警察庁、警視庁関連の資料を調査し、以下の資料を紹介した。
1 司法主任の階級
資料1:p.186「大連民政署警務課の司法主任である岩崎警部の、収賄事件が発覚したのである」(大正10年頃)とあり、これにより司法主任は警部であると推測される。
資料2:p.110 「昭和19年には、(略)各警察署の担任事務には一大改善が加えられていった。そして当時各警察署の担任事務は、これを『警務、特高、情報、輸送、経済保安、司法、警防、労政、兵事、主計』の10種類とし、(略)主任である警部補あるいは副主任である巡査部長が(略)いかに当時の主任者の権限が絶大であったかをうかがい知ることができる(略)」とある。 これによると、主任は警部補と見ることができる。
2 司法主任の所属部署
資料3:p.128「警察署事務分掌一覧表(大15.7.1訓令甲代33号)」に、署長の下に警部がありその下に警務係、高等係、司法係、保安係、衛生係の5係がある。「司法主任」は司法係の主任とも考えられる。
3 司法主任の上下関係
司法主任が警部あるいは警部補とした場合、警部・警部補の地位について記述されているものとして以下の資料がある。
なお、警部補は資料4のp.33-34によれば、1881(明治14)年から1889(明治23)年まで、及び1910(明治43)年以降設置されている。
資料5:p.304に「当時(昭和6年)、警察署長の職にあるものの大部分は、警部または警部補であった」と記載がある。
資料6:p.89「職官表 警視庁ノ部」の警察署長の項に「警視又ハ警部ヲ以ッテ充ツ」とあり、p.91同職官表 「府懸附属」の「警察署長」の項には「地方警視ヲ以ッテ充ツル場合ヲ除ク外警部ヲ以ッテ充ツ但シ地方の状況ニ依リ警部補ヲ以ッテ充ツルコトヲ得」とある。
なお、この『職員録』には、各県の警察署の名簿が警部補まで掲載されている。同書の凡例には、高等官及同待遇者、議員、委員、公吏等を纂録したものであると記載されている。
4 現代の主任とその階級
資料7:p.35に「警察の階級と役職の関係」という表が掲載されている。
この表によると、警察庁と警視庁の「主任」は「警部補」、県警本部および警察署の「主任」は「巡査部長」となっている。
・警視庁ホームページ の中の職員採用のQアンドA形式のサイト
(
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/saiyou/virtual/faq.htm)に昇任制度についての記述がある。ここでは、本部の主任は「警部補」、警察署の主任は「巡査部長」となっている。