代別国語大辞典 室町時代編2』(三省堂 1989)
p461(下段)「飢寒」の項:「食物・衣類の欠乏による,飢えと寒さ」とあり。また、「幼児忍二飢寒一可レ積二蛍雪之功一(雑筆集)」とあり(※「幼児に飢寒を忍び蛍雪の功を積むべし」の意か)。「飢寒三分」はなし。
『中国語大辞典 上』(角川書店 1994)
p1400 「飢」の項:「飢寒」の欄に「飢えと寒さ」とあり。「飢寒三分」はなし。なお、見出しは簡体字で表記されている。
『50音引き中国語辞典』(講談社 2000)
p158「飢」の項:「飢寒交迫」の欄に「飢えと寒さにさいなまれる」とあり。「飢寒三分」はなし。なお、見出しは簡体字で表記されている。
『新大字典』 (講談社 1993)
p2569「飢寒」の項:「うえること、こごえること」
『新潮日本語漢字辞典』(新潮社 2007)
p2447「飢寒」の項:「飢えと寒さ。食べるものがなく、飢えて寒さにこごえること」
『故事熟語大辞典』(日本図書センター 1981)
p278上段「飢寒」の項:「飢は、食無きなり。寒は衣無きなり。」

その他調査済み資料
『近代的育児観への転換』(首藤美香子著 勁草書房 2004)
『育児と日本人』(正高信男著 東京 岩波書店 1999)
『育児をめぐって』(日外アソシエーツ株式会社編 日外アソシエーツ 2001)
『育児の事典』(平山宗宏/編 中村敬編 朝倉書店 2005)
『近代日本養生論・衛生論集成 13』(滝沢利行編集 大空社 1993)
『日本子どもの歴史 4 武士の子・庶民の子(下)』(第一法規 1977)
『日本子育て物語』(上笙一郎著 筑摩書房 1991)
『児童観人類学序説』(古川原著 亜紀書房 1978)
『民俗に観る子どもの諸相』(池田昭著 近代文芸社 1993)
『子供の民俗学』(飯島吉晴著 新曜社 1991)
『子どもの民俗』(藤原与一著 和泉書院 1986)
『子どもの民俗社会学』(江馬成也著 南窓社 1994)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
社会教育  (379 9版)
参考資料
(Reference materials)
『日本の名著 14』(伊藤整〔ほか〕編 中央公論社 1982)
『日本衛生文庫 1』 (三宅秀編 1979)
『日本子どもの歴史 3 武士の子・庶民の子(上)』(石川松太郎、直江広治編 第一法規 1977)
『民?育儿求吉通?』(??其麟?著 气象出版社 2003)
キーワード
(Keywords)
育児-歴史
貝原 益軒(カイバラ エキケン)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
言葉
質問者区分
(Category of questioner)
個人
登録番号
(Registration number)
1000071169解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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