レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/04/22
- 登録日時
- 2021/05/07 00:30
- 更新日時
- 2021/05/20 10:51
- 管理番号
- 9482877
- 質問
-
未解決
1940(昭和15)年2月11日に逓信省が制定した「逓信訓」とは別に、朝鮮総督府において「逓信訓」が発せられたことがあるか。
『朝鮮逓信事業沿革史』朝鮮総督府逓信局 1938刊に「逓信訓」が掲載されているが、その内容は1940年のものと異なる。2つの「逓信訓」の制定の関係が分かる資料はあるか。
- 回答
-
お尋ねの件について、以下のとおり回答します(【 】内は当館請求記号、インターネット最終アクセス日は2021年4月20日です)。
朝鮮総督府逓信局制定の逓信訓と逓信省制定の逓信訓との関係について言及している資料は、見当たりませんでした。
ご参考までに、調査の過程で確認した資料をお知らせします。
<逓信省制定の逓信訓について>
資料1では、逓信訓が紀元2600年(1940年)を契機として制定されたこと、職員の「座右の銘」に当るべきものとして位置づけられていたことが解説されています。
資料1:『逓信事業史. 続』 第2巻 (職員) 郵政省 編 1961 【692.1-Y995z】
(国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
・「三 服務 1 戦時下」 pp.26-28 (https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2469965/28)
・「遞信訓」p.372 (https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2469965/202)
資料2は、戦後刊行された逓信省OBの経験談等を編んだものです。この中巻に、事前調査済み資料④の著者と同一人物と推定される山田良秀氏の寄稿が掲載されていますが、逓信訓を取り上げたものではありませんでした。逓信訓についての記述は、他の方の文章にもないようです。
資料2:『逓信史話』上中下巻 逓信外史刊行会 編 1962 【692.1-Te1432t】
(国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
・中巻「忍の床次、情の望月、意の頼母木」 山田良秀 pp.55~62 (https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2499318/35)
<朝鮮総督府逓信局制定の逓信訓について>
資料3は、資料1の『続逓信事業史』の「編集に際して収集した旧外地における逓信事情に関する資料や手記類を、その完結にあたり落穂集的にとりまとめたもの」です(巻頭の例言より)。この資料の「朝鮮の部」の記述は、朝鮮における逓信事業の概要を知る上で参考になりますが、逓信訓については「なお、大東亜戦争中、朝鮮逓信訓が発せられた。詳細は失念したが(後略)」という記述があるのみです。
資料3:『続逓信事業史資料拾遺』 第1集 郵政省大臣官房秘書課広報室 1964 【692.1-Y995z2】
(国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
・朝鮮の部「第1 朝鮮逓信の機構・職員・業務制度」3.業務関係 p.125 (https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2503450/73)
また、韓国国立中央図書館所蔵の資料4に、「逓信訓」に関する記述がありましたので、ご参考までにお知らせします。この資料には、昭和9年9月1日付で発出された朝鮮総督府逓信局長による2つの訓示が掲載されています。「訓第二号」(pp.170-174)が「逓信訓」及び「逓信従業員心得」で、「訓第一号」(pp.166-170)及び「逓信精神作興実行綱領」(pp.175-182)と合わせ、精神面での職員統制に関する当時の逓信局の基本方針を示したものといえます。
資料4:『朝鮮遞信協會雜誌』No.197, 1934.10.5.
(http://webviewer.nl.go.kr/imageviewer_mobile/imageviewer.jsp?control_no=KUO000004180)
*この資料は、韓国国立中央図書館ウェブサイト(https://www.nl.go.kr/)で公開されています。左上方にある「목차」をクリックすると各号の目次が表示されます。また、目次から各記事のデジタル画像を閲覧することができます。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
1940年(①,②,④)
一 生ヲ皇国ニ享クルノ歓喜ニ燃エ、至誠一貫逓信報国ニ邁進ス
一 勤労ヲ愛シ智能ヲ磨キ、公益ノ増進ニ努力ス
一 礼節ヲ尚ビ規律ヲ重ジ、懇切正確敏速ヲ期ス
一 明朗ニシテ剛健、常ニ心身ノ錬成ニ努力ス
一 和衷協同総力ヲ発揮シ、皇運伸展ノ先駆タルヲ期ス
1938年(③)
一 忠君愛国ヲ念トシ皇道精神ノ発揚ニ努ムベシ
一 職責ヲ重ンジ規律ヲ守リ官吏ノ本分ヲ尽スベシ
一 法規ト実務ニ精通シ事業ノ合理的運営ヲ念トスベシ
一 親切公正ヲ本トシ協力一致事業ノ本義ヲ完ウスベシ
一 品性ヲ陶冶シ智能ヲ錬磨シ世運ノ進展ニ備フベシ
①郵政省郵便局郵便事業史編纂室編『郵便創業120年の歴史』ぎょうせい,1991, p.139.
②郵政省編『郵政百年史資料 第25巻 郵政史写真集』吉川弘文館,1971, p.210.
③『朝鮮逓信事業沿革史』朝鮮総督府逓信局 1938
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1263281/14?tocOpened=1 )
④『逓信協会雑誌』逓信協会, 1940 3月(379)
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2776677/3?tocOpened=1 )
※松田利彦・やまだあつし編『日本の朝鮮・台湾支配と植民地官僚』思文閣出版、2009、参照はp.333-363
「朝鮮逓信歌」と「逓信訓」が存在したことは書かれているが、制作の経緯やどのように使われていたかについては述べられていない。
※郵政省編『続逓信事業史 第2巻』p.27に「逓信訓」の項目があることが、第10巻の索引から分かったが、当館は第2巻を所蔵していない。
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 議官(レファレンス)
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000297965