レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年08月10日
- 登録日時
- 2020/01/10 14:55
- 更新日時
- 2020/03/02 18:18
- 管理番号
- 5388450-1
- 質問
-
未解決
『船由来記』の作者である池田松翁軒(池田松斎)経歴について知りたい。
資料に池田松翁軒作との記載があり、主要な人名録を調べたがわからなかった。
- 回答
-
池田松斎の経歴については資料1に記載があります。
松翁軒の記載は確認できず、『船由来記』の作者と同一人であると断定はできませんが、可能性は考えられますので、念のためお知らせします。
資料2によると、池田松翁軒は『船由来記』の撰・書ということで、作者とはされていません。
元禄5(1692)年~享保14(1729)年に発行された出版物の目録(資料3)、享保8(1723)年9月に住吉大社に奉納された書籍の目録(資料4)にも池田松斎筆の往来物がみえ、往来物の書家としても活躍した人物であったのかもしれません。
【 】内は当館請求記号です。
資料1
市古貞次 [ほか]編纂『国書人名辞典. 第1巻』岩波書店, 1993.11【GB12-E55】
* 「池田松斎」の項(p.96)に、「書家 〔生没〕生没年未詳。江戸時代初期の人。(中略)〔経歴〕本阿弥光悦の門人。初め豊臣家の右筆。大坂落城後に金沢に住み、前田利常・光高・綱紀に仕えた。 〔著作〕真草庭訓 書(後略)」とあります。
資料2
『往来物大系. 第67巻 (産業科往来)』大空社, 1993.9【FC49-E62】
* 「船由来記」の復刻に「元禄16年(1703)5月書・刊 池田松翁軒 撰・書 深江屋弥兵衛(大阪)板」等の説明があります。
資料3
禿氏祐祥 編『書目集覧. 第2』東林書房, 1931【025.1-To452s】
* 「享保書籍目録」に「真草庭訓 池田松斎筆」(p.175)とあります。「享保書籍目録」は「元禄五年から享保十四年まで三十七年間に開版された書籍の題号を類別し新撰書籍目録と題した」(解説p.2)ということです。
* 国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開しています。
該当箇所のURL:(p.175) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1805743/97
(解説p.2) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1805743/253
資料4
大阪書林御文庫講 編著『住吉大社御文庫貴重図書目録』大阪書林御文庫講, 昭和8【249-288】
* 「住吉大社御文庫建立発願文並奉納図書目録と芳名」(pp.60-101)中に、「庭訓往来 池田松斎筆」(p.99)とあります。
* 国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開しています。
該当箇所のURL:(p.99) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1189903/67
* 『住吉大社御文庫目録 国書・漢籍』【UP111-H52】には、「庭訓往来 一冊 池田松斎書 大阪寺田与右衛門求板本」(p.174)とあります。
〔主な調査済み資料・ウェブサイト〕
石川松太郎 監修 ; 小泉吉永 編著『往来物解題辞典. 解題編』大空社, 2001.3【F1-G57】
* 「船由来記」(p.735)の見出しがあり概要等の説明はありますが、池田松翁軒の経歴がわかる記述はありません。
* 「寺子往来」(pp.576-577)の見出しの説明に、『船由来記』と池田松翁(松斎)に関する言及がありますが、池田松翁軒の経歴がわかる記述はありません。
石川謙, 石川松太郎 編『日本教科書大系. 往来編 第12巻 (産業 第1)』講談社, 1968【375.9-N685-I】
* 『船由來記』の翻刻(pp.519-521)が収録されているほか、「解説」(pp.11-186)に「3 船匠に関するもの」(pp.96-99)、「解題」(pp.187-213)に「四三 船由來記」(pp.207-208)があり、『船由來記』に関する説明があります。
* 国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
住田正一 編『海事史料叢書. 第9巻』巌松堂書店, 昭和5【593-17】
* 『船由來記』の影印(pp.155-164)が収録されているほか、「海事史料叢書第九巻 収容書目解題」(pp.1-32)に説明(pp.3-6)もありますが、池田松翁軒の経歴がわかる記述はありません。
* 国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
竹内誠, 深井雅海 編『日本近世人名辞典』吉川弘文館, 2005.12【GB12-H40】
森銑三, 中島理寿 編『近世人名録集成』勉誠社, 1976-1978【GB13-56】
日本人名情報索引(人文分野)データベース https://rnavi.ndl.go.jp/jinmei/
Google Books https://books.google.co.jp/
Japan Knowledge Lib ※当館契約データベース
ウェブサイトの最終アクセスは2019年8月9日です。
(2020年3月2日 追記)
当該事例にコメントをいただきましたので、情報を追記します。
池田松斎については、国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されている下記文献にも、少しですが情報がありました。
石川県[編]『石川県史. 第3編』石川県, 昭和4【554-143】
第三章 學事宗教 第七節 書道
p.599
「加賀藩に於いて、書道を以て名を遺したる者あるは、亦前田綱紀の世に初まる。その和樣を以て夙に顯はれたるものに池田松齋あり。松齋は本阿彌光悦の高足にして、初は豐臣氏の右筆たりしが、大阪落城の後來りて前田利常に仕へ、その孫綱紀の師となれり。」
該当箇所のURL: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1186805/339
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
・国史大辞典
・講談社日本人名辞典
・人物レファレンス事典 古代・中世・近世編
・国書人名辞典
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000272450