レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年5月14日
- 登録日時
- 2010/07/09 16:24
- 更新日時
- 2011/02/10 16:53
- 管理番号
- 2010-019
- 質問
-
解決
明治後期(M20-30)の小学校の科目で「倫理」という科目があったか?
(「修身」という科目であるかもしれない。)
授業の内容を記した資料を入手したい。
- 回答
-
尋常小学校・高等小学校の科目として「修身」があったようです。
「倫理」は明治19年には尋常中学校の科目としてあったようですが、明治20年~30年にあったかどうかは確認できていません。
詳細は下記資料等でご確認ください。
吉田熊次・海後宗臣著「教育勅語渙発以前(以後)に於ける小学校修身教授の変遷」(『海後宗臣著作集 第6巻』所収・1981・東京書籍)
海後宗臣, 仲新, 寺崎昌男著『教科書でみる近現代日本の教育』(第2版, 東京書籍 , 1999.)
藤田昌士「修身科の成立過程」(『東京大学教育学部紀要』第8巻所収・1965)
梅根悟監修、世界教育史研究会編『世界教育史大系 第39巻 道徳教育史Ⅱ』(1977・講談社)
小学校ノ学科及其程度(抄)(明治十九年五月二十五日文部省令第八号)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpbz198102/hpbz198102_2_043.html
「 第二条 尋常小学校ノ学科ハ修身読書作文習字算術体操トス・・・・・・第三条 高等小学校ノ学科ハ修身読書作文習字算術地理歴史理科図画唱歌体操裁縫・・・・・・ 」とあります。
大阪府教育センター
http://www.osaka-c.ed.jp/kak/karikenweb/webpdf/webcur/wc05onga/wc0502.pdf
明治14(1881)年 「『小学校教則綱領』制定 初等科:修身・読書・習字・算術・(唱歌)・体操・・・・・・」など。
また、明治期中等学校 明治19(1886)年の「教科に関すること」の欄に「『尋常中学校ノ学科及其程度』 尋常:倫理・国語及漢文・第一外国語・第二外国語若クハ農業・地理・歴史・数学・博物・物理・化学・習字・図画・唱歌・体操」と「倫理」に関する記載もあります。
- 回答プロセス
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JapanKnowledge+で「倫理」を検索。→特に小中学校の科目に関する記述はなし。
「修身」を検索。
『日本国語大辞典』には、
「旧学制下の小学校・国民学校などで、道徳教育を行なうために設けられていた教科の名。教科は昭和二〇年(一九四五)連合軍総司令部の指令によって廃止。」とあり。
また、『日本大百科全書(ニッポニカ)』結果によると
「小学校段階については、1872年(明治5)に公布された「学制」によって、修身科は第六位の教科に位置づけられ、同年の「小学教則」によって「修身口授(ギョウギノサトシ)」として実施された。当時は教師用教科書として『泰西勧善訓蒙(くんもう)』(1871)、『修身論』(1874)などの欧米近代道徳の翻訳書を用い、児童に「説諭」するものとされたが、「学制」の知識主義のもとでは軽視され、実際的にもあまり行われていない。80年、自由民権運動の学校教育への波及をおそれた政府は、改正「教育令」を発して修身科を首位教科とし、儒教主義に基づく修身教科書の編纂(へんさん)、発行を行った。翌年の「小学校教則綱領」で修身は「初等科ニ於(おい)テハ主トシテ簡易ノ格言、事実等ニ就キ中等科及高等科ニ於テハ主トシテ稍(やや)高尚ノ格言、事実ニ就テ児童ノ徳性ヲ涵養(かんよう)スヘシ又兼テ作法ヲ授ケンコトヲ要ス」と規定されたが、修身教育の内容や教授方法はいまだ確立されていなかった。ついで国家主義教育を唱えた森有礼(ありのり)文相が登場し、86年第一次「小学校令」が公布されるや、翌年の「小学校ノ学科及其(その)程度」で、修身は「小学校ニ於テハ内外古今人士ノ善良ノ言行ニ就キ児童ニ適切ニシテ且(かつ)理念シ易キ簡易ナル事柄ヲ説話シ日常ノ作法ヲ教ヘ教員身自ラ言行ノ模範トナリ児童ヲシテ善ク之(これ)ニ習ハシムルヲ以(もっ)テ専要トス」と定められ、教科書は用いないものとされた。」など、当時の「修身」の詳細な説明が書かれている。
参考文献として、
1.吉田熊次・海後宗臣著「教育勅語渙発以前(以後)に於ける小学校修身教授の変遷」(『海後宗臣著作集 第6巻』所収・1981・東京書籍)→本学に所蔵あり。
