レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年02月23日
- 登録日時
- 2019/05/30 17:00
- 更新日時
- 2019/12/26 11:18
- 管理番号
- 埼久-2019-027
- 質問
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解決
「福の神」という狂言の成立時期を知りたい。
- 回答
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以下の資料と情報を紹介した。
1 図書
『狂言ハンドブック 第3版』(油谷光雄編 三省堂 2008)
p256-258「狂言年表」
p256「寛永19(1642)大蔵流最古の台本『狂言之本』(「虎明本」なる。)このころ和泉流最古の台本『狂言六義』(天理本)も筆録される。」
「日本演劇史」第1巻によると、狂言の諸派のうち、最も古いのが「大蔵流」とあり。
『能楽全書 第5巻 能と狂言』(野上豊一郎編修 東京創元社 1980)
p170-189「狂言の仮面」のうち、p177に「脇狂言『福の神』のシテ(福の神)の特定面「福の神」が出来るまでは「恵比寿」の面を使ってゐたやうである。作も(中略)「福の神」には河内(正保二年歿)・大和(寛文十二年歿)以前の作はないことになつてゐる」とあり。
(注)正保二年は1645年。寛文十二年は1672年。
『狂言鑑賞二百一番』(金子直樹文 吉越研写真 淡交社 2005)
p57福神狂言の説明に「室町時代には、現世の利益を約束してくれるとして、福神信仰が流行しました。」とあり。
p57-59「福の神」概要あり。豆まきはもとは晦日の「追儺」行事によるものだが、室町中期ごろに廃れて節分にまかれるようになったとあり。
2 インターネット情報
《連歌・演能・雅楽データベース》(http://base1.nijl.ac.jp/~geinou/ 国文学研究資料館)
「「福の神」の上演月日慶長十年 場所伏見城西の丸 シテ大蔵弥右衛門 資料名「古之御能組」」とあり。(注)慶長十年は1605年。
《国会図書館デジタルコレクション》橋本朝生著「福神狂言の形成と展開」(『芸能史研究(46)』p1-11 芸能史研究会 1974.7)(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/6048912 国会図書館)41コマ 国会図書館/図書館送信参加館内公開
福神狂言について記述あり。福神狂言のうち、「福の神」「筒竹筒」は「福神狂言の構造が確立したところでその変形として形成されたのであろう。」とあり。また、福神狂言は、「鷺保教本に「副の神の風流」があることを指摘してそれから形成されたのだろうとしている」とあり。
(注)鷺流鷺保教本は享保九年以前成立。享保九年は、1724年。
《国会図書館デジタルコレクション》『能楽論随想』(川瀬一馬著 わんや書店 1968)p252(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2517589 国会図書館)60コマ 国会図書館/図書館送信参加館内公開
p82「福の神は恐らく古申楽時代からあった古い曲であろう。大蔵大夫の先祖が日吉申楽座に在った頃からのものと思う。」とあり。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2017年2月5日。
- 回答プロセス
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1 参考図書を調査する。
『日本古典文学大辞典 第5巻 は-め』(日本古典文学大辞典編集委員会編集 岩波書店 1984)
p242「福の神」の項あり。「狂言。脇狂言。」とあり。梗概、特色、台本、参考文献があり。
参考文献に金井清光著「福神狂言の経世」(『能と狂言』昭和52年)」とあり。
2 1の参考文献「福神狂言の経世」を調査する。
『能と狂言』(金井清光著 明治書院 1977)
p655 高野辰之著『日本演劇史 第1巻』によると和泉流風流三十一番の「福神風流」と鷺流風流二十四番「福神風流」が狂言「福の神」の原形とあり。
3 《国会図書館デジタルコレクション》(http://dl.ndl.go.jp/ 国立国会図書館)を〈日本演劇史 & 高野辰之〉〈芸能史研究 & 芸能史研究会〉で検索する。
《国会図書館デジタルコレクション》『日本演劇史 第1巻』(高野辰之著 東京堂 1949)p660(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2459116 国会図書館)3467コマ 国会図書館/図書館送信参加館内公開
p469「狂言の流派」に「大蔵流、鷺流、和泉流のうち、最も古いのが大蔵流」とあり。
p480「大蔵流にあっては其の百七十余曲を次の如く七別を立てて考えている」とあり、「脇狂言」中に「福ノ神」あり。
4 NDC分類〈773.9〉の棚を確認する。
5 《国会図書館サーチ》(http://iss.ndl.go.jp/ 国立国会図書館)を〈福の神 & 大蔵流〉〈福の神 & 鷺流〉〈福の神 & 和泉流〉で検索する。
《国会図書館デジタルコレクション》「福の神」(『和泉流狂言集 第1冊』p75-88(古典文庫 1953)(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1354027 国会図書館)52-59コマ 国会図書館/図書館送信参加館内公開
p3-19「和泉流狂言集解題」
p15「和泉流の伝本では、石田元季氏旧蔵本三冊(天理図書館蔵)が最古本で(中略)」とあり。
6 《連歌・演能・雅楽データベース》(http://base1.nijl.ac.jp/~geinou/ 国文学研究資料館)を〈福の神〉で検索する。
7 《近世編年データベース》(http://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/ 東京大学史料編纂所)を〈福の神〉で検索する。
8 《CiNii Articles》(http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)を〈福神〉で検索する。
《国会図書館デジタルコレクション》橋本朝生著「福神狂言の形成と展開」(『芸能史研究(46)』p1-11 芸能史研究会 1974.7)(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/6048912)41コマ 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開
9 8の情報に掲載されている文献『中世文学の研究』(秋山虔編 東京大学出版会 1972)を調べる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 能楽.狂言 (773 9版)
- 参考資料
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- 『狂言ハンドブック 第3版』(油谷光雄編 三省堂 2008) , ISBN 4-385-41059-3
- 『能楽全書 第5巻 能と狂言』(野上豊一郎編修 東京創元社 1980) , ISBN 4-488-02705-9
- 『狂言鑑賞二百一番』(金子直樹文 吉越研写真 淡交社 2005) , ISBN 4-473-03261-2
- キーワード
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- 狂言ー歴史
- 能ー歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000256532