レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年09月06日
- 登録日時
- 2019/08/05 13:24
- 更新日時
- 2019/08/05 14:34
- 管理番号
- 京歴-445
- 質問
-
解決
刀剣の目貫(目抜)に関する資料、図録はないか。天光堂秀国の作品について調べたい。
- 回答
-
『日本大百科全書 22』(①)p.779によると「目貫(目抜)」とは、刀剣の柄(つか)につける装飾金具である。刀剣と柄はそれぞれにあけられた穴を目釘で留め合わせるが、目貫はその目釘の上を飾る金具である。近世以降は目釘と目貫は分離してつけられるようになったという。
『刀装金工事典』(②)のp.244に「川原林秀国」の項があり、解説が載っている。
それによると、「天光堂」は川原林秀国(ひでくに)の号であることがわかった。
秀国は文政8(1825)年伯耆国(現在の鳥取県)米子生まれ、旧姓は中川で代蔵といった。師である川原林秀興(ひでおき)の次女と結婚し、川原林家を継いだ。秀国には他に金竜斎という号もある。京都に住み、絵画も得意であった。明治24年に67歳で没し、京都西大谷鳥辺山の墓地に葬られている。
『日本美術作品レファレンス事典 工芸篇』(③)で川原林秀国の作品を探したところ、『続・日本の意匠 8』(④)、『続・日本の意匠 7』(⑤)に掲載されていることがわかった。
④の図46「猪図目貫」は、p.39にカラー図版、p.156にモノクロ図版で掲載されている。
⑤の図217「枝菊蒔絵打刀拵」(鐔以外の金具を川原林秀国が製作)は、pp.130-131にカラー図版、p.171にモノクロ図版で掲載されている。
『刀剣と刀装具:光村コレクション総目録』(⑥)のp.91に、秀国の目貫の作品が載っている。p.195の索引によると⑥には、秀国の鐔、揃金具、小柄・笄、縁頭、拵も掲載されている。
『幕末・明治の鐔・刀装金工:清水三年坂美術館コレクション』(⑦)のpp.60-64には、目貫を含んだ天光堂秀国の金具作品が掲載されている。
『刀装具にみる金工の美』(⑧)のp.63に天光堂秀国の「かちかち山目貫」のカラーが写真されている。同ページの解説には、秀国は京都の名門、大月派に属していたと記述されている。
『鏨の華:光村コレクションの刀装具』(⑨)に、川原林秀国の金具作品を含む刀剣として、作品No.208(pp.172-173)、No.214(pp.180-181)、No.215(p.182)が掲載されている。
- 回答プロセス
-
閲覧室にある刀装関連(NDC・日本十進分類法756.6)の図録を見るが、天光堂秀国の名前は見当たらなかった。
『刀装金工事典』(②)によると、天光堂秀国は川原林秀国の号であると分かった。
『日本美術作品レファレンス事典 工芸篇』(③)で、川原林秀国の作品が掲載されている資料を調べ、④⑤を見つけた。
ほか、閲覧室と書庫にある刀装関連の資料を確認し、⑥~⑨にも川原林秀国・天光堂秀国の作品が掲載されているのを見つけた。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 金工芸 (756)
- 参考資料
-
- ① 日本大百科全書 22.小学館,1988. (当館請求記号:||031||N71||22)
- ② 若山猛編著.刀装金工事典.雄山閣,1984. (当館請求記号:||756.6||W28||)
- ③ 日外アソシエーツ株式会社編集.日本美術作品レファレンス事典 工芸篇.日外アソシエーツ株式会社,2002. (当館請求記号:||750.31||N71||)
- ④ 日本の意匠 続8.京都書院,1994. (当館請求記号:||757.08||N71||2-8)
- ⑤ 日本の意匠 続7.京都書院,1994. (当館請求記号:||757.08||N71||2-7)
- ⑥ 根津美術館学芸部編.刀剣と刀装具:光村コレクション総目録.根津美術館,2017. (当館請求記号:||756.6||N69||)
- ⑦ 幕末・明治の鐔・刀装金工:清水三年坂美術館コレクション.マリア書房,2008. (当館請求記号:E||756.6||B15||)
- ⑧ 蛭田道子編著.刀装具にみる金工の美.清水三年坂美術館・銀座長谷宝満堂,2001. (当館請求記号:||756.6||H75||)
- ⑨ 根津美術館,大阪歴史博物館,佐野美術館編.鏨の華:光村コレクションの刀装具.根津美術館,大阪歴史博物館,佐野美術館,2017. (当館請求記号:||756.6||N69||)
- キーワード
-
- 目抜
- 目貫
- 天光堂秀国
- 川原林秀国
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000259803