2.藤田昌士「修身科の成立過程」(『東京大学教育学部紀要』第8巻所収・1965)→本学に所蔵あり
3.宮田丈夫編『道徳教育資料集成』全3巻(1959・第一法規出版)→所蔵なし
4.梅根悟監修、世界教育史研究会編『世界教育史大系 第39巻 道徳教育史Ⅱ』(1977・講談社)→本学に所蔵あり
が挙げられている。
1・2・4の内容を確認したところ、「修身」を含む道徳教育の歴史や授業内容(授業例)などが記述されていた。
Googleにて検索条件を、“明治 小学校 学科 site:go.jp”として検索すると、以下のような情報にあたった。
・小学校ノ学科及其程度(抄)(明治十九年五月二十五日文部省令第八号)
「 第二条 尋常小学校ノ学科ハ修身読書作文習字算術体操トス・・・・・・
第三条 高等小学校ノ学科ハ修身読書作文習字算術地理歴史理科図画唱歌体操裁縫・・・・・・ 」とある。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpbz198102/hpbz198102_2_043.html [last access:2010-07-12]
上記のものは文部科学省 の『学制百年史 資料編』の詔書・勅語・教育法規等
教育法規等 (二) 初等教育 の項にあたる。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpbz198102/[last access:2010-07-12]
上記の内容をまとめた形のものとして、大阪府教育センターでまとめた資料あり。
http://www.osaka-c.ed.jp/kak/karikenweb/webpdf/webcur/wc05onga/wc0502.pdf [last access:2010-07-12]
明治14(1881)年 「小学校教則綱領」制定 初等科:修身・読書・習字・算術・(唱歌)・体操・・・・・・などとある。
また、明治期中等学校 明治19(1886)年の「教科に関すること」の欄に「『尋常中学校ノ学科及其程度』 尋常:倫理・国語及漢文・第一外国語・第二外国語若クハ農業・地理・歴史・数学・博物・物理・化学・習字・図画・唱歌・体操」と「倫理」に関する記載もある。
また「修身教育」についての詳細を平凡社『教育学事典』第3巻 により調査。
ここまでの調査で、小学校での科目は「修身」であり、「倫理」は尋常中学校ノ学科及其程度(明治十九年)には科目としてあったことがわかる。
さらに、BOOKPLUSで「明治 修身」として検索→85 件。「小学校 修身」→15件ヒット。
その目次等を確認し、以下のような資料にあたる。
海後宗臣, 仲新, 寺崎昌男著『教科書でみる近現代日本の教育』 第2版, 東京書籍 , 1999.
同志社OPAC(DOORS)にて「道徳教育 歴史」と検索すると60件あり。
勝部真長, 渋川久子著|『道徳教育の歴史 : 修身科から「道徳」へ』 玉川大学出版部 , 1984.(p86~)
- 事前調査事項
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倫理の科目については『坊ちゃん』「倫理の先生ならば・・・」、『酒中日記』「自分は倫理を受け持っているので・・・」などの表記あり。
同志社OPAC(DOORS)で、 「明治・小学校」「明治・倫理」「明治・教科(科目)」等から図書をあたっているが、具体的な内容が見つからない。
- NDC
- 参考資料
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- 平凡社編『教育学事典』(平凡社 , 1954-1956.) 第3巻 (大今図 参考室 370.3||K3||3)
- 海後宗臣著『社会科・道徳教育』(『海後宗臣著作集』第6巻)(東京書籍 , 1981.) (大今図 3階北書庫 370.8||K18||6)
- 海後宗臣, 仲新, 寺崎昌男著『教科書でみる近現代日本の教育』(第2版, 東京書籍 , 1999.) (大今図 開架 372.1||K604-2A)
- 藤田昌士「修身科の成立過程」(『東京大学教育学部紀要』第8巻所収 1965) (大今図 3階南書庫 P370.1||T)
- 勝部真長, 渋川久子著|『道徳教育の歴史 : 修身科から「道徳」へ』(玉川大学出版部 , 1984.) (大今図 開架 375.35||K6)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査および文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000068933