最初「グーグル」で「蛸の足」で検索。《Yahoo知恵袋》で「虫」を昆虫と区分したのはヨーロッパ的発想であり、昆虫ではないのに虫偏のつく生き物は「蛇」「蝦」「蛙」のようにたくさんいること。また『大漢和辞典』(諸橋轍次/著 大修館書店)で「虫」に「鱗介類の総称」とあり、漢字の世界では「虫」が昆虫のみを意味しない、との予備知識を得る。
そこで、「蛸」という字の成り立ちを調べるには、虫偏の字について探すのがよいと考え、NDC811.2(漢字:日本語)および821.2(漢字:中国語)をブラウジングし、動物や虫偏の字のつく漢字の事典類をピックアップして調査する。
『動物の漢字語源辞典』(821.2/70N)
「蛸」は中国では「〓(※瀟の「瀟」のさんずいが虫偏)蛸(しょうしょう:アシナガグモ)に使われる字で、日本では使われていなかった。日本で最初に「海蛸」と記したのは『本草和名』。大槻文彦は8本の足がクモのように見えたので、「海のクモ」という意味で「蛸」の字を用いたと推測する。
「蛸」の字の由来については「〓(※瀟の「瀟」のさんずいが虫偏)蛸」の項に説明がある。「肖」は肖像のように「素材を削って像をつくること」の意味があり、そこから「削って小さくする」→「細く長くなる」→「細く長い足のクモ」になった、とある。
『動植物の漢字がわかる本:イカはなぜ「烏賊」と書くのか?』(811.2/148N)
「鮹」とも書き、これは中国でアシナガグモを意味する「〓(※瀟の「瀟」のさんずいが虫偏)蛸」を魚偏に変えたもの。漢字表記では魚偏が古い。8本の長い足というクモとの類似から虫偏の「蛸」とも書いたのだろう、とある。
『虫・むし事典:漢字百話 虫の部』(大修館書店 1988.6)821.2/29
「蛸」はタコに用いられるが、これは元々アジダカグモに用いられた誤用。「章魚」と書く。
『語源海』(813.6/25N)
「蛸」は脚高蜘蛛のこと。正式には「鮹」とある。